325 / 407
第二十一章 麓戸の追憶(麓戸視点)
麓戸の自問
しおりを挟む
「さあ……僕に聞かれても」
小坂は困ったように麓戸から目を逸らした。
麓戸は自問した。
確かに小坂は、「酷くして」と言っていた。何人もの人としたがった。
だが、それを真にうけてよかったのだろうか。
小坂の要求を叶えることが果たして本当に小坂のためになっていたのだろうか。傷を深めるだけだったのではなかろうか。もっと適切な対応があったのではないだろうか。数多の行為は、つらさをまぎらわせる麻薬のようなものでしかなかったのでは。
真面目な小坂が本当に楽しんでいたとは思えない。
でも、目を離したら死んでしまいそうな小坂を放っておけなかった。
自分の、いや性の虜になっていれば、とりあえず死なない。死にたくなるようなつらさを快楽にまぎれさせて生きのびてくれる。
そうやって延命させて、その間に、少しずつ傷が癒えていくのを待つ。それを見守ろうと思った。
未熟なやり方だ。野蛮な酷いやり方だ。ちっとも洗練されていない。到底、正しいとは思えない。
だが、自分に、はそれ以外の方法を思いつけなかったのだ。
本当か? 言い訳だろう。
店は、自分が仕切っていたから、小坂には安全だったはずだ。小坂がやみくもに巷で相手を見つけるよりは。できるだけ安全にできるようにしたが、本当に安全だったかはわからない。
ああ、今さら何を言っても言い訳めいている。
結局好きだったからじゃないか。小坂をいたぶるのが。自分は確実にその楽しみを満喫した。
被虐に震え、快楽に喘ぐ美しい青年の姿を見て下半身は熱くなり、脳が痺れるような興奮を覚えた。
籠の中の小鳥を慈しむように、小坂を愛した……つもりだった。
結局、自分のしていることは加害者のあいつらと同じではないのか?
麓戸は自問に答えられなかった。
小坂は困ったように麓戸から目を逸らした。
麓戸は自問した。
確かに小坂は、「酷くして」と言っていた。何人もの人としたがった。
だが、それを真にうけてよかったのだろうか。
小坂の要求を叶えることが果たして本当に小坂のためになっていたのだろうか。傷を深めるだけだったのではなかろうか。もっと適切な対応があったのではないだろうか。数多の行為は、つらさをまぎらわせる麻薬のようなものでしかなかったのでは。
真面目な小坂が本当に楽しんでいたとは思えない。
でも、目を離したら死んでしまいそうな小坂を放っておけなかった。
自分の、いや性の虜になっていれば、とりあえず死なない。死にたくなるようなつらさを快楽にまぎれさせて生きのびてくれる。
そうやって延命させて、その間に、少しずつ傷が癒えていくのを待つ。それを見守ろうと思った。
未熟なやり方だ。野蛮な酷いやり方だ。ちっとも洗練されていない。到底、正しいとは思えない。
だが、自分に、はそれ以外の方法を思いつけなかったのだ。
本当か? 言い訳だろう。
店は、自分が仕切っていたから、小坂には安全だったはずだ。小坂がやみくもに巷で相手を見つけるよりは。できるだけ安全にできるようにしたが、本当に安全だったかはわからない。
ああ、今さら何を言っても言い訳めいている。
結局好きだったからじゃないか。小坂をいたぶるのが。自分は確実にその楽しみを満喫した。
被虐に震え、快楽に喘ぐ美しい青年の姿を見て下半身は熱くなり、脳が痺れるような興奮を覚えた。
籠の中の小鳥を慈しむように、小坂を愛した……つもりだった。
結局、自分のしていることは加害者のあいつらと同じではないのか?
麓戸は自問に答えられなかった。
0
お気に入りに追加
2,508
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。


わるいむし
おととななな
BL
新汰は一流の目を持った宝石鑑定士である兄の奏汰のことをとても尊敬している。
しかし、完璧な兄には唯一の欠点があった。
「恋人ができたんだ」
恋多き男の兄が懲りずに連れてきた新しい恋人を新汰はいつものように排除しようとするが…

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる