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第二十章 麓戸の店で

イケメン教師、調教師に言い当てられて泣かされる

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麓戸がため息をついた。
「今日のオデトの話で理解したよ。オデトは小父さんとの行為が忘れられないんだろう? だから、あんな校長みたいな助平オヤジとの変態行為に執着しているんだ。校長は身体がデカいから、オデトは自分が少年になった気分を味わえるんだろう……」

「やめてください」
小坂は麓戸の話をさえぎって耳をふさいだ。
「もういいです、そんな話、やめて……」
小坂は顔を覆った。
 立ちくらみがしそうだった。


「おやおや。図星みたいだな。わかったよ、もう言わないから、泣くなよ。泣かれるとこっちもつらい」
麓戸は小坂の肩を抱いた。

「図星じゃありません」
小坂は言い返した。

「わかったよ。そういうことにしておくから。もう泣くな」
麓戸の声は笑いを噛み殺しているようだ。

「泣いてもいません」

「そうか。じゃあ顔を見せろよ。そんな風に手で隠してないでさ。ほら、こっち見ろよ」
麓戸が小坂の手を顔からはぎ取る。

小坂は膨れっ面をした。

「なんだ。やっぱり泣いてたんじゃないか。目が赤い」
麓戸が笑った。

「泣いてないです!」
涙なんかこぼしていない。

「まあ、いいさ。そうやって言い張っていれば」
麓戸はニヤニヤして小坂の顔を眺めている。


「それにしても」
麓戸は言う。
「ずいぶん興奮していたよな。小父さんとの行為を打ち明けていたとき」

「それは、麓戸さんじゃありませんか。僕はただ……」

麓戸は笑って小坂の言葉をさえぎる。
「ごめん。俺は、さっきも言った通り、オデトが自分の話をしてくれたのが嬉しかったんだ」

「嘘だ」

「なんで。さっきからずっとそう言ってるじゃないか」

信じられなかった。
 麓戸は変態プレイの一貫として小坂の話を楽しんだにすぎないだろう。
 期待などしていなかった。理解なんて。
 それでもいい。それでも聞いてくれるなら。そして記憶を塗り替えてくれるなら。


「そんな……信じられない」
そんな普通のことで、この人が喜ぶなんて。

「意外そうだな」

「だって、そんなの……」
麓戸が、そんなまともな人間だなんて思えない。

「もっと、変態的なことをしないと俺が喜ばないとでも思っていたか?」

「はい……」

そうだ。いつだってそうだった。小坂が何をして見せても麓戸は退屈そうだった。せっかく要求をかなえても、すぐにもっと過激なことを要求された。それで小坂の麓戸とのプレイはどんどんエスカレートしていった。

「充分、変態的な話だったからな」

「麓戸さん! 感動しかかって損をしました」

「感動?」

「麓戸さんが、まともな人間のわけがありませんから、僕は、期待しません」

麓戸はあの時、小坂の話に明らかに興奮していた。麓戸のモノが小坂の中でガチガチに固くなっていたのでよくわかった。

「厳しいな。それで、俺の話を受けないのか。信用されてないってことか。仕方ない。オデトに信用されるまで待つよ」

「そうしてください」
信じられないのは自分の方なのかもしれない。そうだったらいいと思う。
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