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第2章 魔人どもの野望
回想の狂戦地ルドストン㊲
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灰色の〔遮電蠕活帯〕に分厚く包まれたガヌーラが浮上を開始した時、幽巴一族の末弟は水上移動都市の超巨大な楕円の外縁上に最低500レクト(375m)の距離を措いて佇立する高さ80レクト(60m)の〔眺洋塔〕最上階に佇んでいた。
当然ながら入口は厳重に施錠されていたが、龍坊主の怪力をもってすれば侵入は児戯に等しい。
もちろん、10階建てのいずれのフロアにも人影は無かった。
天井に達する観音開きの巨窓を開け放ち、バルコニーに出た彼の目的は確実な登場が見込まれる“史上最強刃獣”ではなく、飛翔刃獣に乗り込んで推参する教軍幹部の…いや、リヤーラ厶麗宮領執教士長・奎壑の挙動の視察にあった。
そして首領に礼を失する畏れなき《星沈刻》という絶妙のタイミングで到着したそつのなさに改めて感心?させられていたのであった。
『…まあ、教軍にとって今日以降、奎壑姉さんの動向はこれまで以上の注目を集める事だろうけど、果たしてこのまますんなりと〈聖軍帥〉になれるかは予断を許さないよな…。
尤もボクら幽巴兄弟にとっても、かなりの方針転換が必要になるかもしれないから他人事じゃないけどネ…!
結局、全ては教聖のお話にあったように〘受躰の儀〙がすんなりと予定通りに成就するかで決まってしまう訳だ…」
ここで縻幽巴は龍坊主の超視力によってのみ確認出来る天空の異変から洋上の怪異へと碧色の凶眼を向けて感慨深げに呟いた。
「…事と次第によっちゃ、魔王蛸こそが“本日の主役”になるかもな…。
全く羨ましいぜ、何せ主要幹部が一同に会するなんて滅多に無いどころか史上初の出来事なんだからナ!
まさにこれ以上は望みようが無いほどの晴れ舞台じゃないか…。
それに感謝しろよな、ホントならうるさくまとわり付いてくるはずの統衞空軍も、トップの主督空将をこの縻幽巴クンが始末したお陰で音無しだし、
最強戦力の海軍はそもそも統括しているのがアホな軍人なんかじゃなくて大天才作の〈人工司令〉なんだから、あくまでも“専守防衛”に徹してこっちが手を出さない限り遠巻きに眺めるだけで絶対に攻撃してくる恐れはない…!
…尤も都合良く逃げ出そうとした他教界のマヌケな船が何隻か沈没したみたいだけど、それぐらいは不問に付すんじゃね?」
いつもの彼にも似ず、奥歯に物の挟まったかの如き物言いには明白な理由があった。
丁度日付が変わるあたり…首領ご執心の依巫=萩邑りさらに無謀にも襲いかかろうとした3人の操獣師を眠らせた後、暗殺者が教宣室に乱入するとほぼ同時に中央司令室に突入した叛乱軍が放った麻酔弾で意識を失った“ルドストンの至宝”ロゼムスが注文通りに巡航艇で運び込まれているはずの煌輪塔ホテル第4層41号室に入室した長兄と彼を、思わぬ人物が出迎えたのである。
…遂に念願の“実体化”を果たす日を迎えた神牙教軍首領が!
「!!」
黄金の仮面と漆黒のマントで“仮初の姿”を調えた鏡の教聖は、眼前で頭を垂れて片膝を着く腹心達にまず貌を上げさせた後、例の如く比肩する者無き美声によって語りかけ始めたが、その声音は珍しくも心なしか翳りを帯びている様であった。
「我が〘受躰の儀〙に向けての煩瑣なる準備の数々、ご苦労であった。
いよいよこの時を迎えるにあたり、凱鱗領執教士長たるお前達だけには伝えておきたい事がある…。
…まず述べておきたいのは、受躰には予想される幾つかの障害があり、完璧な成功に至るかはこの余ですらも確信出来ぬという事なのだが…」
「!?」
“全智全能の絶対者”から初めて聞かされるといっていい弱気の言に、さしもの幽巴兄弟も息を呑む。
「驚くのも無理はない…、
だが全ては、余があの依巫に着目したのが遅すぎたという事なのだ…。
まず布石として、あの女が凱鱗領入りして以来、お前達に命じて海底宮殿及び煌輪塔ホテルの料理人を買収させ、食事に〔鏡霊丹〕の粉末を混入させ続けたものの、麗宮領の教率者に対するが如きの成果を挙げ得ておらぬ…。
つまり、夜毎の夢を利用しての説得術を施す事が叶わなかったのだ…」
「何と…!?」
これはこの隠微な工作に多少の苦心を払った彼らにとっても意外な事実だった。
「それについて考えられる最大の原因は、依巫が常に身に帯びておる聖幻晶とやらいう小道具である…。
余の精緻な分析によれば、あの物質からは常時幾つかの好ましからざる波動が発生しているが、中でも人体に埋蔵された8つの〈霊輪〉に直接作用し、外部からもたらされる“霊的毒素”を霧散解消させるそれに我が秘薬は徹底ブロックされてしまったものらしい…」
「…つまり、あの依巫を完全に隷属下に置くためには、彼女が聖幻晶と一体化する…、
即ち、一廉の操獣師となる以前に手を打つべきであった、と…?」
この陀幽巴の言に、首領は珍しくも自虐的な、くぐもった笑い声を上げた。
「ふふふ、その通り…。
だが、そもそもあの女は絆獣聖団に操獣師として見込まれ、この異世界へと誘われたのであるから、それは最初から無理な相談であったな…。
いや、もしそうだとしても、ラージャーラに足を踏み入れた直後であれば…、
今更嘆いても後の祭りだが、これだけは悔やみきれぬ痛恨事である…!
…ま、それに対して余が用意した弥縫策があの3人の〈奉仕者〉なのだが…」
「あっ、そうか!
依巫と同じ操獣師であるあの連中に儀式中、“性的奉仕”を施させる事で霊的バリアとしてのチャクラを無力化させようという訳なのですね!?」
合点がいった、とばかりに勢い込む縻幽巴に軽く頷いて鏡の教聖は続ける。
「…もとより連中は微量ながらも最極呪念士から人体を魔性化させる〔神命液〕なる妖毒を注入され、聖幻晶のパワーを教軍側へと思い切り方向転換させているからな…。
しかも数は3人であり、拘束後は聖幻晶を取り去られ、当然ながら儀式にもそれ無しで臨む依巫の霊輪がフル回転して抵抗しようとも、それなりの成果は見込めるであろう…。
尤も、本来とは真逆の方向に聖幻晶を使用する訳であるから、こちらが期待するほどの位相まで衝撃力を高められるかは未知数ではあるが、な…。
そして、余が予想する中で、最も蓋然性が低いながら、最も危険性が高い”唯一無二の障害”があるのだが…」
かくてその内容を打ち明けられた2匹の龍坊主は、その生涯で初めて魂が凍り付くほどの戦慄を味わわされたのであったが、いつになく饒舌な絶対者は、成功時における今後の行動計画についても忌憚なく語った。
「…利発なお前達には最早理解出来ていると思うが、ここで余が恙無く受躰に成功すれば、それは事実上、この世界を完全征服したにも等しい大勝利となる。
従って、後は天響神の歪んだ創造意思によって誤った歴史を積み重ね、乱れに乱れた惨状を呈するラージャーラを、ようやく我が理念に従って築き直す作業に入れる訳であるが、そこに敢えて余が立ち会う必要はない…」
「…という事は…、
統治者としての役割は奎壑…〈聖軍帥〉に委ねられると…?」
陀幽巴の呟く様な問いを無言で諾いつつ、教聖は続ける。
「余は既に次なる目標を見据えておる…、
即ち、地上侵攻及び征圧をな…!
そして完全に枢覇界化したルドストン凱鱗領は、そのまま我が畢生の大遠征の前線基地となるのだ…!」
真夜中の冷気漂う室内を更に凍て付かせる“氷の宣言”に、2体の創造物は電撃を受けたかの如く身を震わせた。
「…遥か数十年前、何処からともなく現れた“異世界人の軍団”と矛を交えた時、奴らはただ蹂躙し、排除すべき遮蔽物でしかなかった…。
いや寧ろ、エグメドに訳も分からず異界へと連れ込まれ、操られておるだけの肉人形にしか過ぎぬと哀れみすら覚えていたものだ…」
「……」
「だが時を重ねるにつれ、流入して来る者達をつぶさに観察してゆく内に、“奴らの世界”に対する関心がふつふつと高まってきたのだ…。
これは我ながら全く予想だにし得なかった事態である…」
「……」
「…そしてそれが決定的になったのが、今回依巫に撰んだ個体を見初めた瞬間である…。
だが、先程も述べたが、不覚にも気付くのが遅すぎた…!
理想を言えば、リサラがラージャーラに現れたその日より着目し、早い段階で鏡霊丹なりの手を打っておれば確実にあの肉体を我が物とする事が出来たであろうに…。
ふふ、余とした事が、あたかも受躰の失敗を前提として語っているかの様だな…。
だが、万一、今回仕損じたとしても、受躰自体は決して諦めはせぬ…!
敵ながらあっぱれというべきか、〈先遣隊〉からの報告によれば、絆獣聖団はまだまだ引きも切らず逸材を送り込んで来る模様だ…、
従って我が依巫候補も尽きる事はないという事になる…!
そして今回晴れて成就した場合においても、リサラの肉体との間でいかなる齟齬が発生するか予見しかねる以上、依巫は何体存っても良いはずであるからな…!」
「〈先遣隊〉…!
久しくその存在を忘れておりましたが、“妖術鬼”シャザラは未だ健在なのでありますか…?」
陀幽巴のやや震えを帯びた声音に、傍らの縻幽巴が驚いた様な視線を向ける。
剛胆極まる長兄が微かとはいえ初めて見せた怯えの仕草に、さしもの磊落な末弟も度肝を抜かれてしまった様子…尤も彼自身にとってはシャザラは未知の存在らしい。
「残念ながら、そうらしいな…。
此処にいた時から“究極の異端術士”として、
“この全宇宙、全次元の森羅万象の秘奥を極め尽くす”
などと息巻いておったが、どうやら地上世界の水が殊の外性に合ったらしく、
あろうことか彼奴め、あちらで一大勢力を築き固め、ラージャーラに逆侵攻を掛ける事を大真面目に夢見ておるらしいわ…!」
「笑止ッ!
何たる噴飯物の妄想でありましょうか!?
無論私も奴とは全く面識は無く、亡き師からその常軌を逸した人物像を伝聞しているのみなのでありますが、中でも我が耳を疑い、未だ信じ難いのは奴が“究極目標”として掲げ、日々公言していたという気狂いじみた妄念であります…」
ここで神牙教軍教軍首領は一度聴けば二度と忘れられぬ妖艶さと威厳が絶妙に混合された嬌笑で空気を震わせた。
「…我が最終目的は鏡の教聖の打倒というやつだな」
「うわっ、馬鹿みたい…」
呆れ果てた縻幽巴が吐き捨てるが、絶対者はたしなめるかの様に宣うた。
「面白いではないか…しかも本人はあくまでも本気という所が余計にな…。
だが、彼奴の妖術は本物だぞ。
あまりにも執拗に挑発を続け、旗揚げ直後の教軍にもちょっかいを掛けてきたため一度だけ相手をしてやった事があるのだが、なるほど、確かに勘違いしてしまうだけの力量は十分備えておったわ。
まあ一応、当分逆らう気は起きない程度に痛め付け、教軍の総指揮を執る傍らその利用価値を思案していると、ある日突然極天霊柱を訪れて、
「“これから地上世界に乗り込んでその制覇を試み、教聖と互角に勝負出来るだけの実力を蓄える…。
だが、同時にラージャーラで唯一自分に苦杯を嘗めさせた貴方の事は心から尊敬しているため、それまでは教軍へ協力する事も吝かではない”
…などという、いかにも奴らしい支離滅裂な申し出をしてきおったのには怒りを通り越して呆れ返ったが」
「…確かにそのシャザラって奴、
明らかにアタマがおかしいですネ!」
縻幽巴が爆笑を必死で堪えつつ半畳を入れるが、教聖は無視して先を続けた。
「どうやら、蠢動を開始した絆獣聖団を目の当たりにし、好奇心だけは人一倍旺盛な奴だけに乾坤一擲の大博打に出たものなのだろうが、こちらは何ら関心も無い上にそもそも史上初の〈異世界旅行〉が成功するとも思えず放置したのだが、驚くべき事に如何なる秘策を用いたか見事にやってのけおったのだ。
これにはさすがの余も驚かされたものだったわ…」
「……」
「それから今日に至るまで、彼奴は不定期ながら勝手気ままに〈異世界情報〉を送信して来るという訳なのだが、あれから研究を重ね、こちらも“遠征手段”を確立した最近になり、初めて妖術鬼めに注文を出してみた。
…教軍超兵に改造するに適当な素材を見繕って送ってくれぬか、
とな…」
愉しげに語る教聖とは裏腹に、苦虫を噛み潰したような声を陀幽巴が絞り出す。
「…そうか、それで合点がいきました。
例の異界人…煬赫めの無能さ加減が…。
そもそも、あのシャザラがまともな素体を寄越すはずがないのですから…!」
「ふふふ、相変わらず陀幽巴は手厳しいな…。
これでも創造主としては最善を尽くしたつもりだが…。
だが正味の所、幾ら出来が悪かろうとも、少なくとも狂魔酒鬼どもよりはマシであろう?」
「……」
頑なに沈黙を貫く兄に逆に不安になった末弟がその膝を軽く突ついて返答を促すが誇り高き幽巴一族を束ねる総領は微動だにしない。
「どうやら陀幽巴と煬赫はこの世が終ろうとも肝胆相照らす事は無さそうだな…。
ま、無論それだからという訳ではなく、そもそも大至急という話でもないのだが…。
思惑通り受躰が成功した場合、汝ら両名は余の地上遠征に同行してもらう予定になっておるが、異存はないな?」
「…は?」
「…へ?」
まさに青天の霹靂…尤も教軍超兵の世界にこの慣用句は無かろうが、兄弟を襲った戦慄はまさしくこれであった。
「何も驚く事はあるまい…、
冒頭で述べた様に、ここまで神牙教軍の威名が全土に轟き渡った以上、ラージャーラの今後は我が分身たる奎壑に任せれば事足りる…。
それよりも余の“真の腹心”たるお前達こそは、もとより勝利に驕らず、只の一刻も安寧に甘んじる事無き主が新たに開始する、より困難なる戦いに先頭を切って馳せ参じるべきではなかろうかな?」
「はっ、御意であります…」
同時に頭を下げたものの、教聖は臙脂色の方を見下ろして宣った。
「…縻幽巴よ、何か言いたそうだな?
遠慮なく申してみるがいい」
「は、はい…、
ボクの、いえ私の聞き違いでなければ、先程教聖は両名と仰った様でありますが…?」
「いかにもな…それがどうかしたか?」
空惚けた風情の絶対者に怖いもの知らずの茶目小僧はズバリ切り込んだ。
「…それはつまり、鑼兄…いえ、次兄・鑼幽巴は無用だという意味に捉えてよろしいのでしょうか!?」
琥珀の闇に豪奢にして妖美な輝きを放つ黄金の仮面が明瞭に左右に振られる。
「いいや、そうではない。
奎壑が如何に有能であろうとも、“永久の乱世”を宿命付けられたラージャーラの全てを掌握し切る事はおそらく不可能であろう…。
従って聖軍帥を補佐というのではないが、陰ながら支え、思わぬ強敵が現れた際に率先して討ち果たす勇将の存在は言うまでもなく不可欠…。
ならば我が軍内でその最適格者を求めた際、真っ先に浮上するのが他ならぬ鑼幽巴という訳だ…」
「…御意」
「尤も、地上世界でもいずれあ奴の力は必ずや必要となる時が来る…。
そうなれば何を於いても我が〈教命〉に応じて勇躍乗り込んで来る事であろう…!
何より、現在【死霊島】においては海龍党と聖団の死物狂いの決闘がまさに酣となっておる…。
未だどちらが勝利するかは不明だが、これらの存在もまさに鑼幽巴が相手取るために出現したとさえ言えるのではないかな…?」
「…先程、教聖は受躰成就後、すぐに地上遠征に発たれる予定は無いと仰られました。
という事は、仮に摩麾螺…否、海龍党が勝利した場合、我々兄弟が揃ってあの反逆組織を誅滅する時間はあると存じます…!
その際、若干の手勢を率いての遠征はお許し下さるでしょうか…!?」
如何に服従を宿命付けられた首領であろうとも、兄弟全員がその誅戮を熱望している怨敵をあろうことか唯一人に特権的に討たせんとするかの如き言辞は聞き捨てならぬ、とばかりに長兄・陀幽巴が毅然たる口調で述べ立てた。
「ふむ…好きにするがよい。
だが、海龍党の本体はあくまでも最極呪念士である事を忘れるでないぞ…。
摩麾螺は副頭目とはいえ、不憫にも魔液を注ぎ込まれて操られておるに過ぎんのだ…とはいえ」
ここで首領は思わせぶりな含み笑いと共に告げた。
「摩麾螺め、その作用によってであろうが、中々に端倪すべからざる魔闘力を発揮しておるわ…。
…なるほど、決して伊達や酔狂で“神牙教軍最強戦士”を名乗っておる訳ではないという事か…」
あたかもその千里眼によって現在の死霊島の状況をまざまざと幻視しているかの如き口吻だが、その言葉の端々から“龍坊主最強”を自負する幽巴兄弟を刺激…否、挑発せんとする意思は露骨なまでに明らかであった。
「…教軍超兵の誇りにかけて、幽巴兄弟は決して摩麾螺に後れを取る者ではありませぬ…!」
陀幽巴の断言に縻幽巴も強く頷く。
「…分かっておる。
…それではこれから余は依巫の様子を確認後、儀式開始まで姿を匿す事にするが…、
もうすぐ、遠路はるばる参集する幹部達に余計な手間を取らせるのも悪かろう…、
亡き前総司令官同様に凱鱗領の未来に有害な、主督空将とやらを今すぐ抹殺し、戦闘機の指揮系統を破壊しておくがよい。
縻幽巴、頼むぞ。
それでは陀幽巴よ、余を愛しき依巫の許へ…!」
当然ながら入口は厳重に施錠されていたが、龍坊主の怪力をもってすれば侵入は児戯に等しい。
もちろん、10階建てのいずれのフロアにも人影は無かった。
天井に達する観音開きの巨窓を開け放ち、バルコニーに出た彼の目的は確実な登場が見込まれる“史上最強刃獣”ではなく、飛翔刃獣に乗り込んで推参する教軍幹部の…いや、リヤーラ厶麗宮領執教士長・奎壑の挙動の視察にあった。
そして首領に礼を失する畏れなき《星沈刻》という絶妙のタイミングで到着したそつのなさに改めて感心?させられていたのであった。
『…まあ、教軍にとって今日以降、奎壑姉さんの動向はこれまで以上の注目を集める事だろうけど、果たしてこのまますんなりと〈聖軍帥〉になれるかは予断を許さないよな…。
尤もボクら幽巴兄弟にとっても、かなりの方針転換が必要になるかもしれないから他人事じゃないけどネ…!
結局、全ては教聖のお話にあったように〘受躰の儀〙がすんなりと予定通りに成就するかで決まってしまう訳だ…」
ここで縻幽巴は龍坊主の超視力によってのみ確認出来る天空の異変から洋上の怪異へと碧色の凶眼を向けて感慨深げに呟いた。
「…事と次第によっちゃ、魔王蛸こそが“本日の主役”になるかもな…。
全く羨ましいぜ、何せ主要幹部が一同に会するなんて滅多に無いどころか史上初の出来事なんだからナ!
まさにこれ以上は望みようが無いほどの晴れ舞台じゃないか…。
それに感謝しろよな、ホントならうるさくまとわり付いてくるはずの統衞空軍も、トップの主督空将をこの縻幽巴クンが始末したお陰で音無しだし、
最強戦力の海軍はそもそも統括しているのがアホな軍人なんかじゃなくて大天才作の〈人工司令〉なんだから、あくまでも“専守防衛”に徹してこっちが手を出さない限り遠巻きに眺めるだけで絶対に攻撃してくる恐れはない…!
…尤も都合良く逃げ出そうとした他教界のマヌケな船が何隻か沈没したみたいだけど、それぐらいは不問に付すんじゃね?」
いつもの彼にも似ず、奥歯に物の挟まったかの如き物言いには明白な理由があった。
丁度日付が変わるあたり…首領ご執心の依巫=萩邑りさらに無謀にも襲いかかろうとした3人の操獣師を眠らせた後、暗殺者が教宣室に乱入するとほぼ同時に中央司令室に突入した叛乱軍が放った麻酔弾で意識を失った“ルドストンの至宝”ロゼムスが注文通りに巡航艇で運び込まれているはずの煌輪塔ホテル第4層41号室に入室した長兄と彼を、思わぬ人物が出迎えたのである。
…遂に念願の“実体化”を果たす日を迎えた神牙教軍首領が!
「!!」
黄金の仮面と漆黒のマントで“仮初の姿”を調えた鏡の教聖は、眼前で頭を垂れて片膝を着く腹心達にまず貌を上げさせた後、例の如く比肩する者無き美声によって語りかけ始めたが、その声音は珍しくも心なしか翳りを帯びている様であった。
「我が〘受躰の儀〙に向けての煩瑣なる準備の数々、ご苦労であった。
いよいよこの時を迎えるにあたり、凱鱗領執教士長たるお前達だけには伝えておきたい事がある…。
…まず述べておきたいのは、受躰には予想される幾つかの障害があり、完璧な成功に至るかはこの余ですらも確信出来ぬという事なのだが…」
「!?」
“全智全能の絶対者”から初めて聞かされるといっていい弱気の言に、さしもの幽巴兄弟も息を呑む。
「驚くのも無理はない…、
だが全ては、余があの依巫に着目したのが遅すぎたという事なのだ…。
まず布石として、あの女が凱鱗領入りして以来、お前達に命じて海底宮殿及び煌輪塔ホテルの料理人を買収させ、食事に〔鏡霊丹〕の粉末を混入させ続けたものの、麗宮領の教率者に対するが如きの成果を挙げ得ておらぬ…。
つまり、夜毎の夢を利用しての説得術を施す事が叶わなかったのだ…」
「何と…!?」
これはこの隠微な工作に多少の苦心を払った彼らにとっても意外な事実だった。
「それについて考えられる最大の原因は、依巫が常に身に帯びておる聖幻晶とやらいう小道具である…。
余の精緻な分析によれば、あの物質からは常時幾つかの好ましからざる波動が発生しているが、中でも人体に埋蔵された8つの〈霊輪〉に直接作用し、外部からもたらされる“霊的毒素”を霧散解消させるそれに我が秘薬は徹底ブロックされてしまったものらしい…」
「…つまり、あの依巫を完全に隷属下に置くためには、彼女が聖幻晶と一体化する…、
即ち、一廉の操獣師となる以前に手を打つべきであった、と…?」
この陀幽巴の言に、首領は珍しくも自虐的な、くぐもった笑い声を上げた。
「ふふふ、その通り…。
だが、そもそもあの女は絆獣聖団に操獣師として見込まれ、この異世界へと誘われたのであるから、それは最初から無理な相談であったな…。
いや、もしそうだとしても、ラージャーラに足を踏み入れた直後であれば…、
今更嘆いても後の祭りだが、これだけは悔やみきれぬ痛恨事である…!
…ま、それに対して余が用意した弥縫策があの3人の〈奉仕者〉なのだが…」
「あっ、そうか!
依巫と同じ操獣師であるあの連中に儀式中、“性的奉仕”を施させる事で霊的バリアとしてのチャクラを無力化させようという訳なのですね!?」
合点がいった、とばかりに勢い込む縻幽巴に軽く頷いて鏡の教聖は続ける。
「…もとより連中は微量ながらも最極呪念士から人体を魔性化させる〔神命液〕なる妖毒を注入され、聖幻晶のパワーを教軍側へと思い切り方向転換させているからな…。
しかも数は3人であり、拘束後は聖幻晶を取り去られ、当然ながら儀式にもそれ無しで臨む依巫の霊輪がフル回転して抵抗しようとも、それなりの成果は見込めるであろう…。
尤も、本来とは真逆の方向に聖幻晶を使用する訳であるから、こちらが期待するほどの位相まで衝撃力を高められるかは未知数ではあるが、な…。
そして、余が予想する中で、最も蓋然性が低いながら、最も危険性が高い”唯一無二の障害”があるのだが…」
かくてその内容を打ち明けられた2匹の龍坊主は、その生涯で初めて魂が凍り付くほどの戦慄を味わわされたのであったが、いつになく饒舌な絶対者は、成功時における今後の行動計画についても忌憚なく語った。
「…利発なお前達には最早理解出来ていると思うが、ここで余が恙無く受躰に成功すれば、それは事実上、この世界を完全征服したにも等しい大勝利となる。
従って、後は天響神の歪んだ創造意思によって誤った歴史を積み重ね、乱れに乱れた惨状を呈するラージャーラを、ようやく我が理念に従って築き直す作業に入れる訳であるが、そこに敢えて余が立ち会う必要はない…」
「…という事は…、
統治者としての役割は奎壑…〈聖軍帥〉に委ねられると…?」
陀幽巴の呟く様な問いを無言で諾いつつ、教聖は続ける。
「余は既に次なる目標を見据えておる…、
即ち、地上侵攻及び征圧をな…!
そして完全に枢覇界化したルドストン凱鱗領は、そのまま我が畢生の大遠征の前線基地となるのだ…!」
真夜中の冷気漂う室内を更に凍て付かせる“氷の宣言”に、2体の創造物は電撃を受けたかの如く身を震わせた。
「…遥か数十年前、何処からともなく現れた“異世界人の軍団”と矛を交えた時、奴らはただ蹂躙し、排除すべき遮蔽物でしかなかった…。
いや寧ろ、エグメドに訳も分からず異界へと連れ込まれ、操られておるだけの肉人形にしか過ぎぬと哀れみすら覚えていたものだ…」
「……」
「だが時を重ねるにつれ、流入して来る者達をつぶさに観察してゆく内に、“奴らの世界”に対する関心がふつふつと高まってきたのだ…。
これは我ながら全く予想だにし得なかった事態である…」
「……」
「…そしてそれが決定的になったのが、今回依巫に撰んだ個体を見初めた瞬間である…。
だが、先程も述べたが、不覚にも気付くのが遅すぎた…!
理想を言えば、リサラがラージャーラに現れたその日より着目し、早い段階で鏡霊丹なりの手を打っておれば確実にあの肉体を我が物とする事が出来たであろうに…。
ふふ、余とした事が、あたかも受躰の失敗を前提として語っているかの様だな…。
だが、万一、今回仕損じたとしても、受躰自体は決して諦めはせぬ…!
敵ながらあっぱれというべきか、〈先遣隊〉からの報告によれば、絆獣聖団はまだまだ引きも切らず逸材を送り込んで来る模様だ…、
従って我が依巫候補も尽きる事はないという事になる…!
そして今回晴れて成就した場合においても、リサラの肉体との間でいかなる齟齬が発生するか予見しかねる以上、依巫は何体存っても良いはずであるからな…!」
「〈先遣隊〉…!
久しくその存在を忘れておりましたが、“妖術鬼”シャザラは未だ健在なのでありますか…?」
陀幽巴のやや震えを帯びた声音に、傍らの縻幽巴が驚いた様な視線を向ける。
剛胆極まる長兄が微かとはいえ初めて見せた怯えの仕草に、さしもの磊落な末弟も度肝を抜かれてしまった様子…尤も彼自身にとってはシャザラは未知の存在らしい。
「残念ながら、そうらしいな…。
此処にいた時から“究極の異端術士”として、
“この全宇宙、全次元の森羅万象の秘奥を極め尽くす”
などと息巻いておったが、どうやら地上世界の水が殊の外性に合ったらしく、
あろうことか彼奴め、あちらで一大勢力を築き固め、ラージャーラに逆侵攻を掛ける事を大真面目に夢見ておるらしいわ…!」
「笑止ッ!
何たる噴飯物の妄想でありましょうか!?
無論私も奴とは全く面識は無く、亡き師からその常軌を逸した人物像を伝聞しているのみなのでありますが、中でも我が耳を疑い、未だ信じ難いのは奴が“究極目標”として掲げ、日々公言していたという気狂いじみた妄念であります…」
ここで神牙教軍教軍首領は一度聴けば二度と忘れられぬ妖艶さと威厳が絶妙に混合された嬌笑で空気を震わせた。
「…我が最終目的は鏡の教聖の打倒というやつだな」
「うわっ、馬鹿みたい…」
呆れ果てた縻幽巴が吐き捨てるが、絶対者はたしなめるかの様に宣うた。
「面白いではないか…しかも本人はあくまでも本気という所が余計にな…。
だが、彼奴の妖術は本物だぞ。
あまりにも執拗に挑発を続け、旗揚げ直後の教軍にもちょっかいを掛けてきたため一度だけ相手をしてやった事があるのだが、なるほど、確かに勘違いしてしまうだけの力量は十分備えておったわ。
まあ一応、当分逆らう気は起きない程度に痛め付け、教軍の総指揮を執る傍らその利用価値を思案していると、ある日突然極天霊柱を訪れて、
「“これから地上世界に乗り込んでその制覇を試み、教聖と互角に勝負出来るだけの実力を蓄える…。
だが、同時にラージャーラで唯一自分に苦杯を嘗めさせた貴方の事は心から尊敬しているため、それまでは教軍へ協力する事も吝かではない”
…などという、いかにも奴らしい支離滅裂な申し出をしてきおったのには怒りを通り越して呆れ返ったが」
「…確かにそのシャザラって奴、
明らかにアタマがおかしいですネ!」
縻幽巴が爆笑を必死で堪えつつ半畳を入れるが、教聖は無視して先を続けた。
「どうやら、蠢動を開始した絆獣聖団を目の当たりにし、好奇心だけは人一倍旺盛な奴だけに乾坤一擲の大博打に出たものなのだろうが、こちらは何ら関心も無い上にそもそも史上初の〈異世界旅行〉が成功するとも思えず放置したのだが、驚くべき事に如何なる秘策を用いたか見事にやってのけおったのだ。
これにはさすがの余も驚かされたものだったわ…」
「……」
「それから今日に至るまで、彼奴は不定期ながら勝手気ままに〈異世界情報〉を送信して来るという訳なのだが、あれから研究を重ね、こちらも“遠征手段”を確立した最近になり、初めて妖術鬼めに注文を出してみた。
…教軍超兵に改造するに適当な素材を見繕って送ってくれぬか、
とな…」
愉しげに語る教聖とは裏腹に、苦虫を噛み潰したような声を陀幽巴が絞り出す。
「…そうか、それで合点がいきました。
例の異界人…煬赫めの無能さ加減が…。
そもそも、あのシャザラがまともな素体を寄越すはずがないのですから…!」
「ふふふ、相変わらず陀幽巴は手厳しいな…。
これでも創造主としては最善を尽くしたつもりだが…。
だが正味の所、幾ら出来が悪かろうとも、少なくとも狂魔酒鬼どもよりはマシであろう?」
「……」
頑なに沈黙を貫く兄に逆に不安になった末弟がその膝を軽く突ついて返答を促すが誇り高き幽巴一族を束ねる総領は微動だにしない。
「どうやら陀幽巴と煬赫はこの世が終ろうとも肝胆相照らす事は無さそうだな…。
ま、無論それだからという訳ではなく、そもそも大至急という話でもないのだが…。
思惑通り受躰が成功した場合、汝ら両名は余の地上遠征に同行してもらう予定になっておるが、異存はないな?」
「…は?」
「…へ?」
まさに青天の霹靂…尤も教軍超兵の世界にこの慣用句は無かろうが、兄弟を襲った戦慄はまさしくこれであった。
「何も驚く事はあるまい…、
冒頭で述べた様に、ここまで神牙教軍の威名が全土に轟き渡った以上、ラージャーラの今後は我が分身たる奎壑に任せれば事足りる…。
それよりも余の“真の腹心”たるお前達こそは、もとより勝利に驕らず、只の一刻も安寧に甘んじる事無き主が新たに開始する、より困難なる戦いに先頭を切って馳せ参じるべきではなかろうかな?」
「はっ、御意であります…」
同時に頭を下げたものの、教聖は臙脂色の方を見下ろして宣った。
「…縻幽巴よ、何か言いたそうだな?
遠慮なく申してみるがいい」
「は、はい…、
ボクの、いえ私の聞き違いでなければ、先程教聖は両名と仰った様でありますが…?」
「いかにもな…それがどうかしたか?」
空惚けた風情の絶対者に怖いもの知らずの茶目小僧はズバリ切り込んだ。
「…それはつまり、鑼兄…いえ、次兄・鑼幽巴は無用だという意味に捉えてよろしいのでしょうか!?」
琥珀の闇に豪奢にして妖美な輝きを放つ黄金の仮面が明瞭に左右に振られる。
「いいや、そうではない。
奎壑が如何に有能であろうとも、“永久の乱世”を宿命付けられたラージャーラの全てを掌握し切る事はおそらく不可能であろう…。
従って聖軍帥を補佐というのではないが、陰ながら支え、思わぬ強敵が現れた際に率先して討ち果たす勇将の存在は言うまでもなく不可欠…。
ならば我が軍内でその最適格者を求めた際、真っ先に浮上するのが他ならぬ鑼幽巴という訳だ…」
「…御意」
「尤も、地上世界でもいずれあ奴の力は必ずや必要となる時が来る…。
そうなれば何を於いても我が〈教命〉に応じて勇躍乗り込んで来る事であろう…!
何より、現在【死霊島】においては海龍党と聖団の死物狂いの決闘がまさに酣となっておる…。
未だどちらが勝利するかは不明だが、これらの存在もまさに鑼幽巴が相手取るために出現したとさえ言えるのではないかな…?」
「…先程、教聖は受躰成就後、すぐに地上遠征に発たれる予定は無いと仰られました。
という事は、仮に摩麾螺…否、海龍党が勝利した場合、我々兄弟が揃ってあの反逆組織を誅滅する時間はあると存じます…!
その際、若干の手勢を率いての遠征はお許し下さるでしょうか…!?」
如何に服従を宿命付けられた首領であろうとも、兄弟全員がその誅戮を熱望している怨敵をあろうことか唯一人に特権的に討たせんとするかの如き言辞は聞き捨てならぬ、とばかりに長兄・陀幽巴が毅然たる口調で述べ立てた。
「ふむ…好きにするがよい。
だが、海龍党の本体はあくまでも最極呪念士である事を忘れるでないぞ…。
摩麾螺は副頭目とはいえ、不憫にも魔液を注ぎ込まれて操られておるに過ぎんのだ…とはいえ」
ここで首領は思わせぶりな含み笑いと共に告げた。
「摩麾螺め、その作用によってであろうが、中々に端倪すべからざる魔闘力を発揮しておるわ…。
…なるほど、決して伊達や酔狂で“神牙教軍最強戦士”を名乗っておる訳ではないという事か…」
あたかもその千里眼によって現在の死霊島の状況をまざまざと幻視しているかの如き口吻だが、その言葉の端々から“龍坊主最強”を自負する幽巴兄弟を刺激…否、挑発せんとする意思は露骨なまでに明らかであった。
「…教軍超兵の誇りにかけて、幽巴兄弟は決して摩麾螺に後れを取る者ではありませぬ…!」
陀幽巴の断言に縻幽巴も強く頷く。
「…分かっておる。
…それではこれから余は依巫の様子を確認後、儀式開始まで姿を匿す事にするが…、
もうすぐ、遠路はるばる参集する幹部達に余計な手間を取らせるのも悪かろう…、
亡き前総司令官同様に凱鱗領の未来に有害な、主督空将とやらを今すぐ抹殺し、戦闘機の指揮系統を破壊しておくがよい。
縻幽巴、頼むぞ。
それでは陀幽巴よ、余を愛しき依巫の許へ…!」
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