41 / 94
第2章 魔人どもの野望
雅桃…“天使の正体”
しおりを挟む
【煌輪塔ホテル】第6層11号室内に満ちる馨しい芳香と、空気を震わせる艶かしくも荒い息遣いの波の中に、断続的に生じる呻きと咽び泣くかのような喘ぎ声…。
鄭 雅桃が投宿するこの続き部屋は、今や“妖しき異空間”に変貌していた。
声の主は、“最年少特級操獣師”の懇願に応じて薄桃色に統一された豪奢なダブルベッドに横たわる全裸の萩邑りさらであり…
白い喉元を大きくのけ反らせた彼女の上に覆い被さり、頭部をりさらの両手で慰撫されるほどにより深く貌を相手の香り高い肌に埋め込んでゆき、目下のところはストイックな筋トレとヨガで引き締められた美神の白い腹筋に沿って入念に紅唇を滑らせているピンクのパジャマ姿の妖少女こそが、この禁断の聖域の支配者であった…。
いくら開始前にりさらから脱衣を禁じられたとはいえ、機会は何度もあったにも関わらずそうしなかったということは、“寝間着姿での奉仕”が彼女にこの上ない倒錯的な快感をもたらしているとしか考えられなかったが、或いはたとえ一瞬でも最愛の女性との接触が断たれることを厭うた結果であるかも知れぬ…。
事実、雅桃の動きは一瞬も静止することなく、崇拝と欲情の対象である美しき操獣師の肉体を隈なく覆い尽くしてゆく…。
少女の頑ななまでの純真さだけはそのままに、今や柔順な後輩の仮面を完全にかなぐり捨てた雅桃の渾身の愛撫に曝される萩邑りさらの意識はまさに小竜巻に巻き込まれた花弁の如く飜弄され、しかも孤独な後輩の傷付いた魂を包み癒やすために一切の抵抗を自身に禁じ全てを受け止めんとの想いゆえに、肌を合わせる度に恐るべき上達ぶりを痛感させられる、小さな躰を総動員しての執拗なまでの性技によってこのまま攻め続けられれば、遠からず失神に追い込まれてしまうのではとの危機感に苛まれていた…。
『…全ては私の責任だわ…
鄭 雅桃という可憐な天使の中に潜む“緋色の獣”を目覚めさせてしまった…。
もしこのまま進んでしまったら、私たちの未来に待ち受けるのは恐らく肉体だけに留まらない魂の破滅…
けれど、あの思い詰めた潤んだ瞳をどうしても突き放せなかった…。
でも、これ以上長引かせてしまったら本当にブリーフィングに間に合わなくなってしまう…!
雅桃、お願い…
あなたの愛を、
今はここまでで留めて…!』
…当初は速やかに愛しい後輩の心を蝕む自身への征服欲を満足させてやり、後は退室に予定していた時刻まで再度の入浴をはじめとする身支度に費やす心算であったのがここまで縺れてしまった原因はまさに、行為に賭ける雅桃の烈しさとそれを拒めぬりさらの甘さにあったといえよう…。
鄭 雅桃は、萩邑りさらへの“恋情”に文字通り身命を賭していたのだ。
そしてそれは、ある意味では“殺意”に近いものにまで尖鋭化してしまっているのかも知れぬ…。
『もし萩邑先輩…
いいえ、りさら様が私を裏切るようなことがあったら…
馬鹿ね、そんなことは絶対にありえない!
何故なら、そんな世界の破滅にも等しい悲劇の兆候をこの賢い私が見逃すはずがないのだから!
でも不幸にも、万が一、それを察知するようなことがあれば、私は必ずや貴女を殺すでしょう…
これ以上ないほど美しく、天上的な快楽に満ちた方法で…
そして私の命が尽きるまで、華麗な花々を敷き詰めた硝子の棺に全裸で瞑る貴女の美しい死顔を見つめて過し、やがてその傍らに我が身を添わせるのです…』
…もはや祭壇上の豪奢な生贄となった美女のわななく肉体を本能の赴くままに貪っていた恍惚の美少女は、幾分は魂の飢えが満たされたのか、激しく波打つ白い腹部に伏せていた貌をようやく上げた。
『…私が真実に魂の奥底から希んでいるのはりさら様との結婚…。
その未来のためには、今ここで全てを失ってしまう訳にはいかない…!』
時間を知るのに、時計を見る必要などなかった。
女神の尊い肌を傷つけてしまう危険を避けるため、パジャマの胸ポケットに収めていた貝紫色の聖幻晶を装着すれば簡単に把握出来る。
『もうすぐ《央月刻》か…。
断腸の思いではあるけれど、そろそろ切り上げないとブリーフィングに遅刻してあの地獄の鬼みたいに醜い竹澤夏月が烈火の如く怒り狂うな…。
仕方がない、私たちの輝かしい未来には代えられない…
…りさら様。
今夜はここまでで、
赦してあげますね…♡』
鄭 雅桃が投宿するこの続き部屋は、今や“妖しき異空間”に変貌していた。
声の主は、“最年少特級操獣師”の懇願に応じて薄桃色に統一された豪奢なダブルベッドに横たわる全裸の萩邑りさらであり…
白い喉元を大きくのけ反らせた彼女の上に覆い被さり、頭部をりさらの両手で慰撫されるほどにより深く貌を相手の香り高い肌に埋め込んでゆき、目下のところはストイックな筋トレとヨガで引き締められた美神の白い腹筋に沿って入念に紅唇を滑らせているピンクのパジャマ姿の妖少女こそが、この禁断の聖域の支配者であった…。
いくら開始前にりさらから脱衣を禁じられたとはいえ、機会は何度もあったにも関わらずそうしなかったということは、“寝間着姿での奉仕”が彼女にこの上ない倒錯的な快感をもたらしているとしか考えられなかったが、或いはたとえ一瞬でも最愛の女性との接触が断たれることを厭うた結果であるかも知れぬ…。
事実、雅桃の動きは一瞬も静止することなく、崇拝と欲情の対象である美しき操獣師の肉体を隈なく覆い尽くしてゆく…。
少女の頑ななまでの純真さだけはそのままに、今や柔順な後輩の仮面を完全にかなぐり捨てた雅桃の渾身の愛撫に曝される萩邑りさらの意識はまさに小竜巻に巻き込まれた花弁の如く飜弄され、しかも孤独な後輩の傷付いた魂を包み癒やすために一切の抵抗を自身に禁じ全てを受け止めんとの想いゆえに、肌を合わせる度に恐るべき上達ぶりを痛感させられる、小さな躰を総動員しての執拗なまでの性技によってこのまま攻め続けられれば、遠からず失神に追い込まれてしまうのではとの危機感に苛まれていた…。
『…全ては私の責任だわ…
鄭 雅桃という可憐な天使の中に潜む“緋色の獣”を目覚めさせてしまった…。
もしこのまま進んでしまったら、私たちの未来に待ち受けるのは恐らく肉体だけに留まらない魂の破滅…
けれど、あの思い詰めた潤んだ瞳をどうしても突き放せなかった…。
でも、これ以上長引かせてしまったら本当にブリーフィングに間に合わなくなってしまう…!
雅桃、お願い…
あなたの愛を、
今はここまでで留めて…!』
…当初は速やかに愛しい後輩の心を蝕む自身への征服欲を満足させてやり、後は退室に予定していた時刻まで再度の入浴をはじめとする身支度に費やす心算であったのがここまで縺れてしまった原因はまさに、行為に賭ける雅桃の烈しさとそれを拒めぬりさらの甘さにあったといえよう…。
鄭 雅桃は、萩邑りさらへの“恋情”に文字通り身命を賭していたのだ。
そしてそれは、ある意味では“殺意”に近いものにまで尖鋭化してしまっているのかも知れぬ…。
『もし萩邑先輩…
いいえ、りさら様が私を裏切るようなことがあったら…
馬鹿ね、そんなことは絶対にありえない!
何故なら、そんな世界の破滅にも等しい悲劇の兆候をこの賢い私が見逃すはずがないのだから!
でも不幸にも、万が一、それを察知するようなことがあれば、私は必ずや貴女を殺すでしょう…
これ以上ないほど美しく、天上的な快楽に満ちた方法で…
そして私の命が尽きるまで、華麗な花々を敷き詰めた硝子の棺に全裸で瞑る貴女の美しい死顔を見つめて過し、やがてその傍らに我が身を添わせるのです…』
…もはや祭壇上の豪奢な生贄となった美女のわななく肉体を本能の赴くままに貪っていた恍惚の美少女は、幾分は魂の飢えが満たされたのか、激しく波打つ白い腹部に伏せていた貌をようやく上げた。
『…私が真実に魂の奥底から希んでいるのはりさら様との結婚…。
その未来のためには、今ここで全てを失ってしまう訳にはいかない…!』
時間を知るのに、時計を見る必要などなかった。
女神の尊い肌を傷つけてしまう危険を避けるため、パジャマの胸ポケットに収めていた貝紫色の聖幻晶を装着すれば簡単に把握出来る。
『もうすぐ《央月刻》か…。
断腸の思いではあるけれど、そろそろ切り上げないとブリーフィングに遅刻してあの地獄の鬼みたいに醜い竹澤夏月が烈火の如く怒り狂うな…。
仕方がない、私たちの輝かしい未来には代えられない…
…りさら様。
今夜はここまでで、
赦してあげますね…♡』
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

学年揃って異世界召喚?執行猶予30年貰っても良いですか?
ばふぉりん
ファンタジー
とある卒業式当日の中学生達。それぞれの教室でワイワイ騒いでると突然床が光だし・・・これはまさか!?
そして壇上に綺麗な女性が現れて「これからみなさんには同じスキルをひとつだけ持って、異世界に行ってもらいます。拒否はできません。ただし、一つだけ願いを叶えましょう」と、若干頓珍漢な事を言い、前から順番にクラスメイトの願いを叶えたり却下したりと、ドンドン光に変えていき、遂に僕の番になったので、こう言ってみた。
「30年待ってもらえませんか?」と・・・
→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
初めて文章を書くので、色々教えていただければ幸いです!
また、メンタルは絹豆腐並みに柔らかいので、やさしくしてください。
更新はランダムで、別にプロットとかも無いので、その日その場で書いて更新するとおもうのであ、生暖かく見守ってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる