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3、病院
せせら笑う
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安田としては、生徒に歩み寄ったつもりだった。
なのに生徒は、
「安田先生は、僕に、何が聞きたいんですか」
と、つっけんどんに聞き返してきた。
「西島は、イカと、南の島で、どんなことをしていたんだ?」
安田は、生徒の塩対応にめげずに尋ねた。
「安田先生、僕に、エッチな話を、期待してるんですか」
西島は、鼻でせせら笑った。
そして、おもむろに、安田の身体にかかっている薄い掛け布団をめくった。
安田は、慌ててパジャマの前を隠し、羞恥に顔を熱くした。
「ふうん。期待してるんですね」
西島は、安田の下半身を見て、せせら笑った。
「違うんだ。これはイカ毒の影響で……」
安田の弁解を西島はさえぎり、馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべて言った。
「僕が、イカとエッチなことをしてた、みたいな話を」
勝ち誇ったような西島の目には怒りがあった。
「期待じゃない。危惧したんだ。僕たちは、イカから酷い暴力を受けたばかりだから。それに、君は、まだ高校生だし。いろいろ聞かれるのは酷だろう」
安田は、善意の配慮を伝えようとする。
「それって、僕にとってというより、先生にとって酷だったんでしょ?」
西島が、鼻をひくひくさせて得意そうに言う。小生意気でしばいてやりたい表情だが、グッとこらえた。
「もちろん、僕も、イカから暴力を受けたばかりだ。もし、自分が、根掘り葉掘り聞かれたらつらくなるだろう。だから、君も、これ以上傷ついたらいけないと思ってかばったつもりだったんだ」
安田は自分で自分の心を落ち着けるように静かに説明した。
「違うよ。先生は、嫉妬してるんだ。僕を一人じめにしたくて」
西島は、頑なに言う。
「そうかもな」
安田は折れた。西島の願望が入っているのかもしれない。彼がそう思うという気持ちは受け止めた。実際、自分にそういう気持ちがないわけでもない気がした。これも触手毒の影響だろうか。
「そうだな。耐えられなかったのは、僕の方だ。僕が決めることじゃなかったな。君は嫌だったら自分で断れたのだろう」
安田は、闘いを放棄した。
横たわったまま、力なくベッドに投げ出された安
田の手に、西島の手が重なった。
「先生、許してほしいですか?」
西島が聞いた。
「ああ。許してほしい」
安田は答えた。
なのに生徒は、
「安田先生は、僕に、何が聞きたいんですか」
と、つっけんどんに聞き返してきた。
「西島は、イカと、南の島で、どんなことをしていたんだ?」
安田は、生徒の塩対応にめげずに尋ねた。
「安田先生、僕に、エッチな話を、期待してるんですか」
西島は、鼻でせせら笑った。
そして、おもむろに、安田の身体にかかっている薄い掛け布団をめくった。
安田は、慌ててパジャマの前を隠し、羞恥に顔を熱くした。
「ふうん。期待してるんですね」
西島は、安田の下半身を見て、せせら笑った。
「違うんだ。これはイカ毒の影響で……」
安田の弁解を西島はさえぎり、馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべて言った。
「僕が、イカとエッチなことをしてた、みたいな話を」
勝ち誇ったような西島の目には怒りがあった。
「期待じゃない。危惧したんだ。僕たちは、イカから酷い暴力を受けたばかりだから。それに、君は、まだ高校生だし。いろいろ聞かれるのは酷だろう」
安田は、善意の配慮を伝えようとする。
「それって、僕にとってというより、先生にとって酷だったんでしょ?」
西島が、鼻をひくひくさせて得意そうに言う。小生意気でしばいてやりたい表情だが、グッとこらえた。
「もちろん、僕も、イカから暴力を受けたばかりだ。もし、自分が、根掘り葉掘り聞かれたらつらくなるだろう。だから、君も、これ以上傷ついたらいけないと思ってかばったつもりだったんだ」
安田は自分で自分の心を落ち着けるように静かに説明した。
「違うよ。先生は、嫉妬してるんだ。僕を一人じめにしたくて」
西島は、頑なに言う。
「そうかもな」
安田は折れた。西島の願望が入っているのかもしれない。彼がそう思うという気持ちは受け止めた。実際、自分にそういう気持ちがないわけでもない気がした。これも触手毒の影響だろうか。
「そうだな。耐えられなかったのは、僕の方だ。僕が決めることじゃなかったな。君は嫌だったら自分で断れたのだろう」
安田は、闘いを放棄した。
横たわったまま、力なくベッドに投げ出された安
田の手に、西島の手が重なった。
「先生、許してほしいですか?」
西島が聞いた。
「ああ。許してほしい」
安田は答えた。
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