潤 閉ざされた楽園

第十六章

源氏物語 3 caution

『さすが、潤先生。価値観違うわ』

揶揄されたが、馬鹿にされた感じではなかった。

そこがこの学校のいいところで、価値観が違うからといって、虐められたり、無視されたりすることは、なかった。

みな、知的で大人で、いい家庭の息子が多かったので、余裕があったのかもしれない。

それもあったかもしれないがそれよりずっと大きい要因だと思うのは、みんな全員、それぞれ変わっていたからだと思う。

変人が揃っていたのだ。

なので、互いの価値観を尊重するところがあったのかもしれない。

中学校の「いじめ」という名の暴力は、少しでも価値観が違うと感じられえう者がターゲットにされることが多いようだった。

だから、平均点の多数派でなく、偏差値70の少数派だという理由で、ターゲットにされる場合もあったわけだ。

そこまで学業に重きを置いているに違いない、価値観が違う、とみなされるのだろう。

まあ、でも、理由は、それだけでなく、もっと違う理由が必要だろう。

多くは、家庭環境、親との関係が不安定だと起こるらしい。

潤も、小学生や中学生の時、級友に虐められたので、そんなことを考えた。

『だってさ、潤、好きな人に似てるから好きって失礼じゃない？  その人が好きなわけじゃないんだから』

級友に話しかけられて、潤は我に返った。