潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十六章

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平日の夜中、灯りのついていない潤の部屋のベッドに、裸で横たわった青少年二人は、「正三角関係」について議論していた。

一戦交えた後とはいえ、あらためて客観的に見ると、ずいぶんのんきな情景だった。

潤は高二で十六、トモは大学二年で二十歳だった。

二人とも美しかった。

潤の身長は百七十cmで体重は五十kgあるかないか、トモの背は百八十くらいで、体重はわからないが、細身だった。

潤の髪はさらさらした直毛の黒髪で、斜めわけの前髪が額に垂れていて、襟足の髪がうなじにかかっていた。

「いや、でも、心情的に無理だなあ」

トモは、天井を向いて寝転がって言った。

潤は、トモの視線をちらっと追った。

天井の照明は、インゴ・マウラーのバーディだったが、今は暗くて、丸い電球とにょろにょろした電線と、天使の羽だけが薄灰色に見えた。

「どうして?」

潤は、腹ばいでひじをつきながら、トモの方を向いて聞いた。

「二人を平等に扱えないんじゃないかな?」

「できると思うよ?  だって、それぞれいいところがあるから」

潤は、白いアイアンのベッドフレームのヘッド部分を手で握った。

それは、昴が取り付けたものだった。



『やめてよ、女の子じゃないんだから』

潤は、せっかくママンの趣味から逃れて、マンション暮らしでは自分の趣味にできると思ったのに、昴に勝手なことをされて、腹を立てて喧嘩になった。
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