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第二章 凶祭華同盟の虜囚
淫獣人第1号〈後編〉
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「キ、キ◯ガイハゲジジイがワケ分からんこと吐かしくさってッ!
ワ、ワイはオメエなんざ相手にしとられんのじゃッ!!
か、かつ姫はどこじゃッ!?
さっさと吐けやオラアッ!!」
身長こそ170センチの鬼舞(+90センチ!)より5センチ余り低いものの、体重では確実に20キロは上回っているであろう解体屋が勇を鼓して殴りかかってくるのを不敵な笑みで一瞥したババイヴは、再び俯いてバットのグリップエンドを相手の額にブチ当てた!
「へげえッ!」
禿頭のボルノショップ主人の超自然的な一撃を食らった侵入者は大きくのけ反り、危うく自身がぶちまけたガラス片に背中からダイブするところを辛うじて踏み留まったのだが、白っぽい天井に占められた視界が突如として真っ黒い影に塞がれるのを感じた直後、またもや額に激痛を覚え、それきり人事不省に陥った。
「グヘッ…」
ドシン、という鈍い響きと共に結局ガラスの海に沈んだ高原孝次を無限の嘲りを込めて見下ろす鬼舞嵐太郎──初撃の後直ちに床を蹴って宙を舞った彼は頭部を思い切り振りかぶってグリップエンドの縁を目下のところ覆面で覆い隠されている孝次の広大なデコに叩きつけたのだ!
「ふん…キサマごときを眠らせたところで我が不敗の記録に加筆する必要は些かも認めぬわ…!」
こう呟き、愛用のスリッパのお陰で安全に大破した窓辺に歩み寄ったババイヴは、気取った仕草で腕組みすると雑草のクッションに埋もれてノビたままの腹心を苦々しげに見下ろす。
むろん、傑出した負極界人である彼の目が淫魔将軍の体表を覆い尽くした神結層露によって欺かれることはない。
「──この大うつけめが…!
聖闘防霊団の悪巧みにまんまとハマり、連中が差し向けた小娘の色香にのぼせ上がって痴れ狂いまくった挙句、ブザマに敗北するなどという救い難き醜態を重ねおって…!
しかも結果として人間体への変身能力をも喪失したとあっては、まさにその罪万死に値するッ!
かくなる上はこの男を嚆矢とする淫獣人を一刻も早く増産し、場合によっては“現地勢”のみによって凶祭華同盟の戦力を充実させねばならんな…。
となれば何としてもこの〈試作品〉をモノにせねば…!!」
踵を返してしゃがみ込んだ鬼舞は、孝次の両脇に手を潜らせて引っ張り上げると色褪せた合成皮革を張った長椅子までズルズルと引きずってから忌々しげに放り出すようにして座らせる。
「──さて、と…」
かねてより用意してあったのか、安ソファーの傍らに置いてあった大きな容器──4リットル入りの焼酎用ペットボトル──の蓋を外して大事そうに抱え上げる。
「ほれ、大きく口を開けんか。
およそ80億もの地球人類において、この【妖魔女の愛液】を最初に口にするという栄誉にあずかったというのに、よもや拒もうというのではあるまいな──?」
どこか愉しげに独りごちながら飲み口を分厚い唇に差し込み、容器を殆ど垂直に立てながら一杯に満たされた排泄物を連想させる黄土色の濁液を容赦なく注ぎ込む淫魔教帝は、一刻も早く飲み干させるため巨大なボトルをグルグル回すという荒業に出る。
「──うがほォッ!ほげッ、ホゲェッ!!」
いきなり正体不明のドロドロ怪液を注入された不幸な被験体は当然の反応として全身を激しく揺すぶりながらこれ以上の嚥下を拒否するが、大きく開いた股の間に両膝を着いてのしかかった施術者の左手でガッチリと頭部を背凭れに押し付けられている上に、唯一残された武器である両手による必死の反撃も何らの痛痒も与え得ぬようであった──もちろんその十本の指は鬼舞の顔面を這い回り、あわよくば両目を潰そうともくろんだにも関わらず、その皮膚の表面に滲出した神結層露によってつるつると滑り、傷一つ負わせることが叶わなかったのである。
「この大たわけめが、貴重な神液をこんなにこぼしおってからに…!」
憮然とした口ぶりで空になった容器を放り出したババイヴは、〈愛液〉をたらふく摂取して今やガネーシャのごとき太鼓腹の所有者に成り果てたと同時に一切の抵抗力を失ってグッタリと長椅子に寄りかかる解体屋から身を離して経過を観察する。
変化が訪れたのは、およそ1分後であった。
「かッ、かいいいいいいいいッッ!!!」
いきなり絶叫した高原孝次は黒手袋を外して床に叩きつけると、両腕を激しく動かしてボリボリと全身を搔きむしりはじめたのである!
「かいいッ!かいいッ!かいいよおッ!!」
ガバッと立ち上がり、わななく両手で後頭部の紐を必死で緩めてドクロのマスクを強引にむしり取ると、続いてTシャツを一気に引き裂き、もどかしげにベルトを外して作業ズボンを脱ぎ捨てようとするものの安全靴に裾が引っかかったために果たせず、しかもその際に転倒してしまったためにその体勢のまま派手な原色のトランクスをズリ下げるありさま。
「──ほう、やはり勃っておるな」
にんまりとほくそ笑む鬼舞の視線の先には、おそらくは通常の倍ほどにも膨れ上がり、傍目にも爆発寸前の男根がデラデラとカウパー液を噴出させて窮状を訴えている…。
されど、それを意識する余裕もないほどに孝次を襲う痒みは強烈らしかった。
「かいいよおおおォッ!!
たッ、たすけてくれえええェッッ!!!」
悲泣の叫びと共にゴロゴロと床を転げ回る解体屋は、散乱したガラスの破片で血だらけになりながらもむしろその痛み?を救いとするかのようにより強く躰を擦りつけんとするのであった…。
「ふふふ、うまい方法を見つけたな…。
まあ、その猛烈な痒みもあと30分ばかりの辛抱だ──それさえ乗り越えれば、後は殆ど無感覚の状態で“細胞内変態”が進行し、おそらく丑三つ時には記念すべき淫獣人第1号が完成するはず。
尤もその姿形が空想上のモンスターのごとき異形に変わるわけではないが、むしろ人間体を保ったままの方が凶祭華同盟員に要求される高度な秘密活動への挺身には好都合というもの…!
しかし外見の無変化のみをあげつらってその能力を侮ってもらっては困る。
我が精緻なる試算によればその筋力及び凶暴性、更にそれに伴う性力は改造前のおよそ十倍強まで増幅されるのみならず、何よりも特筆すべきは〈火・水・風・雷〉という“四大破壊能力”の一つ──ちなみに孝次には〈火能〉を授けた──を自在に行使し得るということであろう。
即ち、今この瞬間、此奴が責め苛まれておる激烈な痒みこそがまさしく“不滅の淫火”が体内に灯った何よりの証というわけだ…!」
ここで徐ろに脳天からスポッと異物を引き抜いた淫魔教帝は、啜り泣きながら足元に縋りついてきた淫獣人の顔面を、「甘ったれるでないッ!」と一喝しながらまたまたグリップエンドの縁で思いっきり殴りつけた。
ワ、ワイはオメエなんざ相手にしとられんのじゃッ!!
か、かつ姫はどこじゃッ!?
さっさと吐けやオラアッ!!」
身長こそ170センチの鬼舞(+90センチ!)より5センチ余り低いものの、体重では確実に20キロは上回っているであろう解体屋が勇を鼓して殴りかかってくるのを不敵な笑みで一瞥したババイヴは、再び俯いてバットのグリップエンドを相手の額にブチ当てた!
「へげえッ!」
禿頭のボルノショップ主人の超自然的な一撃を食らった侵入者は大きくのけ反り、危うく自身がぶちまけたガラス片に背中からダイブするところを辛うじて踏み留まったのだが、白っぽい天井に占められた視界が突如として真っ黒い影に塞がれるのを感じた直後、またもや額に激痛を覚え、それきり人事不省に陥った。
「グヘッ…」
ドシン、という鈍い響きと共に結局ガラスの海に沈んだ高原孝次を無限の嘲りを込めて見下ろす鬼舞嵐太郎──初撃の後直ちに床を蹴って宙を舞った彼は頭部を思い切り振りかぶってグリップエンドの縁を目下のところ覆面で覆い隠されている孝次の広大なデコに叩きつけたのだ!
「ふん…キサマごときを眠らせたところで我が不敗の記録に加筆する必要は些かも認めぬわ…!」
こう呟き、愛用のスリッパのお陰で安全に大破した窓辺に歩み寄ったババイヴは、気取った仕草で腕組みすると雑草のクッションに埋もれてノビたままの腹心を苦々しげに見下ろす。
むろん、傑出した負極界人である彼の目が淫魔将軍の体表を覆い尽くした神結層露によって欺かれることはない。
「──この大うつけめが…!
聖闘防霊団の悪巧みにまんまとハマり、連中が差し向けた小娘の色香にのぼせ上がって痴れ狂いまくった挙句、ブザマに敗北するなどという救い難き醜態を重ねおって…!
しかも結果として人間体への変身能力をも喪失したとあっては、まさにその罪万死に値するッ!
かくなる上はこの男を嚆矢とする淫獣人を一刻も早く増産し、場合によっては“現地勢”のみによって凶祭華同盟の戦力を充実させねばならんな…。
となれば何としてもこの〈試作品〉をモノにせねば…!!」
踵を返してしゃがみ込んだ鬼舞は、孝次の両脇に手を潜らせて引っ張り上げると色褪せた合成皮革を張った長椅子までズルズルと引きずってから忌々しげに放り出すようにして座らせる。
「──さて、と…」
かねてより用意してあったのか、安ソファーの傍らに置いてあった大きな容器──4リットル入りの焼酎用ペットボトル──の蓋を外して大事そうに抱え上げる。
「ほれ、大きく口を開けんか。
およそ80億もの地球人類において、この【妖魔女の愛液】を最初に口にするという栄誉にあずかったというのに、よもや拒もうというのではあるまいな──?」
どこか愉しげに独りごちながら飲み口を分厚い唇に差し込み、容器を殆ど垂直に立てながら一杯に満たされた排泄物を連想させる黄土色の濁液を容赦なく注ぎ込む淫魔教帝は、一刻も早く飲み干させるため巨大なボトルをグルグル回すという荒業に出る。
「──うがほォッ!ほげッ、ホゲェッ!!」
いきなり正体不明のドロドロ怪液を注入された不幸な被験体は当然の反応として全身を激しく揺すぶりながらこれ以上の嚥下を拒否するが、大きく開いた股の間に両膝を着いてのしかかった施術者の左手でガッチリと頭部を背凭れに押し付けられている上に、唯一残された武器である両手による必死の反撃も何らの痛痒も与え得ぬようであった──もちろんその十本の指は鬼舞の顔面を這い回り、あわよくば両目を潰そうともくろんだにも関わらず、その皮膚の表面に滲出した神結層露によってつるつると滑り、傷一つ負わせることが叶わなかったのである。
「この大たわけめが、貴重な神液をこんなにこぼしおってからに…!」
憮然とした口ぶりで空になった容器を放り出したババイヴは、〈愛液〉をたらふく摂取して今やガネーシャのごとき太鼓腹の所有者に成り果てたと同時に一切の抵抗力を失ってグッタリと長椅子に寄りかかる解体屋から身を離して経過を観察する。
変化が訪れたのは、およそ1分後であった。
「かッ、かいいいいいいいいッッ!!!」
いきなり絶叫した高原孝次は黒手袋を外して床に叩きつけると、両腕を激しく動かしてボリボリと全身を搔きむしりはじめたのである!
「かいいッ!かいいッ!かいいよおッ!!」
ガバッと立ち上がり、わななく両手で後頭部の紐を必死で緩めてドクロのマスクを強引にむしり取ると、続いてTシャツを一気に引き裂き、もどかしげにベルトを外して作業ズボンを脱ぎ捨てようとするものの安全靴に裾が引っかかったために果たせず、しかもその際に転倒してしまったためにその体勢のまま派手な原色のトランクスをズリ下げるありさま。
「──ほう、やはり勃っておるな」
にんまりとほくそ笑む鬼舞の視線の先には、おそらくは通常の倍ほどにも膨れ上がり、傍目にも爆発寸前の男根がデラデラとカウパー液を噴出させて窮状を訴えている…。
されど、それを意識する余裕もないほどに孝次を襲う痒みは強烈らしかった。
「かいいよおおおォッ!!
たッ、たすけてくれえええェッッ!!!」
悲泣の叫びと共にゴロゴロと床を転げ回る解体屋は、散乱したガラスの破片で血だらけになりながらもむしろその痛み?を救いとするかのようにより強く躰を擦りつけんとするのであった…。
「ふふふ、うまい方法を見つけたな…。
まあ、その猛烈な痒みもあと30分ばかりの辛抱だ──それさえ乗り越えれば、後は殆ど無感覚の状態で“細胞内変態”が進行し、おそらく丑三つ時には記念すべき淫獣人第1号が完成するはず。
尤もその姿形が空想上のモンスターのごとき異形に変わるわけではないが、むしろ人間体を保ったままの方が凶祭華同盟員に要求される高度な秘密活動への挺身には好都合というもの…!
しかし外見の無変化のみをあげつらってその能力を侮ってもらっては困る。
我が精緻なる試算によればその筋力及び凶暴性、更にそれに伴う性力は改造前のおよそ十倍強まで増幅されるのみならず、何よりも特筆すべきは〈火・水・風・雷〉という“四大破壊能力”の一つ──ちなみに孝次には〈火能〉を授けた──を自在に行使し得るということであろう。
即ち、今この瞬間、此奴が責め苛まれておる激烈な痒みこそがまさしく“不滅の淫火”が体内に灯った何よりの証というわけだ…!」
ここで徐ろに脳天からスポッと異物を引き抜いた淫魔教帝は、啜り泣きながら足元に縋りついてきた淫獣人の顔面を、「甘ったれるでないッ!」と一喝しながらまたまたグリップエンドの縁で思いっきり殴りつけた。
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