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第三章 生徒編
イケメン教師、翌朝の学校で村田に脅される
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昨日のことが噂になっているに違いないと恐れていたが、翌朝の学校は、拍子抜けするほど、いつもと同じだった。案外、そんなものかもしれない。
焦っているのは自分だけだ。
小坂は不安な自分に言い聞かせた。
周りの反応も、同僚の一人が、
「おっ、小坂先生、新しいスーツですね」
と気づいたきりだ。
異変に気づく者は、誰もいないようだった。
このまま、いつもと同じ一日が始まるかに思われ、小坂は、ほっと胸をなでおろした。
校長がやってきて、いつものように職員会議が始まった。
校長は、小坂と目が合うと、にやりと意味深な笑いを浮かべて見せた。
校長は仕方がない。ほかのみんなにバレなければいい。
小坂は思った。
しかしクラスに行くと、小坂は、顔をあげて生徒たちと目を合わせることができなかった。そんなことは初めてだった。
早々にSHRをすませ、そそくさと逃げるように教室を出て、職員室に戻ろうと廊下に出た直後のことだった。
「小坂せんせー、おっはよー」
小坂を引きとめた声は、クラス担任の生徒の、村田悪照(おてる)だった。
「せんせー、なんか、いつもと雰囲気が違うねぇ」
村田が、からかうように言った。
「もしかして、俺のせい?」
村田は小坂の耳に、ふざけた口調でささやいた。
「なっ……」
小坂はカッとなった。
村田は、小坂の腕をつかみ、急に低い声になって、
「告げ口したら俺も訴えるし、あんたのヤバい写真バラまいてやるから」
と脅迫した。
「うっ……」
小坂は手で口をおおった。小坂はこみ上げる吐き気に耐えた。
「あれ? 小坂ちゃん妊娠しちゃった? 生ハメされて何度も中出しされちゃったら当然かぁ?」
村田が小坂の顔を覗きこみ、ゲラゲラ馬鹿笑いをしている。
やめろ。
小坂は手で制するが、村田は馬鹿笑いをやめない。
ほかの生徒たちに勘づかれたらどうするんだ。お願いだから、やめてくれ。
そう言いたいが、こみ上げる吐き気と眩暈で口を開くこともできない。
「やっべぇ。可愛い小坂ちゃん、ついに妊娠しちゃったってよぉ。ハメハメされるの、そんなによかったのぉ? ねぇねぇ。僕ちん、わかんないから、どうやってやるのか、くわしく教えてよぉ」
村田がゲラゲラ笑っている声が廊下に響く。
耳障りだ。頭が痛い。気持ち悪い。黙ってくれ。
小坂は、ふらついて廊下の壁に手をついて、なんとか吐き気に耐えていた。
「先生、大丈夫ですか?」
小坂が振り向くと、二年二組の級長、宮本桜児(おうじ)が立っていた。
「級長の宮本くぅん、心配しないでも大丈夫だよ。ビッチな小坂せんせーは、ツワリだってさぁ。優等生君、知ってる? ツ・ワ・リ」
村田が、ふざけた口調で小坂と級長の間に身体を割り入れて、二人を遮ろうとする。
宮本は村田を無視して、小坂のそばに寄った。
「先生、顔色悪いですよ……」
宮本は、小坂の顔をのぞきこんで、心配そうに言った。
そうだ。この生徒に、聞きたいことがあるんだった。
「宮本、一時限目が終わったら相談室に来なさい」
小坂は、ようやく落ち着いてきた吐き気を抑えて、教師らしく体裁を取りつくろうと、そう宮本に命じた。
焦っているのは自分だけだ。
小坂は不安な自分に言い聞かせた。
周りの反応も、同僚の一人が、
「おっ、小坂先生、新しいスーツですね」
と気づいたきりだ。
異変に気づく者は、誰もいないようだった。
このまま、いつもと同じ一日が始まるかに思われ、小坂は、ほっと胸をなでおろした。
校長がやってきて、いつものように職員会議が始まった。
校長は、小坂と目が合うと、にやりと意味深な笑いを浮かべて見せた。
校長は仕方がない。ほかのみんなにバレなければいい。
小坂は思った。
しかしクラスに行くと、小坂は、顔をあげて生徒たちと目を合わせることができなかった。そんなことは初めてだった。
早々にSHRをすませ、そそくさと逃げるように教室を出て、職員室に戻ろうと廊下に出た直後のことだった。
「小坂せんせー、おっはよー」
小坂を引きとめた声は、クラス担任の生徒の、村田悪照(おてる)だった。
「せんせー、なんか、いつもと雰囲気が違うねぇ」
村田が、からかうように言った。
「もしかして、俺のせい?」
村田は小坂の耳に、ふざけた口調でささやいた。
「なっ……」
小坂はカッとなった。
村田は、小坂の腕をつかみ、急に低い声になって、
「告げ口したら俺も訴えるし、あんたのヤバい写真バラまいてやるから」
と脅迫した。
「うっ……」
小坂は手で口をおおった。小坂はこみ上げる吐き気に耐えた。
「あれ? 小坂ちゃん妊娠しちゃった? 生ハメされて何度も中出しされちゃったら当然かぁ?」
村田が小坂の顔を覗きこみ、ゲラゲラ馬鹿笑いをしている。
やめろ。
小坂は手で制するが、村田は馬鹿笑いをやめない。
ほかの生徒たちに勘づかれたらどうするんだ。お願いだから、やめてくれ。
そう言いたいが、こみ上げる吐き気と眩暈で口を開くこともできない。
「やっべぇ。可愛い小坂ちゃん、ついに妊娠しちゃったってよぉ。ハメハメされるの、そんなによかったのぉ? ねぇねぇ。僕ちん、わかんないから、どうやってやるのか、くわしく教えてよぉ」
村田がゲラゲラ笑っている声が廊下に響く。
耳障りだ。頭が痛い。気持ち悪い。黙ってくれ。
小坂は、ふらついて廊下の壁に手をついて、なんとか吐き気に耐えていた。
「先生、大丈夫ですか?」
小坂が振り向くと、二年二組の級長、宮本桜児(おうじ)が立っていた。
「級長の宮本くぅん、心配しないでも大丈夫だよ。ビッチな小坂せんせーは、ツワリだってさぁ。優等生君、知ってる? ツ・ワ・リ」
村田が、ふざけた口調で小坂と級長の間に身体を割り入れて、二人を遮ろうとする。
宮本は村田を無視して、小坂のそばに寄った。
「先生、顔色悪いですよ……」
宮本は、小坂の顔をのぞきこんで、心配そうに言った。
そうだ。この生徒に、聞きたいことがあるんだった。
「宮本、一時限目が終わったら相談室に来なさい」
小坂は、ようやく落ち着いてきた吐き気を抑えて、教師らしく体裁を取りつくろうと、そう宮本に命じた。
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