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第一章 校長編
イケメン教師、校長に生徒のように諭される
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校長が、
「小坂君、痛かったか?」
と、たずねてきた。
もちろん痛いに決まっている。痛みと羞恥と屈辱で、涙さえにじんだ。返事をするどころではない。傍若無人な校長も、洟をすすり目頭をおさえる小坂を見て、察したようだった。
「そうか……よしよし……。もう悪いことは、するんじゃないよ」
校長は、まるで高校生の生徒をさとすように、小坂の肩を撫でた。
小坂は、まだ、「悪いことをしました」と白状したわけではない。
許しの言葉を告げる校長は、小坂の悪事をすでに知っているのではなかろうか? ただ、カマをかけているだけか? 小坂の態度から、何か小坂が罪を犯したと感づいているのか? 小坂は、嘘をつくのは苦手だった。すぐに動揺が顔に出てしまう。
新任の頃、
「何か質問ある人」
などと教室で言おうものなら、
「先生、恋人はいますか?」
「今まで何人とセックスしましたか?」
「オナニーは、一日何回しますか?」
などと生徒たちに口々にエッチな質問を浴びせられた。適当に、恋人はいると答えたら、
「何歳ですか?」
「美人ですか?」
「毎週デートするんですか?」
「恋人とエッチするんですか?」
などと聞かれたので、次からは、いないと答えるようにした。すると、
「なんで恋人がいないんですか?」
「先生は、ゲイですか?」
「先生は、変態ですか?」
「男に興味ありますか?」
と、だんだん変な方向になってきた。
「年下とか、興味ありますか?」
「高校生は、好きですか?」
「小坂先生は、可愛いタイプと、かっこいいタイプとどっちが好きですか?」
先生たちだけでなく生徒たちも、若い小坂を、欲望の対象にしているようだった。
中には、言い寄ってくる生徒もいた。けれど、うまくかわしていたはずだったのに。
校長は言った。
「君は、何に、そんなに怯えているんだい? 私は、君のことを大事に思っているのだ。単なる部下ということ以上にね」
校長は、小坂の背中をなでた。
「大丈夫だよ。何もかも、私に任せなさい。部下のあやまちは私の責任だ。だが、君が打ち明けてくれないと、私は君を助けることもできない。だから、何があったのか、すっかり、吐いてしまいなさい」
校長の手が置かれると、小坂の肩から、力がぬけた。
「小坂君、私は君のことを心配しているんだ。そんなに、いつまでも意地を張っていないで、いいかげん素直になって、私の言うことを聞いたらどうだ」
校長は小坂をたしなめるように言った。
「安心しなさい。私は君のことをよそに言ったりなどしないから」
ああ、校長は、もう、何もかも知っているのかもしれない……。
「本当ですか?」
小坂は聞いた。
「ほんとうだとも。君のことは、よくわかっているつもりだ」
神崎先生の手が、小坂の肩を優しく撫でていた。
「小坂君、痛かったか?」
と、たずねてきた。
もちろん痛いに決まっている。痛みと羞恥と屈辱で、涙さえにじんだ。返事をするどころではない。傍若無人な校長も、洟をすすり目頭をおさえる小坂を見て、察したようだった。
「そうか……よしよし……。もう悪いことは、するんじゃないよ」
校長は、まるで高校生の生徒をさとすように、小坂の肩を撫でた。
小坂は、まだ、「悪いことをしました」と白状したわけではない。
許しの言葉を告げる校長は、小坂の悪事をすでに知っているのではなかろうか? ただ、カマをかけているだけか? 小坂の態度から、何か小坂が罪を犯したと感づいているのか? 小坂は、嘘をつくのは苦手だった。すぐに動揺が顔に出てしまう。
新任の頃、
「何か質問ある人」
などと教室で言おうものなら、
「先生、恋人はいますか?」
「今まで何人とセックスしましたか?」
「オナニーは、一日何回しますか?」
などと生徒たちに口々にエッチな質問を浴びせられた。適当に、恋人はいると答えたら、
「何歳ですか?」
「美人ですか?」
「毎週デートするんですか?」
「恋人とエッチするんですか?」
などと聞かれたので、次からは、いないと答えるようにした。すると、
「なんで恋人がいないんですか?」
「先生は、ゲイですか?」
「先生は、変態ですか?」
「男に興味ありますか?」
と、だんだん変な方向になってきた。
「年下とか、興味ありますか?」
「高校生は、好きですか?」
「小坂先生は、可愛いタイプと、かっこいいタイプとどっちが好きですか?」
先生たちだけでなく生徒たちも、若い小坂を、欲望の対象にしているようだった。
中には、言い寄ってくる生徒もいた。けれど、うまくかわしていたはずだったのに。
校長は言った。
「君は、何に、そんなに怯えているんだい? 私は、君のことを大事に思っているのだ。単なる部下ということ以上にね」
校長は、小坂の背中をなでた。
「大丈夫だよ。何もかも、私に任せなさい。部下のあやまちは私の責任だ。だが、君が打ち明けてくれないと、私は君を助けることもできない。だから、何があったのか、すっかり、吐いてしまいなさい」
校長の手が置かれると、小坂の肩から、力がぬけた。
「小坂君、私は君のことを心配しているんだ。そんなに、いつまでも意地を張っていないで、いいかげん素直になって、私の言うことを聞いたらどうだ」
校長は小坂をたしなめるように言った。
「安心しなさい。私は君のことをよそに言ったりなどしないから」
ああ、校長は、もう、何もかも知っているのかもしれない……。
「本当ですか?」
小坂は聞いた。
「ほんとうだとも。君のことは、よくわかっているつもりだ」
神崎先生の手が、小坂の肩を優しく撫でていた。
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