63 / 407
第四章 校長とイケメン教師
イケメン教師、村田に校長の犬と言われる
しおりを挟む
校内放送が流れ、校長が戻ってほどなく、村田が血相を変えて校長室に来た。まだ下校していなかったようだ。
「君、小坂先生をおどしているそうじゃないか」
校長が、村田をソファの反対側に座らせて聞いた。
「違います。小坂先生が、俺を誘って、エッチなことをしようって言ってきて。生徒とするのが、病みつきらしくて。俺の友達も、被害にあってます」
村田は、でたらめを言った。
「誰だ」
「宮本ってやつです。証拠の動画もあります。見ます?」
村田はスマホを取り出して、画面を操作し、校長に見せた。
「ほほう。これは学校か?」
「旧部室棟です。小坂先生は、ここで隠れて宮本君に、いやらしいことをしていたんです」
どうやら、さっきの場面を撮影していたらしい。下半身裸の小坂が、全裸の宮本を抱きしめているように見える。最後には、小坂が宮本を机に押しつけて覆い被さっているように編集されていた。
「君がこれを撮影したんだね?」
校長は村田に尋ねた。
「そうです。宮本君が旧部室棟に行くのを見かけたので、おかしいと思ったんです。そしたら、やっぱりこんなことになっていて」
「君も小坂先生に、こういうことをされたのか?」
「はい。なのに、小坂先生は、校長先生に、僕が脅しているなんて言ったんですか? 脅されているのは、僕の方です。このことを言ったら、承知しないぞって」
「そうか」
校長は、スマホを村田に返した。
「この動画は、他の人に見せたり、外に流したりしたらだめだよ。小坂先生には私からよく注意をしておく。小坂先生の処分は私に任せなさい」
校長は言ったが、村田は不満そうな顔をしていた。
「ところで、君はお父さんがいないそうだな?」
校長は、いきなり話題を変えた。
「は? だから? 差別ですか? 最近、メールのやりとりしてて、今度、いっしょに食事することになってます」
そうなのか。そのことは小坂も聞いていなかった。
「そうか、それはよかったな」
校長は立ち上がって、村田の肩をたたいた。
「お父さんと会うのは久しぶりか?」
校長は、村田の隣に座った。
「会ったことないんですよ。覚えてないっていうか」
村田は、校長の親しげな態度に戸惑ったように、横に座った校長の方へ身体を向けながら答えた。
「私も大学生の息子が一人いるんだよ。引きこもりでね」
校長が打ち明けた。
「えー、そうなんですか。息子さん大丈夫ですか?」
「君みたいに友達がたくさんいればいいんだがね」
校長は、悩んでみせた。
「そうでもないですよ……。それより、俺、勉強が……。親父が大学の学費を出してくれるって言い出したんだけど、俺の入れる大学なんて、あんのかな……」
「部活をがんばりなさい。推薦がとれるよ」
「部活……。先輩に喧嘩売ってたから、今さら戻れないよ」
「先輩に謝ればいい」
「なんで俺が謝んなきゃいけないんだよ……」
村田は不満そうに口をとがらせた。
「じゃあ、小坂先生には、よく注意をしておくから」
村田は立ち上がり、校長に一礼して校長室のドアを開けた。村田は、ドアまで送っていった小坂に、
「告げ口してんじゃねぇよ。校長の犬!」
と小声で毒を吐くのを忘れなかった。
「君、小坂先生をおどしているそうじゃないか」
校長が、村田をソファの反対側に座らせて聞いた。
「違います。小坂先生が、俺を誘って、エッチなことをしようって言ってきて。生徒とするのが、病みつきらしくて。俺の友達も、被害にあってます」
村田は、でたらめを言った。
「誰だ」
「宮本ってやつです。証拠の動画もあります。見ます?」
村田はスマホを取り出して、画面を操作し、校長に見せた。
「ほほう。これは学校か?」
「旧部室棟です。小坂先生は、ここで隠れて宮本君に、いやらしいことをしていたんです」
どうやら、さっきの場面を撮影していたらしい。下半身裸の小坂が、全裸の宮本を抱きしめているように見える。最後には、小坂が宮本を机に押しつけて覆い被さっているように編集されていた。
「君がこれを撮影したんだね?」
校長は村田に尋ねた。
「そうです。宮本君が旧部室棟に行くのを見かけたので、おかしいと思ったんです。そしたら、やっぱりこんなことになっていて」
「君も小坂先生に、こういうことをされたのか?」
「はい。なのに、小坂先生は、校長先生に、僕が脅しているなんて言ったんですか? 脅されているのは、僕の方です。このことを言ったら、承知しないぞって」
「そうか」
校長は、スマホを村田に返した。
「この動画は、他の人に見せたり、外に流したりしたらだめだよ。小坂先生には私からよく注意をしておく。小坂先生の処分は私に任せなさい」
校長は言ったが、村田は不満そうな顔をしていた。
「ところで、君はお父さんがいないそうだな?」
校長は、いきなり話題を変えた。
「は? だから? 差別ですか? 最近、メールのやりとりしてて、今度、いっしょに食事することになってます」
そうなのか。そのことは小坂も聞いていなかった。
「そうか、それはよかったな」
校長は立ち上がって、村田の肩をたたいた。
「お父さんと会うのは久しぶりか?」
校長は、村田の隣に座った。
「会ったことないんですよ。覚えてないっていうか」
村田は、校長の親しげな態度に戸惑ったように、横に座った校長の方へ身体を向けながら答えた。
「私も大学生の息子が一人いるんだよ。引きこもりでね」
校長が打ち明けた。
「えー、そうなんですか。息子さん大丈夫ですか?」
「君みたいに友達がたくさんいればいいんだがね」
校長は、悩んでみせた。
「そうでもないですよ……。それより、俺、勉強が……。親父が大学の学費を出してくれるって言い出したんだけど、俺の入れる大学なんて、あんのかな……」
「部活をがんばりなさい。推薦がとれるよ」
「部活……。先輩に喧嘩売ってたから、今さら戻れないよ」
「先輩に謝ればいい」
「なんで俺が謝んなきゃいけないんだよ……」
村田は不満そうに口をとがらせた。
「じゃあ、小坂先生には、よく注意をしておくから」
村田は立ち上がり、校長に一礼して校長室のドアを開けた。村田は、ドアまで送っていった小坂に、
「告げ口してんじゃねぇよ。校長の犬!」
と小声で毒を吐くのを忘れなかった。
5
お気に入りに追加
2,508
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。


わるいむし
おととななな
BL
新汰は一流の目を持った宝石鑑定士である兄の奏汰のことをとても尊敬している。
しかし、完璧な兄には唯一の欠点があった。
「恋人ができたんだ」
恋多き男の兄が懲りずに連れてきた新しい恋人を新汰はいつものように排除しようとするが…

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる