凶幻獣戦域ラージャーラ

幾橋テツミ

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第1章 異空の超戦者たち

愛華領魔闘陣②

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 それは、名状し難い光の奔流であった!
 
 放った相手から察するに、どうせご丁寧にも七色で構成されているのであろうが、あまりにも凶暴な輝きはその片鱗すら掴ませない。
 
 玄は一瞬、眼が潰れたかと恐怖した。
 
 その堅牢さに絶対の信頼を寄せている、“天響神から下賜された錬装磁甲”とはいえ、果たして錬装者の、いや三次元人たる己の繊細極まる神経組織を護ってくれるのか否かはデータが少なすぎて判断できない。
 
「こりゃ、ヤバすぎる…どうか天にしますエグ神様よ、このエグすぎる窮地から、忠実なる信徒を救い出し給え…!」

「愚か者め!そのような不埒な祈りが天響神に通ずると信じておるのか!?」
 
 異教徒への制裁…いついかなる時でも教軍兵士の心魂を震わせる瞬間の到来に、今や全身を紅蓮の火球のごとき光度に燃え上がらせた●●●●●●●戸倉は、右手の甲に生じた裂け目から発生して雷堂 玄の鋼の顔面に向けて一直線に延び、神速で巻き付いてほぼ全てを覆い尽くした虹色の帯を、左手で得意気にしごいた。
 
 漆黒の刀身は右手に保持したままである。
 
 光地獄の渦中にある玄であったが、危機は第2段階に突入したようであった──即ち、恐ろしいまでの虚脱感が襲ってきたのだ。
 
 意識はある(寧ろ失って暗黒の中へ逃れ、角膜と視神経を強制シャットダウンしたいのだ)──いや既に自分は失神しているのではないか?だとすれば死した後も、即ち未来永劫この苦痛を味わい続けなければならないというのか…これ以上の絶望と恐怖がこの宇宙にあろうか?
 
 だが、それもどうでもよくなりつつある。
 
 突如として全身に生じた倦怠感が、あれほど熾烈であった戦闘意欲-“絆獣聖団最強戦士の座”への渇望を根こそぎ奪い去ってしまったようであった。
 
「どうやら、苦痛のK点越えを果たしちまったらしい…もう何もかもどうでもいいや…ていうか、実際動けねえんだからどうにもならんじゃねえか…」
 
 今度は彼が地面に膝着く番であった-だが虹ミイラは瞬時に立ち上がったが、雷堂 玄には不可能であった…。

 敗北──あれほど忌み嫌った二文字の響きに倒錯的な甘美さを覚えるまでに爛れてしまった脳髄に、突如として正気の電光が突き刺さったのは次の刹那であった。
 
 ──この腕に抱き止めている‘聖団の宝石’那崎弓葉がこのままではどうなる!?

 
 
 
 
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