潤 閉ざされた楽園

リリーブルー

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第十六章

トモ 7

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「いいんですよ、あれ、兄さんが悪いんだし」

潤は、トモをかばって言った。

「あの時は、びっくりしたよ。昴が、君を裸にして、俺と寝ろだなんて言いだすから」

トモも言った。

「俺も、びっくりしました」

潤が言った後、トモは、少しためらっていたが、思い切ったように口を開いた。

「あのさ、こんなこと言ったら嫌われると思うけど、もう付き合わない方がいいと思うから、言ってしまうけど、ジュン君と初めて寝た時から、君のことが、頭を離れない」

トモが苦しそうに言った。

「え?」

意外だった。

なぜこんな、モテそうな人が、俺なんかに、と潤は思った。

「いや、俺、単なる、生意気な高校生ですし」

潤は、トモが何か、買いかぶっているのかなあ、と思った。

「いや、そういう、高尚な精神的な何かに惹かれてるとかじゃなくて、即物的に、強烈に、肉体的に、ひかれてしまった」

「そう、ですか」

潤は、いっきに失望した。

思い上がりだと思って、恥ずかしかった。

少しでも、自分の中身を評価してもらえたと思った自分が、おめでたくて、恥ずかしかった。

「だから、自分が、恥ずかしい」

「いえ、恥ずかしいのは、俺の方です」

潤は、恥ずかしいという言葉がシンクロしたので、余計恥ずかしくなり、しゃにむに言った。
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