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第八章
アクシデント
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僕は自分の部屋の壁によりかかって膝を抱えてうずくまっていた。開けたままのドア越しに、弓弦さんが心配そうに僕を見ていた。僕は片目で弓弦さんを見上げた。
「入ってもいいよ」
弓弦さんは僕の隣に座って、僕の頭を触りそうになったけれど、気がついたように、途中でやめて、手を引っ込めて聞いてきた。
「どうした?」
彼の声は、温かかった。
「ちょっとした不注意で壊れてしまう」
僕は、悲しくて答えた。
「不注意で?」
彼は僕をいたわるように、聞き返した。
「アクシデントで。ちょっとしたことで」
弓弦さんは僕を見守っていた。僕は、続けて言った。
「ほんのちょっとしたことでだよ? なぜそんなに、運命は、やわなの? なぜ壊れやすい? なぜそんなに簡単に、重大なことを。ひどいじゃないか。あんまりだ。気まぐれ? 僕らは翻弄されるだけなの? 僕らにはなぜ、確かなものがないの?」
弓弦さんは手を開いて、また閉じた。僕に触れるのをためらっているようだった。僕が触るなと言ったから。
「僕は壊れないものが欲しいんだ。いつも失うんじゃないかと、どきどきしているのは嫌なんだ。なのに、なぜ、ふいに、予期せずに」
僕が身体を動かして座りなおしたら、弓弦さんと肩がぶつかった。
「あ、ごめん」
「なぜあなたがあやまるの?」
「嬉しいアクシデントだったから」
弓弦さんは微笑ん
「入ってもいいよ」
弓弦さんは僕の隣に座って、僕の頭を触りそうになったけれど、気がついたように、途中でやめて、手を引っ込めて聞いてきた。
「どうした?」
彼の声は、温かかった。
「ちょっとした不注意で壊れてしまう」
僕は、悲しくて答えた。
「不注意で?」
彼は僕をいたわるように、聞き返した。
「アクシデントで。ちょっとしたことで」
弓弦さんは僕を見守っていた。僕は、続けて言った。
「ほんのちょっとしたことでだよ? なぜそんなに、運命は、やわなの? なぜ壊れやすい? なぜそんなに簡単に、重大なことを。ひどいじゃないか。あんまりだ。気まぐれ? 僕らは翻弄されるだけなの? 僕らにはなぜ、確かなものがないの?」
弓弦さんは手を開いて、また閉じた。僕に触れるのをためらっているようだった。僕が触るなと言ったから。
「僕は壊れないものが欲しいんだ。いつも失うんじゃないかと、どきどきしているのは嫌なんだ。なのに、なぜ、ふいに、予期せずに」
僕が身体を動かして座りなおしたら、弓弦さんと肩がぶつかった。
「あ、ごめん」
「なぜあなたがあやまるの?」
「嬉しいアクシデントだったから」
弓弦さんは微笑ん
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