潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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【第二部】第一章

楽園の蛇 2 ※

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おじ様は、僕の座っている、革張りのハイバックのダイニングチェアの脇に立っていた。

おじ様の手は、僕のおとがいをつかんだ。

おじ様は、身をかがめて、僕の耳を舐めた。

「きれいだよ」

「んっ……」

僕は、椅子の背に、のけぞらせた頭を押し付けた。

潤が、自分の席を立ち、僕の席に寄ってきた。

おじ様は、僕から離れた。

潤は、前方から、僕の座っている椅子の背もたれを両手でつかんで、椅子に腰掛けた僕の腿にまたがってきた。

僕の膝によじ登る過程で、潤のお尻や股が、ぐりぐりと僕の腿に押し付けられた。

「あ……」

僕はその感触に思わず声を吐息を漏らした。

潤のお尻が僕の腿に密着した。

潤の性器と僕の性器が触れ合った。

僕は刺激にくらくらとした。

潤の肌が、僕の肌に吸いつき、熱くまつわりついた。

潤の腕が、僕の背にまわり、潤の唇が、僕の髪から額へ、瞼へと、あてもなく、さまよった。

潤の舌が、僕の睫毛の生え際をなぞった。

「ふっ、ふぇ」

「なに?  フェラして?」

潤が意地悪な微笑みを浮かべて聞いた。

「違う……それ気持ちいぃ……」

「これ?」

また潤が、瞼の縁をなぞった。

「あふ……」

体勢が崩れて、僕と潤の脚が絡み合った。

腿の内側が潤の腿に触れて気持ちいい。

もっと脚を絡ませあって、もっと密着させたい。

僕たちは、床に崩れ落ちた。

床の上で、僕らは、つがいの蛇のように、くねくねと、絡み合った。

「はっ、ああ」

自然と声が漏れた。

「準備が、できたようだな」

おじ様は、言って、僕らの上に屈み込み、僕の身体に覆い被さっていた潤の首根っこをつかんで、僕の目の前で、潤の唇に、乱暴にキスをした。

潤は、我にかえったように半身を起こした。

潤は、さっきまで、僕の上にのしかかって、僕の喉笛を掻き切ろうとしていた。

そのような激しさを感じた。

毒のある牙を、僕の首に突き立てようとしていた。

僕の血を吸い、僕に毒を注入し、僕を悪に落とし込むような。

残酷な潤。

二度と帰れないところに、連れて行かれそうな。

「そのくらいに、しておきなさい」

おじ様が、飼いならした毒蛇をなだめるように、潤の背中を、すっとなでた。

潤の身体が、びくっと反応した。
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