12 / 94
第1章 異空の超戦者たち
操獣少女の生活環境②
しおりを挟む
「雪英、行けっ!」
予期せざる闖入者のこれ以上の狼藉を阻止すべく、玉朧拳師は愛弟子に指令を発したが、現段階の坂巻 雪英の習熟度では錬装完了にたっぷり十秒は要する…その間隙を星拳鬼會のホープは“念動手裏剣”ともいうべき円琳剣によって埋めようと一瞬目論むが、“餓狼の化身”を自称する、錬装者屈指とされるベルガーの驚異的な反射神経を考慮すれば至近距離での飛び道具はあまりにも危険であり、一歩間違えば、分厚い鋼板も紙のように寸断する超刃は竹澤夏月をバラバラにしてしまいかねない、と思い留まる。
──さて、錬装開始と同時に錬装者の肉体は錬装磁甲と同色の光彩に包まれるのであるが、熟達者であるほどこの“色卵”と操獣師達から揶揄される時間は短縮出来、逆に眩い光の奔流によって殆ど視界を閉ざされる絶対不利の状態においても、あえてこの光を武器とした攻撃を仕掛け得るという…。
当然ながら雪英や悪友・雷堂 玄はその“域”には達しておらず、錬装完了まで不動の体勢を維持することを師から厳命されていた…。
かくて眩い純白の色卵状態となった雪英だが、その傍らに漆黒のそれが出現している…雷堂 玄もまた錬装状態に入ったのだ!
銀と黒の光の粒子がぶつかり合い、結合しあって徐々に人型の形状を成しつつ、複雑極まる細部が彫琢されてゆく。
僅差で錬装完了した城 雪英の錬装磁甲は、錬装前の彼からは想像し得ない魁夷な“機体”であり、最も近しいのは仏教を守護する十二神将の一尊〈伐折羅〉であろうか?だがその“貌”はより静的な、瞋恚というよりは端正さを印象付ける意匠となっている。
「──おっと、そうはいかねえぜ!」
今まさに駆け出そうとした刹那、白い麗鬼は闇から出現したかのような漆黒の鋼人に羽交い絞めされていた!
「今だ、Herr・ベルガー!」
思わぬ?援軍に銀狼も敏感に呼応する。
「Danke!ゲン!!」
“竹澤夏月は後のお楽しみ”とばかりにとりあえず殺戮姫を背面の壁に叩きつけたベルガーは、右下腕から出現した凶々しい長さ60センチ、最大幅30数センチにも及ぼうかという“スペード型刃”を振りかざして突進する。
「玄、きさまっ、雪英を裏切るかっ⁉」
鼓膜を震わす星拳鬼會“後見人”の怒声にも些かも怯まず、反逆の悪童は銀狼と瓜二つの鮮血色の耀眼を向けつつ殺意の絶叫を爆発させる。
「うるせえ!このドチビハゲがッ!!言っとくがな、雪英を仲間と思ったことなんかただの一度もねえよ!てめえもすぐにその耄碌頭を叩き割ってやっから、今のうちに念仏でも唱えてろや!」
「そうだゲン、その調子だ!とりあえず監査室にいる邪魔者を抹殺したら、君を皇帝狼に幹部待遇で迎えることを約束するぞ!」
坂巻雪英の喉笛に魔獣の爪をあと3レクトまで接近させつつベルガーが叫ぶ。
「そいつはありがてえと言いてえが、いつまでもガキくせえチームごっこじゃつまんなくね?新しい酒は新しい杯に満たそうじゃねえかベルガーさん!俺とアンタで絆獣聖団でも神牙教軍でもねえ新組織を立ち上げるのさ!憧憬の鏡の教聖様の眼前でよ!!」
衰えを知らぬ卓越した反射神経によって咄嗟の受け身を取り、骨折等は免れたものの額に浅からぬ裂傷を負った夏月は紅く染まる視界の彼方に“馬鹿な子ほど可愛いもの”とばかりに玄らを慈愛に満ちた眼差しで見下ろす鏡の教聖を確認したが、次の刹那には異様な咆哮と共に襲来した名状しがたい形状の巨大な塊に眼前を覆われたと認識、間髪を容れずかつて味わったことのない、心骨まで達する灼けるような激痛に全身を貫かれて冷たい床に崩れ落ち、それでも収まらぬ執拗極まる刺突の嵐に晒されるのであった…そして組織に多大の影響力を有する大物であるにもかかわらず、ただの一語のダイイングメッセージすら告げる相手も暇も無いままに、その意識は未来永劫、暗黒に閉ざされてしまったのである!
「きっきっきっ、だから錬装者は“のろまなロボット”ってバカにされんのよ!…ダンケシェーン、Herr・ベルガー!“俗なる私闘は聖なる死闘の完遂後に為すべし”
“操獣師の聖典”《ドゥルガー・プリンシプル》第20項に従って、獲物は確かに頂いたわ、きっきっきっ、どうもご馳走さま♡」
狡猾さを絵に描いたような狐面とフォックスカラーのジャンプスーツをどっぷりと鮮血に染め、かつての“絶対的上司”の躰を弑獣爪で抉ること21回に及び、最後に深々と凶刃を突き立てた臍下をグリグリと捻じりつつ嘯く、いかなる教軍超兵よりも不気味な瘴気に包まれたおかっぱ頭率いる十数名の呪われし反逆者たちはやがて標的の絶息の確認と共に引き抜いた血塗られし刃を称賛を求めるかのように鏡の教聖に掲げ、彼女は満面の笑みと拍手で聖団員の“壮挙”を讃えるのであった…。
錬装磁甲の超集音機能によって聴き取った歓迎すべからざる情報を受け、絶対的優勢から来る傲りか、ヘルムート=ベルガーは思わず後方を振り返り、憤怒の形相で舌打ちする。
「全く…こすっ辛いだけが取り柄の穢らわしい溝鼠どもめ…まあいい、精神的にも肉体的にも、紳士であるオレでは到底与え得ないほどのえげつない苦痛を味わいながらくたばったと思えば諦めもつく…」
「…夏月…君ほどの戦士がこんなにも呆気なく…しかもあれほど戦死者を出さぬことに腐心し、聖団員の生命維持に尽力してきた君が…あろうことか黄泉への先陣をこのような無惨極まる形で切ることとなろうとは…一体、何という皮肉な運命なのか…」
さしもの賢者もこの衝撃的事態に心の整理が追いつかぬのか、夏月の骸に哀惜というよりもむしろ茫然自失の眼差しと呟きを手向けるのみである…。
「何やら妙な感傷に耽っておられるようですが、御自身の運命も同様であることをお忘れなく…!」
文字通り最悪の形で伝説を閉じた殺戮姫を偲ぶかのように無念の表情で瞑目した玉朧拳師の喉元に、背後に立った臙脂色の西洋甲冑がベルガーと同じ右下腕から発出させ、長さも銀狼の【覇裂皇爪】と同程度の二等辺三角形の赤い刃=CBK戦士常装の【トライアングル・ソード】を突き付けつつ、警告する。
「──わしはもう、錬装磁甲を返上した身…何を怯える?そんなザマでは、“悪漢騎士”の看板が泣くぞ」
刃の主が最強錬装者の脇に陣取っていたCBKメンバーであることは明白だが、抑えきれぬ興奮か或いは緊張からか小刻みに震える鋭刃に薄皮を傷付けられながらも、こと自身の危殆に対しては聖団屈指の賢哲と称される日本人拳法家の声音は深山のごとく静穏である。
その一員であることを何よりの栄誉とするチーム名を論われた
マイク=ローデスは、持ち前の冷徹さを取り戻したか、錆びた声音で語りかける。
「確かに、5年前に指導部入りしたあなたは《絆の掟》に従って錬装能力を喪失した──それは誰もが知っている…だが、その左腕がそれに代わる能力を秘めていることもまた、全錬装者周知の事実なのだ!」
「──この“生活補助具”にそんな尾鰭が付いていたとは、全く意外だったな…」
「この期に及んでつまらぬ虚言を弄するとは…このような愚劣な存在が統べる星拳鬼會と誇り高きCBKを統合しようとは、先程、聖団長様が私だけに囁いて下さったお陰で判明したように、どうやらわが総帥の精神はかなり以前から錯乱状態にあったに違いない…!
──やはり啓示に従って、奴を排除した新生CBKは私が指導するしかないようだ…!」
この傲岸な狂気の独白を受け、鏡の教聖の手口の一端を垣間見た玉朧は無二の戦友の無念の死を一瞬忘れて皮肉な笑みを浮かべる。
「なるほどな…一見全員に等しく語りかけているように見えるが、内実は個々人に合わせ、千差万別の妄言を与えている訳か…」
一見しただけでは全く生身のそれと見分けのつかない彼の左腕の肘から先は、5年前の引退の直接の原因となった〘ミッション173〙、ルドストン凱鱗領における現在に至るまで終結を見ない“レシャ大港攻防戦”において、“空の岩眼魔”、“陸の虹ミイラ”に並び称される“海の教軍超兵”龍坊主が目論んだ教率者暗殺計画に立ち塞がった死闘の勝利の代償として喪われ、傷口にはこれまでの二十有余年における聖団への貢献を讃える意味でも無元造房が技術の粋を結集した高性能義手が装着されたのであった…そしてその“勲章”が実は錬装磁甲に匹敵する超兵器であることが証明されたのは奇しくも2年後、伝説の殺戮姫“最終輪舞曲”においてであったのである。
──竹澤夏月が駆る、彼女の他には操獣どころか融魂すら不可能とされた、長らく最強の座に君臨した般若の貌を持つ“地獄絆獣”ギャロードもまた通算46ミッションに渡ってラージャーラに蟠踞する幾多の教界を重複しつつ駆け巡った歴戦の疲弊によって既に玉座を“最後の聖団長”肝煎りの超新星・ジェニファーと彼女が言う所の“唯一の戦友”リジルガに明け渡しており、夏月&ギャロードは師の花道を飾らんがため集結した萩邑りさらを筆頭とする愛弟子たちを引き連れ、攻防戦が収束するどころか時を追って激化する一方の玉朧拳師“因縁の地”ルドストンに決定的な楔を打ち込むべく出撃したのであった!
予期せざる闖入者のこれ以上の狼藉を阻止すべく、玉朧拳師は愛弟子に指令を発したが、現段階の坂巻 雪英の習熟度では錬装完了にたっぷり十秒は要する…その間隙を星拳鬼會のホープは“念動手裏剣”ともいうべき円琳剣によって埋めようと一瞬目論むが、“餓狼の化身”を自称する、錬装者屈指とされるベルガーの驚異的な反射神経を考慮すれば至近距離での飛び道具はあまりにも危険であり、一歩間違えば、分厚い鋼板も紙のように寸断する超刃は竹澤夏月をバラバラにしてしまいかねない、と思い留まる。
──さて、錬装開始と同時に錬装者の肉体は錬装磁甲と同色の光彩に包まれるのであるが、熟達者であるほどこの“色卵”と操獣師達から揶揄される時間は短縮出来、逆に眩い光の奔流によって殆ど視界を閉ざされる絶対不利の状態においても、あえてこの光を武器とした攻撃を仕掛け得るという…。
当然ながら雪英や悪友・雷堂 玄はその“域”には達しておらず、錬装完了まで不動の体勢を維持することを師から厳命されていた…。
かくて眩い純白の色卵状態となった雪英だが、その傍らに漆黒のそれが出現している…雷堂 玄もまた錬装状態に入ったのだ!
銀と黒の光の粒子がぶつかり合い、結合しあって徐々に人型の形状を成しつつ、複雑極まる細部が彫琢されてゆく。
僅差で錬装完了した城 雪英の錬装磁甲は、錬装前の彼からは想像し得ない魁夷な“機体”であり、最も近しいのは仏教を守護する十二神将の一尊〈伐折羅〉であろうか?だがその“貌”はより静的な、瞋恚というよりは端正さを印象付ける意匠となっている。
「──おっと、そうはいかねえぜ!」
今まさに駆け出そうとした刹那、白い麗鬼は闇から出現したかのような漆黒の鋼人に羽交い絞めされていた!
「今だ、Herr・ベルガー!」
思わぬ?援軍に銀狼も敏感に呼応する。
「Danke!ゲン!!」
“竹澤夏月は後のお楽しみ”とばかりにとりあえず殺戮姫を背面の壁に叩きつけたベルガーは、右下腕から出現した凶々しい長さ60センチ、最大幅30数センチにも及ぼうかという“スペード型刃”を振りかざして突進する。
「玄、きさまっ、雪英を裏切るかっ⁉」
鼓膜を震わす星拳鬼會“後見人”の怒声にも些かも怯まず、反逆の悪童は銀狼と瓜二つの鮮血色の耀眼を向けつつ殺意の絶叫を爆発させる。
「うるせえ!このドチビハゲがッ!!言っとくがな、雪英を仲間と思ったことなんかただの一度もねえよ!てめえもすぐにその耄碌頭を叩き割ってやっから、今のうちに念仏でも唱えてろや!」
「そうだゲン、その調子だ!とりあえず監査室にいる邪魔者を抹殺したら、君を皇帝狼に幹部待遇で迎えることを約束するぞ!」
坂巻雪英の喉笛に魔獣の爪をあと3レクトまで接近させつつベルガーが叫ぶ。
「そいつはありがてえと言いてえが、いつまでもガキくせえチームごっこじゃつまんなくね?新しい酒は新しい杯に満たそうじゃねえかベルガーさん!俺とアンタで絆獣聖団でも神牙教軍でもねえ新組織を立ち上げるのさ!憧憬の鏡の教聖様の眼前でよ!!」
衰えを知らぬ卓越した反射神経によって咄嗟の受け身を取り、骨折等は免れたものの額に浅からぬ裂傷を負った夏月は紅く染まる視界の彼方に“馬鹿な子ほど可愛いもの”とばかりに玄らを慈愛に満ちた眼差しで見下ろす鏡の教聖を確認したが、次の刹那には異様な咆哮と共に襲来した名状しがたい形状の巨大な塊に眼前を覆われたと認識、間髪を容れずかつて味わったことのない、心骨まで達する灼けるような激痛に全身を貫かれて冷たい床に崩れ落ち、それでも収まらぬ執拗極まる刺突の嵐に晒されるのであった…そして組織に多大の影響力を有する大物であるにもかかわらず、ただの一語のダイイングメッセージすら告げる相手も暇も無いままに、その意識は未来永劫、暗黒に閉ざされてしまったのである!
「きっきっきっ、だから錬装者は“のろまなロボット”ってバカにされんのよ!…ダンケシェーン、Herr・ベルガー!“俗なる私闘は聖なる死闘の完遂後に為すべし”
“操獣師の聖典”《ドゥルガー・プリンシプル》第20項に従って、獲物は確かに頂いたわ、きっきっきっ、どうもご馳走さま♡」
狡猾さを絵に描いたような狐面とフォックスカラーのジャンプスーツをどっぷりと鮮血に染め、かつての“絶対的上司”の躰を弑獣爪で抉ること21回に及び、最後に深々と凶刃を突き立てた臍下をグリグリと捻じりつつ嘯く、いかなる教軍超兵よりも不気味な瘴気に包まれたおかっぱ頭率いる十数名の呪われし反逆者たちはやがて標的の絶息の確認と共に引き抜いた血塗られし刃を称賛を求めるかのように鏡の教聖に掲げ、彼女は満面の笑みと拍手で聖団員の“壮挙”を讃えるのであった…。
錬装磁甲の超集音機能によって聴き取った歓迎すべからざる情報を受け、絶対的優勢から来る傲りか、ヘルムート=ベルガーは思わず後方を振り返り、憤怒の形相で舌打ちする。
「全く…こすっ辛いだけが取り柄の穢らわしい溝鼠どもめ…まあいい、精神的にも肉体的にも、紳士であるオレでは到底与え得ないほどのえげつない苦痛を味わいながらくたばったと思えば諦めもつく…」
「…夏月…君ほどの戦士がこんなにも呆気なく…しかもあれほど戦死者を出さぬことに腐心し、聖団員の生命維持に尽力してきた君が…あろうことか黄泉への先陣をこのような無惨極まる形で切ることとなろうとは…一体、何という皮肉な運命なのか…」
さしもの賢者もこの衝撃的事態に心の整理が追いつかぬのか、夏月の骸に哀惜というよりもむしろ茫然自失の眼差しと呟きを手向けるのみである…。
「何やら妙な感傷に耽っておられるようですが、御自身の運命も同様であることをお忘れなく…!」
文字通り最悪の形で伝説を閉じた殺戮姫を偲ぶかのように無念の表情で瞑目した玉朧拳師の喉元に、背後に立った臙脂色の西洋甲冑がベルガーと同じ右下腕から発出させ、長さも銀狼の【覇裂皇爪】と同程度の二等辺三角形の赤い刃=CBK戦士常装の【トライアングル・ソード】を突き付けつつ、警告する。
「──わしはもう、錬装磁甲を返上した身…何を怯える?そんなザマでは、“悪漢騎士”の看板が泣くぞ」
刃の主が最強錬装者の脇に陣取っていたCBKメンバーであることは明白だが、抑えきれぬ興奮か或いは緊張からか小刻みに震える鋭刃に薄皮を傷付けられながらも、こと自身の危殆に対しては聖団屈指の賢哲と称される日本人拳法家の声音は深山のごとく静穏である。
その一員であることを何よりの栄誉とするチーム名を論われた
マイク=ローデスは、持ち前の冷徹さを取り戻したか、錆びた声音で語りかける。
「確かに、5年前に指導部入りしたあなたは《絆の掟》に従って錬装能力を喪失した──それは誰もが知っている…だが、その左腕がそれに代わる能力を秘めていることもまた、全錬装者周知の事実なのだ!」
「──この“生活補助具”にそんな尾鰭が付いていたとは、全く意外だったな…」
「この期に及んでつまらぬ虚言を弄するとは…このような愚劣な存在が統べる星拳鬼會と誇り高きCBKを統合しようとは、先程、聖団長様が私だけに囁いて下さったお陰で判明したように、どうやらわが総帥の精神はかなり以前から錯乱状態にあったに違いない…!
──やはり啓示に従って、奴を排除した新生CBKは私が指導するしかないようだ…!」
この傲岸な狂気の独白を受け、鏡の教聖の手口の一端を垣間見た玉朧は無二の戦友の無念の死を一瞬忘れて皮肉な笑みを浮かべる。
「なるほどな…一見全員に等しく語りかけているように見えるが、内実は個々人に合わせ、千差万別の妄言を与えている訳か…」
一見しただけでは全く生身のそれと見分けのつかない彼の左腕の肘から先は、5年前の引退の直接の原因となった〘ミッション173〙、ルドストン凱鱗領における現在に至るまで終結を見ない“レシャ大港攻防戦”において、“空の岩眼魔”、“陸の虹ミイラ”に並び称される“海の教軍超兵”龍坊主が目論んだ教率者暗殺計画に立ち塞がった死闘の勝利の代償として喪われ、傷口にはこれまでの二十有余年における聖団への貢献を讃える意味でも無元造房が技術の粋を結集した高性能義手が装着されたのであった…そしてその“勲章”が実は錬装磁甲に匹敵する超兵器であることが証明されたのは奇しくも2年後、伝説の殺戮姫“最終輪舞曲”においてであったのである。
──竹澤夏月が駆る、彼女の他には操獣どころか融魂すら不可能とされた、長らく最強の座に君臨した般若の貌を持つ“地獄絆獣”ギャロードもまた通算46ミッションに渡ってラージャーラに蟠踞する幾多の教界を重複しつつ駆け巡った歴戦の疲弊によって既に玉座を“最後の聖団長”肝煎りの超新星・ジェニファーと彼女が言う所の“唯一の戦友”リジルガに明け渡しており、夏月&ギャロードは師の花道を飾らんがため集結した萩邑りさらを筆頭とする愛弟子たちを引き連れ、攻防戦が収束するどころか時を追って激化する一方の玉朧拳師“因縁の地”ルドストンに決定的な楔を打ち込むべく出撃したのであった!
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる