1 / 1
Silver Wolf
しおりを挟む
二十七歳の高校教師、小坂愛出人(こさか おでと)は、薄暗い雑居ビルのホールで、エレベーターを待っていた。入居者プレートには、黒に銀色で"Silver Wolf"の文字が刻まれていた。
発情したフリーのΩが、その熱を鎮めるための店だ。
いくらΩとはいえ、抑制剤もあるのだ。小坂は、こういった店を利用するΩたちを、自律心の弱い者、あるいは快楽を貪る者、と軽べつしていた。
自分は、Ωだが、努力して教師の職を得、真面目に勤務している。こんないかがわしい店の世話になど、なりはない。自分は自分をコントロールできている。Ωという恵まれない、ハンデのある性別だったが、その自分の運命すら超克できている。
そう思っていた。今日までは。
今、小坂は、運命に打ちのめされていた。身も心も。
それでも、小坂の冷静な判断が、彼をここまで運んできていた。だから、自暴自棄にはなっていないつもりだった。
他人に詳細を語りたくなかった。理解など期待していなかった。ただ、この狂ったような異様な熱をしずめてほしいだけだ。そう思っていた。
小坂は、エレベーターを降りると、無機質なドアを開けた。
鋭い目つきの男が、傲然と頭をかかげ、小坂に向かって歩をすすめてきた。無駄のない筋肉のついた身体を、滑らかなスーツの生地が包んでいた。
見るからに、「αの男」だった。
「お前か。生徒と交わったという、淫乱なΩは」
小坂はネットで必要事項を記入してサービスを予約し、事前にカードで支払いも済ませてあった。
男は、麓戸(ろくと)と名乗った。
小坂は、男の冷たい美貌に、一瞬で惹かれた。少し頬がこけ、人生に倦んだ雰囲気も、疲労の色も、年上の男の色香と感じた。酷薄そうな唇、冷酷なまなざし。冷血漢。
男は、小坂に中に入るように言うと、ドアに鍵をかけた。
(kindle版、書籍版で販売)
発情したフリーのΩが、その熱を鎮めるための店だ。
いくらΩとはいえ、抑制剤もあるのだ。小坂は、こういった店を利用するΩたちを、自律心の弱い者、あるいは快楽を貪る者、と軽べつしていた。
自分は、Ωだが、努力して教師の職を得、真面目に勤務している。こんないかがわしい店の世話になど、なりはない。自分は自分をコントロールできている。Ωという恵まれない、ハンデのある性別だったが、その自分の運命すら超克できている。
そう思っていた。今日までは。
今、小坂は、運命に打ちのめされていた。身も心も。
それでも、小坂の冷静な判断が、彼をここまで運んできていた。だから、自暴自棄にはなっていないつもりだった。
他人に詳細を語りたくなかった。理解など期待していなかった。ただ、この狂ったような異様な熱をしずめてほしいだけだ。そう思っていた。
小坂は、エレベーターを降りると、無機質なドアを開けた。
鋭い目つきの男が、傲然と頭をかかげ、小坂に向かって歩をすすめてきた。無駄のない筋肉のついた身体を、滑らかなスーツの生地が包んでいた。
見るからに、「αの男」だった。
「お前か。生徒と交わったという、淫乱なΩは」
小坂はネットで必要事項を記入してサービスを予約し、事前にカードで支払いも済ませてあった。
男は、麓戸(ろくと)と名乗った。
小坂は、男の冷たい美貌に、一瞬で惹かれた。少し頬がこけ、人生に倦んだ雰囲気も、疲労の色も、年上の男の色香と感じた。酷薄そうな唇、冷酷なまなざし。冷血漢。
男は、小坂に中に入るように言うと、ドアに鍵をかけた。
(kindle版、書籍版で販売)
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
壁乳
リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。
最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。
じれじれラブコメディー。
4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。
(挿絵byリリーブルー)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる