イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

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第二十三章

イケメン教師、生徒の宮本に助けられる

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 小坂は授業中に解説していた。
「若紫を、光源氏は育てて妻にしようとします」
「やべえ、ロリコンじゃん」
生徒がまぜっかえす。
「小児性愛者。ペドフィリア」
前の席の生徒が、ボソッと言った。
「えっ……」
小坂は動揺した。心臓がバクバクしてきた。
「ええと……なぜなら、光源氏は幼い時に母を亡くし……」
「で、義母とヤッて子どもつくったんだろ?」
後ろの方の生徒が大声で言って、みんながゲラゲラ笑った。
「やばっ」
生徒が、ふざけた声で言う。
「えっ……」
一層、小坂の動揺が酷くなった。
「オデちゃん、さっきから動揺しまくってるし」
からかいの声。
「身に覚えがあるんじゃないの?」
教室のあっちからこっちから揶揄する声が飛んでくる。
「オデちゃん、両刀って噂だし」
「熟女好きらしいよ」
「やべえ。小坂、マニアック」
「好きものじゃん」
小坂は吐き気を覚えて口に手を当てた。
「オデちゃん、ゲロ吐いちゃう」
「吐いちゃえ、吐いちゃえ」
生徒の声が囃し立てた。
「ゲロ吐くオデちゃん見たい」
「ゲロ吐きプレイ、マニアだねえ」
「◯◯◯勃っちゃう」
「先生」
 宮本が声をあげ席を立って、小坂の側に駆け寄った。
「大丈夫ですか。保健室、行きましょう」
小坂は、宮本を突き飛ばして教室を飛び出した。
「なんで? なんで? どうした?」
生徒たちが立ち上がって騒いでいる。
「義母とやってたんじゃねえの?」
「小児性愛者とやってたんじゃねえの?」
後ろで声が聞こえた。

 小坂が便器の縁をつかんで吐いていると、背後に人の気配を感じた。
「先生……大丈夫ですか?」
宮本の声だった。
 宮本の手が背中をさすってくれた。
「ごめんなさい。先生、顔色がすごく悪かったから、心配で」
「突き飛ばして、ごめん。吐きそうで……うっ」
謝ろうとしたけれど吐き気のが勝った。
「大丈夫、わかってますから。無理して話さなくていいですよ」
宮本がいたわってくれる。
 水を流し、個室を出て、手洗い場で口をすすいだ。
「保健室で休んでください。皆には自習するように言いますから」
「うん……。ありがとう。すまないね。そうするよ」
小坂が言うと、宮本は心配そうに振り返りながら教室へと戻っていった。
 怖かった。足がすくんだ。生徒に甘えている。どうかしているけれど、無理だった。

 保健室に行くと、校医は不在だが、幸い鍵は開いていて、小坂は寝台に横になることができた。

 終業の鐘が鳴り、
「先生、お加減いかがですか」
と見舞いに来たのは宮本だった。
「ああ、ありがとう。だいぶよくなった」
と起きあがろうとすると、
「まだ顔色が良くないですよ。横になっていてください」
と宮本に言われた。

 枕元で宮本が打ち明けた。
「僕、あれから、ずっと、なんてことしちゃったんだろって思ってて」
生徒会室でのこと、旧部室棟での淫らな行為のことを言っているのだろう。本当だ。あんな行為、宮本にはふさわしくない。あんなことをさせてしまうなんて、教師として失格だ。
「僕こそ。どうかしていた」
悔やんでも悔やみきれない。小坂が自分を責めて苦しくなっている時に、宮本が言った。
「僕、生徒会長に立候補することに決めました」
「えっ、そうなのか」
ふいを突かれて、小坂は驚いた。
「やっぱり、この学校がおかしいと思うから。僕は変えたいんです」
強い意志を感じさせる声。前向きな瞳。まぶしい。
「そうか。よく決心したな。えらいぞ」
と小坂が感心すると、
「生徒会長に頼まれたからなんですけどね」
と宮本は照れ臭そうに鼻の頭をこすった。
「だから僕、条件をつけたんです。生徒会長の頼みを受け入れる代わりに」
「どんな?」
小坂は尋ねた。
「僕が生徒会長に立候補する代わりに、小坂先生に誰もエッチなことをしないようにさせてって」
「へえ……」
それで、最近、学校で生徒たちが誰も誘ってこなくなったのか。
「それでも、まだ、さっきみたいなことがあるから、それもなくしていきたいんです、僕は」
「そうか……」
こんな情けない教師の下でも、若い芽は、備わった自然の力で光の方向へ伸びてくれたのか、と小坂は感動した。
「先生も、『この学校の悪しき風習を変えたいと思っていた』と話してくれたでしょう? その時は、自分にそれができるって思わなかったけど」
そうだっただろうか。自分も生徒のために、またこの学校を良い方向に変えるために、何かできたのだろうか。かつては、夢も希望もあった気がする。ことごとく打ち砕かれたけれど。
 嬉しいのと同時に寂しさや、焦りもあった。
 みんな前に進んでいく。自分だけが取り残されていく気がした。
 しかし、誇らしかった。生徒が。そして自分も少し。
 過去の自分に対して、また同じようにたくさんの傷ついた者たちのために小さな改善ができそうな兆しが見えて、嬉しかった。小坂は、少しだけ安堵した。
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