潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十六章

トモ 18

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「いいよ。離れられなくなればいいよ」

潤は、少し凶暴な気持ちで言った。

それは、愛しさの募った感情だった。

トモが、潤の身体を撫でながら尋ねた。

「ジュン君……ほしいの?」

トモの声が低く響いた。

「うん、いっぱい、して?  潤、トモさんの、すごく、ほしい」

身体中が熱かった。

あたたかいきれいな身体、優しい微笑み、甘い口づけ。

全て手の届くところにある。

その腕の中にいる。

「どうして、潤とトモさん、別れないといけないのかな?」

潤は、甘えて尋ねた。

「そんなに、潤のこと好きなら、ずっといっしょにいてくれてもいいのに」

潤は、少しだけ期待して、言った。

トモの手がピタリと止まった。

「ジュン君って、昴と……寝てるんだよね?」

トモは、ポツリと言った。

「え?」

トモは、身体を離した。

「どうして、急に?」

肩透かしをくらった潤は聞いた。

「急に思い出した。さっき、昴のこと話したからかな」

からんだ手脚が解かれた。

「どうして?  昴兄さんのこと、好きになったの?」

潤は面食らって尋ねた。

「そうじゃないけど」

トモは煮え切らない態度で言った。

「兄さんと寝てるかどうか、知りたいの?」

潤は聞いた。

「うん」

「知ってるでしょ?」

「今でも、そうなのか知りたい」
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