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家の中を勝手にウロウロするアユム
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「ね? わかったでしょ?」
アユムが可愛く首をかしげて言ったので、ジャンは余計にイラっとした。
「『わかった?』 じゃないよ!」
ジャンは憎らしいアユムの、可愛らしい言い方を真似して言い返してやった。
そんなジャンのいらつきをよそに、
「僕の部屋どこ?」
と、アユムは、家の中を勝手にうろつき始めた。
アユムがドアノブに手をかけている。
「ああ、ダメ、ダメ! そこはケイの部屋」
ケイの仕事部屋には書きかけの楽譜がいっぱい散らばっている。勝手に入ると酷く怒られるのだ。ケイは仕事に関しては神経質なのだ。
ジャンに叱られて、あきらめたらしいアユムは今度は別の部屋のドアに手をかける。
「そっちは僕の部屋!」
またまた叱られて、アユムは途方にくれた表情でジャンを見返した。
「君の部屋なんか、ここには、どこにも、ないよ!」
ジャンは、アユムに通じるように、ゆっくりはっきり言ってやった。
「わかった? 君の居場所は、ないの!」
ジャンは自分が言われたら、一番傷つきそうな言葉を選んで言ってやった。
だけど、そもそもフランス語がよくわからないらしいアユムには、言葉の矢が刺さらない。
「僕の部屋、ない……」
アユムも、やっと理解したみたいだ。
なのに、それで出て行くかと思いきや
「じゃあソファでいいよ」
と言って、リビングにゴロゴロスーツケースを引っ張って移動するのだ。
「『ソファでいい』じゃないよ!」
ソファに陣取ろうとするアユムを阻止しようと追いかけたけど、
「時差ボケ。眠い。おやすみ」
と言って、アユムはリビングのソファに身を横たえると疲れきったように眠ってしまった。
アユムが可愛く首をかしげて言ったので、ジャンは余計にイラっとした。
「『わかった?』 じゃないよ!」
ジャンは憎らしいアユムの、可愛らしい言い方を真似して言い返してやった。
そんなジャンのいらつきをよそに、
「僕の部屋どこ?」
と、アユムは、家の中を勝手にうろつき始めた。
アユムがドアノブに手をかけている。
「ああ、ダメ、ダメ! そこはケイの部屋」
ケイの仕事部屋には書きかけの楽譜がいっぱい散らばっている。勝手に入ると酷く怒られるのだ。ケイは仕事に関しては神経質なのだ。
ジャンに叱られて、あきらめたらしいアユムは今度は別の部屋のドアに手をかける。
「そっちは僕の部屋!」
またまた叱られて、アユムは途方にくれた表情でジャンを見返した。
「君の部屋なんか、ここには、どこにも、ないよ!」
ジャンは、アユムに通じるように、ゆっくりはっきり言ってやった。
「わかった? 君の居場所は、ないの!」
ジャンは自分が言われたら、一番傷つきそうな言葉を選んで言ってやった。
だけど、そもそもフランス語がよくわからないらしいアユムには、言葉の矢が刺さらない。
「僕の部屋、ない……」
アユムも、やっと理解したみたいだ。
なのに、それで出て行くかと思いきや
「じゃあソファでいいよ」
と言って、リビングにゴロゴロスーツケースを引っ張って移動するのだ。
「『ソファでいい』じゃないよ!」
ソファに陣取ろうとするアユムを阻止しようと追いかけたけど、
「時差ボケ。眠い。おやすみ」
と言って、アユムはリビングのソファに身を横たえると疲れきったように眠ってしまった。
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