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第十一章 再び生徒会室
新しい時代
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「許せないな、俺は、そんなこと聞いたら、小坂を……」
風紀委員長の声は、いきどおっていた。
「僕だって許せないよ」
生徒会長も賛同した。
生徒会長は小坂の方をチラッと見てから、
「でも、いいんだ……」
と言った。
生徒会長は、うつむいて続けた。
「僕は、ちょっと嬉しかった」
はにかんだように微笑む生徒会長。
「え……ええっ?」
聞き返す風紀委員長の声は、困惑していた。
「どういうことだよ……」
「だって、僕は小坂先生を好きだったんだから」
「え?」
と風紀委員長は聞き返した。
生徒会長は、下を向いて、床をつま先で蹴りながらつぶやいた。
「なのに校長とあんな関係で……その上、あっという間に宮本に乗り換えたりして……」
宮本は、ベッドの脇の椅子に座って、黙って二人の会話を聞いている。
「宮本に……乗り換えるって……。まさかだけど、君は、小坂先生とつきあってでもいたのか?」
風紀委員長が生徒会長に問いただした。
「そういうんじゃないけど。そんなの無理だし……」
生徒会長はギュッと唇を結んだ。
「なんだ。びっくりした。つきあってたわけじゃないんだな」
風紀委員長は、ほっとしたようにため息をついた。
「なのに、村田と……」
生徒会長は、つぶやいた。
「仕方ないよ。小坂はマゾなんだから」
風紀委員長は断言した。
「それは、僕は、違うと思うんだ」
生徒会長は反論した。
「違わないよ。小坂は、ああいう行為が好きなんだ」
風紀委員長が、生徒会長をなだめるように言った。
「君は、自分のことと混同しているみたいだな。小坂に感情移入しすぎだ」
風紀委員長が、指摘した。
「でも、それで君が楽になるなら止めはしない。なんだったら、君が小坂のことを、ずっと好きでいたってかまわない。君が誰のことを思っていようと、俺は、君のことを守りたいし、大事に思っていることに変わりはないからな」
風紀委員長は言った。
「君はそんなこと言うけど……君だって、小坂……先生が好きなんだろう?」
生徒会長が少し頬を染めて顔をあげた。
「……君と小坂は、似ているところがあるからね……」
風紀委員長は、そっぽを向いて、生徒会長の顔を見ないようにして答えた。
「そうだろうね。僕も彼も、ラグビー部の……」
生徒会長が言いかけた。
「やめろよ、もう、そんなこと言うの」
風紀委員長が遮った。
「聞きたくないんだろうね……。嫌な話だから」
生徒会長は自嘲的な笑みを浮かべた。
「でも事実さ。事実から目を背けるのはよくないよ。僕は、事実に向き合えないような弱いやつでもないし、平気だ」
そういう生徒会長の目は少しも笑っていなかった。
「そうじゃない」
風紀委員長が、はっきりと言った。
「君は、もう生徒会長だ。小坂先生だって、もう先生だ」
生徒会長が、ためらうように小坂を振り返った。小坂はうなずいてみせた。
風紀委員長が、生徒会長の肩に手を置いて、前を向かせた。
「君は新しい時代のリーダーだ」
風紀委員長は、宮本を見て言った。
「そして、宮本が次の時代を担う」
二人の上級生に注目された宮本は、驚いたように目を見開いた。
風紀委員長の声は、いきどおっていた。
「僕だって許せないよ」
生徒会長も賛同した。
生徒会長は小坂の方をチラッと見てから、
「でも、いいんだ……」
と言った。
生徒会長は、うつむいて続けた。
「僕は、ちょっと嬉しかった」
はにかんだように微笑む生徒会長。
「え……ええっ?」
聞き返す風紀委員長の声は、困惑していた。
「どういうことだよ……」
「だって、僕は小坂先生を好きだったんだから」
「え?」
と風紀委員長は聞き返した。
生徒会長は、下を向いて、床をつま先で蹴りながらつぶやいた。
「なのに校長とあんな関係で……その上、あっという間に宮本に乗り換えたりして……」
宮本は、ベッドの脇の椅子に座って、黙って二人の会話を聞いている。
「宮本に……乗り換えるって……。まさかだけど、君は、小坂先生とつきあってでもいたのか?」
風紀委員長が生徒会長に問いただした。
「そういうんじゃないけど。そんなの無理だし……」
生徒会長はギュッと唇を結んだ。
「なんだ。びっくりした。つきあってたわけじゃないんだな」
風紀委員長は、ほっとしたようにため息をついた。
「なのに、村田と……」
生徒会長は、つぶやいた。
「仕方ないよ。小坂はマゾなんだから」
風紀委員長は断言した。
「それは、僕は、違うと思うんだ」
生徒会長は反論した。
「違わないよ。小坂は、ああいう行為が好きなんだ」
風紀委員長が、生徒会長をなだめるように言った。
「君は、自分のことと混同しているみたいだな。小坂に感情移入しすぎだ」
風紀委員長が、指摘した。
「でも、それで君が楽になるなら止めはしない。なんだったら、君が小坂のことを、ずっと好きでいたってかまわない。君が誰のことを思っていようと、俺は、君のことを守りたいし、大事に思っていることに変わりはないからな」
風紀委員長は言った。
「君はそんなこと言うけど……君だって、小坂……先生が好きなんだろう?」
生徒会長が少し頬を染めて顔をあげた。
「……君と小坂は、似ているところがあるからね……」
風紀委員長は、そっぽを向いて、生徒会長の顔を見ないようにして答えた。
「そうだろうね。僕も彼も、ラグビー部の……」
生徒会長が言いかけた。
「やめろよ、もう、そんなこと言うの」
風紀委員長が遮った。
「聞きたくないんだろうね……。嫌な話だから」
生徒会長は自嘲的な笑みを浮かべた。
「でも事実さ。事実から目を背けるのはよくないよ。僕は、事実に向き合えないような弱いやつでもないし、平気だ」
そういう生徒会長の目は少しも笑っていなかった。
「そうじゃない」
風紀委員長が、はっきりと言った。
「君は、もう生徒会長だ。小坂先生だって、もう先生だ」
生徒会長が、ためらうように小坂を振り返った。小坂はうなずいてみせた。
風紀委員長が、生徒会長の肩に手を置いて、前を向かせた。
「君は新しい時代のリーダーだ」
風紀委員長は、宮本を見て言った。
「そして、宮本が次の時代を担う」
二人の上級生に注目された宮本は、驚いたように目を見開いた。
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