巨大触手に襲われる生徒と教師

１、教室

恥知らずな行為

　気持ちいい……。ああ、そうだ、西島君、君の言う通りだ。この淫らな行為は、とても気持ちいいよ……。そんなことを口にしてしまいそうになる。可憐な生徒の前で、醜悪な姿をさらし、いやらしい行為に誘うかのような、そんなことばを吐くなんて、絶対に、ダメだ。 
　だが、事実を言うならば本当のことだ。今までのセックスで得られる何倍もの快感を、安田は感じていた。こんな化け物におかされて感じているなんて。それも、模範たるべき教師が、生徒の前で、こんな……。
 「先生、すごく気持ち良さそう」
 西島は、安田を辱めるつもりはないのだろうが、彼の口にすることばは、安田を追いつめた。 

「あっ……んん……」

なんとか弁解しようとするが、手遅れだ。打つ手がない。こんなに淫らな姿を見せてしまったあとで、いったい、どんな言い訳がきくというのだろう。何を言っても無駄な気がした。快感が邪魔をしてことばが出なかったが、たとえことばを発することができたとしても、何も言えないだろうと思われた。
 　快感が邪魔をして、口からこぼれるのは、いやらしい喘ぎ声ばかり。 
　こんな、恥ずかしい教師になり下がった自分を、今後、西島は、どう見るのだろうか。もう、真面目に授業を聞く気になどならないだろう。それどころか、卒業まで、ずっと話しかけても、返事もしてくれなくなるかもしれない。こんな、ふしだらで恥ずかしい姿を見せてしまったのだから。

 「先生、すごく色っぽいです」
 西島が、赤い顔をして、自分で自分の下半身をいじりながら言った。ああ、そうか、西島も、おかしくなっているのだ。安田は、やっと気づいた。西島が、こんなことを言うなんて、こんな態度をとるなんて、おかしい。西島は、怪物を前に、逃げ出しもしないで、教師の恥知らずな行為を眺めて、自らも自慰行為などをしているのだ。おかしい。彼もこの異常な事態に対処できなくて、混乱しているのかもしれない。

 「あぁ……西島……」

 「なんですか、先生。なんでも言ってください」
 安田は、助けを求めようとした。誰かに知らせてくれと。これ以上、こんな教育上悪い姿を生徒に見せ続けるわけにはいかない。
 　しかし、安田には、ためらいがあった。こんな姿を他の教師に見られるのは、もっと恥ずかしいことだった。