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第十五章 晩餐にて
指を噛む
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潤は、顔をあげた。
興奮で、泣きそうにうるんだ目になっていた。
潤は、おじ様の親指と人差し指につままれた、ブルーレアの肉片を横目で見て、泣きそうな顔で、言った。
「いら……ないの、それより」
いいかけた潤の唇の隙間に、おじ様の中指が、すかさず滑り込んだ。
「あっ……ん……」
潤は、切なそうに、あごを上げて、目をつぶった。
ぎゅっとつぶった目の端から、一筋、涙が流れた。
「おじさは……いや」
おじ様の指を軽く噛んだ状態で、潤は、口に入ってこようとするものを拒否して、無理にしゃべった。
「そんなに強く、噛むんじゃない。主人の指を食いちぎるつもりか? え? この可愛い犬は。私の指は、餌じゃない。噛むなら肉を噛みなさい」
いやなら、指を噛まず、放して、顔をそむければいいのに、と僕は思ったが、潤は、そうではないらしい。
口に入ってきた指を、とっさに噛んだのは、お見事だが、その後も、おじ様の指をいつまでも甘噛みしているようだった。
「そんな風に、指を舐めてみてもだめだよ」
おじ様が笑った。
指を、舐めているのか……。
あたたかい潤の口腔、生き物のようにうごめく舌、僕は、思い出し、想像した。
うらやましい、僕も、潤に、舐められたい。
興奮で、泣きそうにうるんだ目になっていた。
潤は、おじ様の親指と人差し指につままれた、ブルーレアの肉片を横目で見て、泣きそうな顔で、言った。
「いら……ないの、それより」
いいかけた潤の唇の隙間に、おじ様の中指が、すかさず滑り込んだ。
「あっ……ん……」
潤は、切なそうに、あごを上げて、目をつぶった。
ぎゅっとつぶった目の端から、一筋、涙が流れた。
「おじさは……いや」
おじ様の指を軽く噛んだ状態で、潤は、口に入ってこようとするものを拒否して、無理にしゃべった。
「そんなに強く、噛むんじゃない。主人の指を食いちぎるつもりか? え? この可愛い犬は。私の指は、餌じゃない。噛むなら肉を噛みなさい」
いやなら、指を噛まず、放して、顔をそむければいいのに、と僕は思ったが、潤は、そうではないらしい。
口に入ってきた指を、とっさに噛んだのは、お見事だが、その後も、おじ様の指をいつまでも甘噛みしているようだった。
「そんな風に、指を舐めてみてもだめだよ」
おじ様が笑った。
指を、舐めているのか……。
あたたかい潤の口腔、生き物のようにうごめく舌、僕は、思い出し、想像した。
うらやましい、僕も、潤に、舐められたい。
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