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第十六章
ヘッドボード 2
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それ以前は、ヘッドレスのベッドの頭の方を壁につけて置いていた。
そして、ロックな、と潤が思っていたヘッドボードを壁に造形してあったのだ。
それなのに、昴に、『趣味が悪い』『気持ち悪いからやめろ』とこき下ろされて、はずさせられてしまった。
なので、ベッドを壁から離してヘッドレスの開放感をしばらく楽しんでいた。
『これだと、いろんな方向で、いろんな体位が自由にできるね。ぶつからないからいいよね。寝る時、うっかり頭もぶつけないし』
潤は、前向きにとらえて言った。
それを黙って聞いていた昴は、何か考えていたようだった。
月曜に学校からマンションに帰ってくると、昴が潤のベッドにアイアンのベッドフレームのヘッド部分を取り付けていた。
『兄貴、人のベッドに勝手に、何してんだよ!』
潤は、阻止しようとした。
潤と昴のマンションは、実家の優雅で整然としたインテリアとは全く違い、彼らの心を反映した、おかしな手づくりの造形物や工作で混沌としていた。
昴は、古美術品屋というか、古道具屋(アンティークショップと潤が言うと、スイーツみたいな言い方をするな、と昴は怒った)でバイトをしているらしく、しょっちゅう、安く買ったのか、もらったのか知らないが、得体の知れないガラクタを部屋に持ち込んでいた。
若干、潔癖症がかっている清潔好きの潤は、そのたびに嫌がったが、昴は、ガラクタの持ち込みをやめなかった。
アイアンのベッドフレームのヘッド部分だけって存在しないのに、いったい昴は何をどうやって取り付けたんだ? 鉄柵? 檻? 古いジャンクなベッドを切断したのか? 粗大ゴミから拾ってきたのか? バイト先でもらってきたのか?
『お前には、これが似合う』
と言った。
潤が、実力行使に出ようとすると、昴に、手に持っていた電動ドリルを突きつけられた。
『せめて黒にしてよ。男なんだから。その方がかっこいいし』
潤は訴えた。
『黒は暗闇で見えない。それに、天井に天使がいるから、イメージ的に白だ』
と昴は言い張った。
『天上は天使なんだけど、地上は黒なんだよ』
潤は、コンセプトを説明した。
すると昴は言い放った。
『マッドなオヤジのいかれたゴシック趣味に傾倒してんじゃねぇよ、この腰巾着』
そして、ロックな、と潤が思っていたヘッドボードを壁に造形してあったのだ。
それなのに、昴に、『趣味が悪い』『気持ち悪いからやめろ』とこき下ろされて、はずさせられてしまった。
なので、ベッドを壁から離してヘッドレスの開放感をしばらく楽しんでいた。
『これだと、いろんな方向で、いろんな体位が自由にできるね。ぶつからないからいいよね。寝る時、うっかり頭もぶつけないし』
潤は、前向きにとらえて言った。
それを黙って聞いていた昴は、何か考えていたようだった。
月曜に学校からマンションに帰ってくると、昴が潤のベッドにアイアンのベッドフレームのヘッド部分を取り付けていた。
『兄貴、人のベッドに勝手に、何してんだよ!』
潤は、阻止しようとした。
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昴は、古美術品屋というか、古道具屋(アンティークショップと潤が言うと、スイーツみたいな言い方をするな、と昴は怒った)でバイトをしているらしく、しょっちゅう、安く買ったのか、もらったのか知らないが、得体の知れないガラクタを部屋に持ち込んでいた。
若干、潔癖症がかっている清潔好きの潤は、そのたびに嫌がったが、昴は、ガラクタの持ち込みをやめなかった。
アイアンのベッドフレームのヘッド部分だけって存在しないのに、いったい昴は何をどうやって取り付けたんだ? 鉄柵? 檻? 古いジャンクなベッドを切断したのか? 粗大ゴミから拾ってきたのか? バイト先でもらってきたのか?
『お前には、これが似合う』
と言った。
潤が、実力行使に出ようとすると、昴に、手に持っていた電動ドリルを突きつけられた。
『せめて黒にしてよ。男なんだから。その方がかっこいいし』
潤は訴えた。
『黒は暗闇で見えない。それに、天井に天使がいるから、イメージ的に白だ』
と昴は言い張った。
『天上は天使なんだけど、地上は黒なんだよ』
潤は、コンセプトを説明した。
すると昴は言い放った。
『マッドなオヤジのいかれたゴシック趣味に傾倒してんじゃねぇよ、この腰巾着』
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