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第2章 魔人どもの野望
回想の狂戦地ルドストン④
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「失礼致します。
剛駕崇景、只今戻りました」
との挨拶とともに歓待室に足を踏み入れた畏友・玉朧拳師の秘蔵っ子に、直径10レクトは優に達する金色の枠で縁取られた群青色の円卓の“上座”に坐する教率者は頼もしげな視線を投げかけた。
「おお、待ちかねておったぞ、勇猛なる“蒼き虎”よ…!
そちには至急、意見を聞きたいことがある…速やかに着座するがよい」
「はっ」
未だ卓上に残されていた、先客に供されていた豪華な茶菓を盛った極彩色の器が貝殻を象った奇抜ながらも瀟洒な被り物を着け、パステル調の裾の長い薄衣を纏った教率者付きの侍女たちによって下げられる中、剛駕崇景は緊張した面持ちでバジャドクの対面に腰を下ろした。
それを待っていたかのように、金色の盆を提げた別の侍女が現れ、彼の前に琥珀色の液体がなみなみと注がれた柄付きのグラスを優雅な手付きで置く。
「さあタカカゲよ、一息にて空けるがよい。
我がルドストンの“丈夫の飲料”ノクシャスを…!」
「…いただきます」
両手で器を捧げ持った崇景は、命じられたままに一気に、しかも些かも品位を損なうことなく若干の興奮作用を有する“強壮剤”を飲み干した。
「おお、見事な飲みっぷりじゃ…さすがに絆獣聖団屈指の勇士だけのことはある。
…さてもタカカゲよ、早速本題に入るが…。
拳師からも簡潔な説明は受けておろうが、実の処、そちは一連の事態をどう見ておるのか率直な意見を申してもらいたい…」
相手の心の奥底を、精神の触手で隈なく弄るようなバジャドク特有の視線を真正面から受け止めながら、剛駕崇景は自己の見解を披瀝すべく口を開く。
「畏まりました。
まず、私の脳裡に真っ先に浮かんだ疑念は、執務室の怪異と3人の操獣師の異変は明白に関連があり、しかも同一の意志によって惹起された現象であるということであります…。
では、“犯人”はいかなる手段によってこれらを成し得たか?
いや、それ以前に、そもそもこの厳戒態勢の海底宮殿への潜入にいかようにして成功したのか?
仮説のその1として、口にするのも憚られるのでありますが…」
教率者の無言の促しを受け、若き錬装者は淡々と続けた。
「この件に関する限り、神牙教軍及び海龍党への“協力者”による手引きがあったとしか考えられません…!」
カッと見開かれた凱鱗領教率者の一段と勁さを増した眼光から一瞬も目を逸らすことなく剛駕崇景は一旦口を閉じた。
「なるほど…して、一体何者であるのか、その協力者とやらは?」
「…私見では、統衞軍…しかもかなり上層に属する者以外には考えられぬかと…。
何よりも宮殿の治安機構自体に干渉しうる術無くして刺客を導き入れることは不可能なのですから」
「ぬう…よもや我が股肱の統衞軍に、このバジャドクへの叛意が渦巻いておるというのか…。
だが、そちは更なる仮説を抱懐しておるとのこと…まずはそれを申し終えるがよい」
「それでは申し上げさせて頂きます。
これは自身でもかなり飛躍した、些か想像的な憶測なのでありますが…。
“実行犯”は人以外の生物…いや、仮に人の思考能力を有してはいても、既に異なる形状に変容し果てた存在か、もしくは外部からの…いや確実に、鏡の教聖の意志によって操縦された特殊な生命体もしくは機械生物による行為なのではないかと推断するものであります」
「異なる形状に変容し果てた人間…!
よもや…いや、そんははずはない…!
“奴”は遥か昔に死んだはず…!」
険しい表情で沈思黙考する教率者を前に、“何か”を察した剛駕崇景は直面する事態の深刻さをまざまざと感得したが、同時に背後に覚えた師の気配に立ち上がる。
「…遅くなりました。全絆獣の帰還完了致しました」
「おお拳師よ、長時間の待機ご苦労でしたな。
…さても、カヅキの機嫌はいかがでしたかな?」
さすがにバツの悪そうなバジャドクの探るような眼差しに、玉朧も苦笑で応ずるしか術はないようであった。
「は…さすがに史上初ともいえる由々しき事象に見舞われた訳でありますから、その内心たるやとても穏やかとは申しかねますが、ガートスの増援という教界挙げての支援体制を受け、健在なる3名にて戦闘の続行を図る所存とのことであります」
この返答は予想に背くものであったらしく、老教率者は大きく目を見開きつつ嘆息する。
「何と…!
すると、貴重なる3体の絆獣のルドストンにおける活躍は全く望めぬというか…。
その決断に至るにはよほどの事情があったのであろうが、ズアーグ等を駆動させるにはどうしてもあの3人でなくてはならぬのか…?
無論、リサラほどの卓越した技倆は有せざろうとも、操獣師と名乗る存在はかなり温存されておると見受けるのだが…」
この訴えに、“異界の盟友”も苦渋の表情で頷く。
「私も同感なのでありますが、この3体は殊に扱いが難しく、しかも敵の機動力が当初の想定を大きく凌駕するものであるため、“特級”の称号を得た者で非ずば、満足ゆく戦果どころかむしろ教界に被害を及ぼしかねぬとのことでありました…」
「……」
胸元に達する白鬚に指を絡めて虚空を睨むバジャドクは、重いため息を吐きつつ視線を2名の戦士に戻した。
「さようであるか…。
たとえ未熟であろうとも、誉れある絆獣聖団の一員である以上は腕を撫して出番を待っているであろう“控えの者”たちの可能性に賭けてもらいたいものであるが、歴戦の猛者てあり、教界としても大恩のある総隊長の見立てである以上、黙過するより他あるまいな…」
「…御意」
「うむ…。
まあ、拳師よ、そしてタカカゲも今一度座するがよい。
恐らく、先程タカカゲが申した推測は師とも共有したるものであろうから私自身の臆断を述べよう。
現在、侍医マーキスに、収容された3人の“血液検査”の結果を大至急報告するよう求めている。
その結果次第によっては、そちたちの鋭き直感に感嘆を禁じ得ないのであるが…!」
「……⁉」
思わず師弟が顔を見合せ、それからしばらくの間、歓待室には最もそぐわぬはずの重い沈黙の支配が続いた。
「な…やはりそうであったか…!」
不意に、しかも卒然と立ち上がった教率者に、玉朧らも気色ばむ。
両雄には既知の事実であったが、バジャドクの耳殻には侍従たちとの通信を常時可能とする超小型の通信機器が埋め込まれているようであった。
しばらく侍医との対話を続けた後、悄然と着席した教率者は、硬い視線と共に驚くべき自説を開陳した…。
「…今、マーキスから報告があったのだが、恐れていた事態が現実のものとなったようじゃ…。
タカカゲ、どうやらそちの“推断”とやら、正確に的を射抜いておったわ…。
3人の操獣師の血液から、凱鱗領を隈なく調べようとも“ザチェラの流砂蜘蛛”のみが保持する凶毒素が検出されたらしい…」
「ザチェラの流砂蜘蛛…⁉」
玉朧らにとっては未知の禍々しい呼び名に、2人の表情にも緊張が疾る。
「さよう…。
これは単なる辺境生物などではない…まさに触れるもの全てに凄まじいまでの災厄をもたらす“地獄の魔蟲”じゃ…。
だが、その真の恐ろしさは、忌むべき“外法”に資されることによって潜在力を万倍にも増悪されることにある…!」
「忌むべき外法、ですと…?」
玉朧の反芻に、苦悶に近い表情の教率者が小さく頷く。
「我ら呪念士の《仙冥解蠱法》によって、な…」
その禍々しい響きにただならぬ妖気を感得した崇景であるが、バジャドクが的を射抜いたと評した自らの推断がより悪しき結論へと導かれるのを禁じ得ない。
『…すると流砂蜘蛛なる怪虫は鏡の教聖か或いは悪しき呪念士に操られて宮殿内を跳梁跋扈しているということか…?
確かにその大きさであるならば、そして何らかの隠形的な施術をなされているならば、この厳格なセキュリティ下の宮殿内の潜入に成功したのも不思議ではないが…。
だが教率者の言葉通り、魔蟲が呪念士の術式によって操られているならば、“犯人”が順当に摩麾螺であるとすると奴は“呪念士化した龍坊主”、あるいはその逆ということになる…。
事実、彼奴は自身を龍坊主呼ばわりされることに激しく反発したと…。
となると、かなりの難敵ということになるな…。
だが、アイアスら何名かから得た“心ある統衞軍関係者の証言”によると、我ら絆獣聖団への厚遇及び重用や、三軍の武力編成への露骨なまでの容喙によって教率者への不満が爆発寸前にあることは客観的事実…。
しかも、新司令・ケエギルには[火原の美獣]なる“秘教結社”の最高幹部との濃厚な疑惑があるとか…。
更なる精査が必要ではあろうが、この組織が海龍党と同じく神牙教軍の下部勢力である可能性も排除すべきではあるまい…。
即ち、“叛乱軍”の手引を受けた龍坊主(摩麾螺)が流砂蜘蛛の毒液に手を加えた特製凶器によって3人を襲ったということも十分考えられるではないか?
だが、何故にあの3人のみを狙ったかの疑問は残る…。
一体、襲撃者の真の目的は何なのだ?
…そして魔蟲の操作者が鏡の教聖であるなら、敢えて摩麾螺などと名乗る必要もない訳だから、この線はまずあるまい…』
だが若武者の推測が更に深められたかに見えた瞬間、バジャドクの炯、と光る眼光が彼を射すくめた。
「…その“仮説”は尤もじゃ。
だがタカカゲよ、わしの到達した“結論”は違う。
恐らく、摩麾螺などという龍坊主は存在しない…或いはいたとしても今回の一件には何ら関与はしておらん…。
“真犯人”は別にいる。
確信をもってここにその名を告げよう…。
ほぼ同時期に史上最高の呪念士・ファダスの門を叩き、6年もの期間、鎬を削り合った兄弟子ワーズフの兇名を!!」
剛駕崇景、只今戻りました」
との挨拶とともに歓待室に足を踏み入れた畏友・玉朧拳師の秘蔵っ子に、直径10レクトは優に達する金色の枠で縁取られた群青色の円卓の“上座”に坐する教率者は頼もしげな視線を投げかけた。
「おお、待ちかねておったぞ、勇猛なる“蒼き虎”よ…!
そちには至急、意見を聞きたいことがある…速やかに着座するがよい」
「はっ」
未だ卓上に残されていた、先客に供されていた豪華な茶菓を盛った極彩色の器が貝殻を象った奇抜ながらも瀟洒な被り物を着け、パステル調の裾の長い薄衣を纏った教率者付きの侍女たちによって下げられる中、剛駕崇景は緊張した面持ちでバジャドクの対面に腰を下ろした。
それを待っていたかのように、金色の盆を提げた別の侍女が現れ、彼の前に琥珀色の液体がなみなみと注がれた柄付きのグラスを優雅な手付きで置く。
「さあタカカゲよ、一息にて空けるがよい。
我がルドストンの“丈夫の飲料”ノクシャスを…!」
「…いただきます」
両手で器を捧げ持った崇景は、命じられたままに一気に、しかも些かも品位を損なうことなく若干の興奮作用を有する“強壮剤”を飲み干した。
「おお、見事な飲みっぷりじゃ…さすがに絆獣聖団屈指の勇士だけのことはある。
…さてもタカカゲよ、早速本題に入るが…。
拳師からも簡潔な説明は受けておろうが、実の処、そちは一連の事態をどう見ておるのか率直な意見を申してもらいたい…」
相手の心の奥底を、精神の触手で隈なく弄るようなバジャドク特有の視線を真正面から受け止めながら、剛駕崇景は自己の見解を披瀝すべく口を開く。
「畏まりました。
まず、私の脳裡に真っ先に浮かんだ疑念は、執務室の怪異と3人の操獣師の異変は明白に関連があり、しかも同一の意志によって惹起された現象であるということであります…。
では、“犯人”はいかなる手段によってこれらを成し得たか?
いや、それ以前に、そもそもこの厳戒態勢の海底宮殿への潜入にいかようにして成功したのか?
仮説のその1として、口にするのも憚られるのでありますが…」
教率者の無言の促しを受け、若き錬装者は淡々と続けた。
「この件に関する限り、神牙教軍及び海龍党への“協力者”による手引きがあったとしか考えられません…!」
カッと見開かれた凱鱗領教率者の一段と勁さを増した眼光から一瞬も目を逸らすことなく剛駕崇景は一旦口を閉じた。
「なるほど…して、一体何者であるのか、その協力者とやらは?」
「…私見では、統衞軍…しかもかなり上層に属する者以外には考えられぬかと…。
何よりも宮殿の治安機構自体に干渉しうる術無くして刺客を導き入れることは不可能なのですから」
「ぬう…よもや我が股肱の統衞軍に、このバジャドクへの叛意が渦巻いておるというのか…。
だが、そちは更なる仮説を抱懐しておるとのこと…まずはそれを申し終えるがよい」
「それでは申し上げさせて頂きます。
これは自身でもかなり飛躍した、些か想像的な憶測なのでありますが…。
“実行犯”は人以外の生物…いや、仮に人の思考能力を有してはいても、既に異なる形状に変容し果てた存在か、もしくは外部からの…いや確実に、鏡の教聖の意志によって操縦された特殊な生命体もしくは機械生物による行為なのではないかと推断するものであります」
「異なる形状に変容し果てた人間…!
よもや…いや、そんははずはない…!
“奴”は遥か昔に死んだはず…!」
険しい表情で沈思黙考する教率者を前に、“何か”を察した剛駕崇景は直面する事態の深刻さをまざまざと感得したが、同時に背後に覚えた師の気配に立ち上がる。
「…遅くなりました。全絆獣の帰還完了致しました」
「おお拳師よ、長時間の待機ご苦労でしたな。
…さても、カヅキの機嫌はいかがでしたかな?」
さすがにバツの悪そうなバジャドクの探るような眼差しに、玉朧も苦笑で応ずるしか術はないようであった。
「は…さすがに史上初ともいえる由々しき事象に見舞われた訳でありますから、その内心たるやとても穏やかとは申しかねますが、ガートスの増援という教界挙げての支援体制を受け、健在なる3名にて戦闘の続行を図る所存とのことであります」
この返答は予想に背くものであったらしく、老教率者は大きく目を見開きつつ嘆息する。
「何と…!
すると、貴重なる3体の絆獣のルドストンにおける活躍は全く望めぬというか…。
その決断に至るにはよほどの事情があったのであろうが、ズアーグ等を駆動させるにはどうしてもあの3人でなくてはならぬのか…?
無論、リサラほどの卓越した技倆は有せざろうとも、操獣師と名乗る存在はかなり温存されておると見受けるのだが…」
この訴えに、“異界の盟友”も苦渋の表情で頷く。
「私も同感なのでありますが、この3体は殊に扱いが難しく、しかも敵の機動力が当初の想定を大きく凌駕するものであるため、“特級”の称号を得た者で非ずば、満足ゆく戦果どころかむしろ教界に被害を及ぼしかねぬとのことでありました…」
「……」
胸元に達する白鬚に指を絡めて虚空を睨むバジャドクは、重いため息を吐きつつ視線を2名の戦士に戻した。
「さようであるか…。
たとえ未熟であろうとも、誉れある絆獣聖団の一員である以上は腕を撫して出番を待っているであろう“控えの者”たちの可能性に賭けてもらいたいものであるが、歴戦の猛者てあり、教界としても大恩のある総隊長の見立てである以上、黙過するより他あるまいな…」
「…御意」
「うむ…。
まあ、拳師よ、そしてタカカゲも今一度座するがよい。
恐らく、先程タカカゲが申した推測は師とも共有したるものであろうから私自身の臆断を述べよう。
現在、侍医マーキスに、収容された3人の“血液検査”の結果を大至急報告するよう求めている。
その結果次第によっては、そちたちの鋭き直感に感嘆を禁じ得ないのであるが…!」
「……⁉」
思わず師弟が顔を見合せ、それからしばらくの間、歓待室には最もそぐわぬはずの重い沈黙の支配が続いた。
「な…やはりそうであったか…!」
不意に、しかも卒然と立ち上がった教率者に、玉朧らも気色ばむ。
両雄には既知の事実であったが、バジャドクの耳殻には侍従たちとの通信を常時可能とする超小型の通信機器が埋め込まれているようであった。
しばらく侍医との対話を続けた後、悄然と着席した教率者は、硬い視線と共に驚くべき自説を開陳した…。
「…今、マーキスから報告があったのだが、恐れていた事態が現実のものとなったようじゃ…。
タカカゲ、どうやらそちの“推断”とやら、正確に的を射抜いておったわ…。
3人の操獣師の血液から、凱鱗領を隈なく調べようとも“ザチェラの流砂蜘蛛”のみが保持する凶毒素が検出されたらしい…」
「ザチェラの流砂蜘蛛…⁉」
玉朧らにとっては未知の禍々しい呼び名に、2人の表情にも緊張が疾る。
「さよう…。
これは単なる辺境生物などではない…まさに触れるもの全てに凄まじいまでの災厄をもたらす“地獄の魔蟲”じゃ…。
だが、その真の恐ろしさは、忌むべき“外法”に資されることによって潜在力を万倍にも増悪されることにある…!」
「忌むべき外法、ですと…?」
玉朧の反芻に、苦悶に近い表情の教率者が小さく頷く。
「我ら呪念士の《仙冥解蠱法》によって、な…」
その禍々しい響きにただならぬ妖気を感得した崇景であるが、バジャドクが的を射抜いたと評した自らの推断がより悪しき結論へと導かれるのを禁じ得ない。
『…すると流砂蜘蛛なる怪虫は鏡の教聖か或いは悪しき呪念士に操られて宮殿内を跳梁跋扈しているということか…?
確かにその大きさであるならば、そして何らかの隠形的な施術をなされているならば、この厳格なセキュリティ下の宮殿内の潜入に成功したのも不思議ではないが…。
だが教率者の言葉通り、魔蟲が呪念士の術式によって操られているならば、“犯人”が順当に摩麾螺であるとすると奴は“呪念士化した龍坊主”、あるいはその逆ということになる…。
事実、彼奴は自身を龍坊主呼ばわりされることに激しく反発したと…。
となると、かなりの難敵ということになるな…。
だが、アイアスら何名かから得た“心ある統衞軍関係者の証言”によると、我ら絆獣聖団への厚遇及び重用や、三軍の武力編成への露骨なまでの容喙によって教率者への不満が爆発寸前にあることは客観的事実…。
しかも、新司令・ケエギルには[火原の美獣]なる“秘教結社”の最高幹部との濃厚な疑惑があるとか…。
更なる精査が必要ではあろうが、この組織が海龍党と同じく神牙教軍の下部勢力である可能性も排除すべきではあるまい…。
即ち、“叛乱軍”の手引を受けた龍坊主(摩麾螺)が流砂蜘蛛の毒液に手を加えた特製凶器によって3人を襲ったということも十分考えられるではないか?
だが、何故にあの3人のみを狙ったかの疑問は残る…。
一体、襲撃者の真の目的は何なのだ?
…そして魔蟲の操作者が鏡の教聖であるなら、敢えて摩麾螺などと名乗る必要もない訳だから、この線はまずあるまい…』
だが若武者の推測が更に深められたかに見えた瞬間、バジャドクの炯、と光る眼光が彼を射すくめた。
「…その“仮説”は尤もじゃ。
だがタカカゲよ、わしの到達した“結論”は違う。
恐らく、摩麾螺などという龍坊主は存在しない…或いはいたとしても今回の一件には何ら関与はしておらん…。
“真犯人”は別にいる。
確信をもってここにその名を告げよう…。
ほぼ同時期に史上最高の呪念士・ファダスの門を叩き、6年もの期間、鎬を削り合った兄弟子ワーズフの兇名を!!」
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