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後日譚
白薔薇の花束(5)
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花婿のように、花嫁のブーケのように、あるいはプロポーズのように、花束まで抱えてきてくれた思わぬ来訪者を、千蔭はなぜか受け入れる気になっていた。人づき合いの苦手な人嫌いなのだと、すっかり周りから思われていたのに。
なぜだろう。弓弦に、そっくりだったから? そっくりだったらいいのか? 千蔭は自問した。それは弓弦を裏切ることになりはしないか?
もう故人だから。そんな風には思えなかった。
ひょっこり帰ってきてくれるような気が、いまだにしていたから。旅に出ていたんだ、などと言って。遠く南米や、南太平洋の島や、どこか遠くの知らない小さな村の話を語ってくれる気がしていた。ヨーロッパの街や、北米の都会かもしれない。
そうして思いだけ馳せて千蔭は、いつまでも狭い自分の世界に、思い出と空想の繭に包まれて、引きこもっていた。
なぜだろう。弓弦に、そっくりだったから? そっくりだったらいいのか? 千蔭は自問した。それは弓弦を裏切ることになりはしないか?
もう故人だから。そんな風には思えなかった。
ひょっこり帰ってきてくれるような気が、いまだにしていたから。旅に出ていたんだ、などと言って。遠く南米や、南太平洋の島や、どこか遠くの知らない小さな村の話を語ってくれる気がしていた。ヨーロッパの街や、北米の都会かもしれない。
そうして思いだけ馳せて千蔭は、いつまでも狭い自分の世界に、思い出と空想の繭に包まれて、引きこもっていた。
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