潤 閉ざされた楽園

第十六章

源氏物語 5 caution

『お前、あぶねえよ』

『潤先生の見解をどうぞ』

潤が、さっきから黙ってしまったので、皆が、注目していた。

『潤の母ちゃんって美人だぜ』

と中学が同じ生徒が言った。

『まじ？』

『何お前、喜んでんだよ』

『潤を見れば想像つくだろ』

『潤に似てる？』

『お前、わくわくすんなよ』

誰かが誰かを引っ叩いた。

『いや、うち、継母だから』

一瞬、しーんとなったので、あ、言わなきゃよかったかな？  と潤は、思った。

『あ、俺、気にしてないから、気をつかわなくていいよ』

潤は、言った。

気の毒がられたくは、なかった。

『や、ごめん』

級友たちは、まだ遠慮しているようだった。

継母だからかわいそうとか思われたくないなあ、と潤は思った。

そこで、

『大丈夫、愛されてるから』

と潤は言った。

『愛されてる？』

『お前、変な想像してるだろ？』

誰かが誰かの首を腕でしめた。

『ちがっ』

『潤と美人な継母、リアルにヤバい』

『おい、やめとけよ』

潤は、黙っていた。

『潤先生、否定しないとこが、怖いんですけど』

『何を否定するの？』

『きたー。潤先生マジですか？』

『現代版光源氏、おそろしいです』

『そのうち、美少年拉致るなよ』

『やべー、潤に拉致られたい』

『お前じゃ無理、美少年じゃねえし』