ボクらは魔界闘暴者!

幾橋テツミ

文字の大きさ
上 下
27 / 60
第三章 血染めの【覇闘札】

またもやカード変更!?ザケんじゃねえッ!!

しおりを挟む
 黒のタンクトップとスパッツ、シューズでおよそ2時間弱の林道ランニング主体の朝稽古を終えた中国支部のエース・宗 星愁が戻ったのは恒典オーナー到着後からおよそ10分後であった。

 さしもの極道オヤジも彼に対してだけは人並みに気を遣うのか、交わした挨拶もそれなりに慇懃なものであった。

「さすがじゃなあ、今日は出番じゃないっちゅうのに朝早くから一人だけ黙々とトレーニングしちょるとは!
 
 これぞまさしく”エースの自覚”っちゅうヤツじゃな…いや全く、お世辞抜きに頭が下がるわ!!
 
 それに引き換え、ウチのドラ息子とあのときた日にゃあ…!」

 その吐き捨てるような口ぶりからは、“万年冷戦状態”にある次男坊のみならず、今回敵将との大一番に臨む剛駕嶽仁に対しても並々ならぬ悪感情を抱いていることが窺えた。

「まあ、ですからね…。

 覇闘前夜にぐっすり眠れるなんて逆に大したものだと思いますよ…」

 だがその庇い立てを無視するかのようにしゃがみ込んだ恒典はたちまちじゃれついてくるハンゾウの頭を揺すぶるように撫でつつ毒づいた。

「ふん、そんなわきゃあなかろうが…。

 とにかく覇闘は結果が全てじゃ…せえも今回の相手は最強の光至教勢、ワシャあ全敗を覚悟しとるよ…。

 まーこれで“天下の弱小支部”は今回も皆の笑いものになるのはほぼ確実じゃ、あー恥ずかしいッ!」

 ここで浮かべていた愛想笑いを消し去り、真顔に戻った星愁も腕組してかぶりを振った。

「確かに、光城玄矢…彼についてはおそらく妖帝星軍においても筆頭に挙げられる強者と私も認めていますが、今回いかなる思惑があってか、黎輔と戦うはずだった副将格の威紅也と妖仙獣を組ませた[BBバインドブラッド]を申し入れてきましてね…」

 しかし、ここでも事実上の中国支部首督である冬河家当主の反応は星愁の意表を突くものであった。

「そのくれぇ、知っとるわ!

 じゃけどのォ、実ァ明け方にから電話があったんじゃ!

 それによるとなあ…、

 “大変申し訳ないが、更なる事態の急変もあって今回の光城威紅也の出陣は不可能になった…従ってBBは取り下げさせてもらい、ご子息の相手は予告した妖仙獣のみとして頂きたい。

 もちろん光城家こちら側の勝手な都合で再度変更願う以上、ペナルティとして2枚の覇闘札カードは進呈する。

 ──だが」

 この親父にしてはレアといえるシリアスな表情と口ぶりに、支部最強錬装者も思わず口元を引き締めつつ次の言葉を待つ。

「…もし妖仙獣こちらが勝利した場合は、1枚だけは返却してもらえぬか”…とかうてきおったんじゃがの…」

 まさに懸念した通りの展開てあったが、それゆえに感情を制御しかねた星愁は思わず激昂した。

「まさか…受諾したんじゃないでしょうね、その勝手極まる申し出をッ!?」

 “頼もしき切り札エース”に対して冷静沈着のイメージしか抱いたことかなかった冬河恒典にしてみればこの反応は完全に想像の外であって、小型絆獣の長い手を握ったままぽかんと口を開き、拳を震わせて仁王立ちする前方の黒い影を呆然と見上げるのみである…。

「昨日のBBといい今朝の申し入れといい、得手勝手にクルクルと方針を変える向こうサイドにどうしてこちらが一々合わせてやらなきゃならんのですかッ!?

 ましてや、覇闘札のに応じてやるなどとんでもない話ですッ!

 どう考えても、その場で受け容れる必要はなかった…百歩譲って応じるとしても、せめて覇闘の結果を見た上で…のだからいくらでも難癖のつけようはあったんだッ!

 つまり、最悪1枚返すのもやぶさかではない、と突っぱねるべきだったんですッ!!」

「…う、うーん…たしかに…まぁそう言われてみりゃあそうかもしれんがのォ…。
 
 せーでもなあ、それじゃとなーんかセコいような気ィしてなぁ、ワシとしてもしょーがなかったんじゃて…」

 もちろん、星愁が今がなり立てた駆け引き戦術などたとえ寝ぼけ眼でなかったとしてもこの男の脳内になど閃くはずはなかったが、それ以前の問題として電話越しではあったものの“妖帝星軍の使者”の第一声を耳にした瞬間からその形容し難き艶麗さに魅了され尽くし、生来乏しい思考力を根こそぎ消去されてしまっていたのである。

 そしてそれは誰あろう、【極術身装】への初変身ファースト・メタモルフォーゼの反動現象として一時は瀕死の状態にあったはずの、総大将たる妖術鬼シャザラの愛娘なのであった!

 



 



 


 
 

 
 

 
 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラス転移したところで

緑窓六角祭
ファンタジー
普通の男子高校生である篠崎陽平はどうやらクラスごと異世界に転移したらしいのだが、よくわからないので、友人の栗木と佐原と3人で手探りで地味にやってくことにした。 ※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません ※カクヨム・アルファポリス重複投稿

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...