THUNDER⚡️ANGELS

幾橋テツミ

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第一章 地球淫界化計画を阻止せよ!

雷の聖使、見参!〈後編〉

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 〈絶対者〉の号令を受け、カメガシラ輝彦(貝沼達樹)こと“負極界人”ベルバスの肉体──まずは陰茎ペニスに異様な変化が発生した!

 “作品タイトル”に冠された役柄にふさわしい骨と皮だけの躰つきとは裏腹に、この人物?の異常さを象徴するの由来ともなった赤黒い巨大な局部は些かも硬度を失わず垂直に起立したままであったのだが、それが一瞬にして土留どどめ色に変化したかと思いきや、みるみる全身へと波及してゆく。

 されど何よりも恐るべきは、変色と同時に男根があたかもカマキリからひり出されたハリガネムシのごとく直径三センチ近い太さはそのままにグングン伸びはじめ、ドス黒い染みが広がる薄い天井板を易々と貫いてしまったのである!

「ひいっいいいいいいッ!!」

 哀れ“ド底辺自称セクシー女優”クリスティーヌ白鳥の両目は眼球が転げ落ちそうなほど見開かれ、ヤニで黒ずむ歯はガチガチと鳴り、たるんだ全身はおこりに罹ったかのように震えていたが、事はそれだけで収まらず、貝沼が夜のゴミ捨て場から持ち帰った、凄惨なセピア色に染め上げられたセンベイ布団(一応、撮影前日に除菌スプレーを丸々一本分噴霧された)上に最新の汚れを加えてしまった──そう、恥も外聞も忘れ去り、主演女優が勢いよく失禁したのである!

「──こッ、この愚か者がッ!

 にしおってッ!!

 い、今に始まったことではないとはいえ、何というプロ意識の欠如かッ!?

 ううううッ、な、何たる激臭ッ!!

 よ、の高貴にして繊細極まる嗅覚器官には断じて許容しうるものではないッ…!
 
 と、とにかくたまらん…ここにいては間違いなく命にかかわる…。
 
 べ、ベルバスよ、あ…後は任せたぞッ…うげげえぇッ…」

 商売道具デジカメを放り出し、重ねた両手で長い顔の下半分を塞いだ鬼舞嵐太郎ことババイヴ=ゴドゥエブンⅥ世は辛うじて立ち上がると、震える手で引き戸を開き、よろめきながら“真の魔界”と化しつつある汚部屋から逃亡して行った。

猊下げいかよ、お任せ下さい!

 神聖な現場を汚したのみならず、塵芥ちりあくた同然の下賤な身分を弁えることもなくあろうことか我ら栄光の凶祭華同盟を侮辱したこの豚女に、を希求させるほどの劫罰を味わわせてやりましょうぞッ!!」

 伸長したのは性器だけではなく肉体全体に及び、大胡座おおあぐらをかいた負極界人の身長は今や三メートル近くに達していた!

 そして脂気の無いボサボサの蓬髪はそれ自体が猛悪な意志を有するかのようにザワザワと逆巻き、絡み合う黒みがかった紫色のたてがみへと変貌している…。

 されど痩せさらばえた体格に変化はなく、幽鬼じみた風貌は今や悪鬼そのものへと変形し、耳元まで裂けて牙と化した歯列を不吉にギラつかせながる様は“謎の宇宙生命体”というよりは“呪われし地獄生物”と見做した方が正鵠を射ているように思われる。

 しかしながら標的(生贄?)たる金髪女は“魔の変態メタモルフォーゼ”の半ばで白目を剥いて卒倒し、自らが描いた〈世界地図〉に大の字となって覆い被さっているではないか?

「チッ、今夜最大のハイライトシーンをみすみす見逃しやがるとはな…全くとしても張り合いがねえぜ…。

 だがまあ、“萎縮バージョン”じゃイマイチだった快感も、思わぬ形で本来の姿を取り戻した今、をついに実行する時を迎えたようだな…!

 ──よっこら、とッ!」

 掛け声と同時に天井板からズボッとのごとき男根を引き抜いたベルバスは、先端の裂け目からジクジクと滲み出す先走り汁カウパー?によってテラテラと不気味に光る、どう見ても亀頭を彷彿とさせる楔形の奇怪な瘤が息づく陰茎を巨大な鞭のようにしなわせながら、坐したままで二メートルほど前方で、排尿の名残りに生々しく濡れそぼつこれまた土留色の半開きの肉穴目がけて放った!

 そして矢のように宙をはしった淫魔の凶器があと十数センチまで迫った瞬間、ババイヴの脱出後開いたままの入口から突入してきた稲妻を彷彿とさせる蒼白い光線が楔形瘤を直撃したのだ!

 ──それはまさに、負極界屈指の戦士にして凶祭華同盟最高幹部・ベルバスにとってまさに青天(現在時刻は深夜零時過ぎであったが)の霹靂であった!

「──ななッ!?

 ひぎゃぐわおああああッッ!!!」

 刹那の驚愕は速やかに地獄の苦痛へと転化し、巨根の根元を凶悪な鉤爪が光る両手で掴んだ魔物はそのまま仰向けにひっくり返った!

「い…いぎばぐばぼじッ…」

 かくて謎の電光に撃ち抜かれたババイヴの亀頭は無残に焼け焦げ、所有者がのけ反り返った反動によって細い黒煙と凄まじい異臭を発しつつ結構な勢いで砂壁に激突する!

「いぎゃわおおおうッ!!」

 まさに傷口に粗塩を擦り込むかのごとき追撃を受けた怪物は、古畳の上を転げ回りながら必死に破壊された男根を縮小(収納)しようと試みたようであったが、その機能も喪失してしまったものかバタリと墜落したそれは瀕死の大蛇のようにもぞもぞと蠢くのみである…。

「──フンッ!二目と見られない化け物のくせに、人並みに苦しがるんじゃないわよッ!!

 いいことこのドスケベ怪物野郎、“地球世界最後の一線の守護者”であるこの【いかずちの聖使】が降臨したからには、オマエたち負極界人の邪悪な野望はここで潰え去ることになるのよッ!

 オッホホホホホホッ!!さあ覚悟はできたッ!?
  
 尤もこうが喚こうが、今となっては後の祭りだけどねッッ!!!」

 たった一撃で怪物を打ち倒した怪光線の発生源である白く眩い楕円形の発光体──ビリビリと空気を震わせているのはそれが帯電しているためであろうか──そしてその内部から今しがた轟き渡った涼やかな美声は若い女性のものに違いないが!?

「…まあ、そうは言ってもオマエもあの狡猾なババイヴに利用されてるだけの哀れな存在──せめてもの情けとして、この手で止めを刺してあげるわ…!」

 あれほど強烈だった輝きが徐々に薄れて輪郭を露わにしたのは、完璧なプロポーションと感嘆するしかない女神の肉体をピッチピチに密着するメタリックな光沢の白い戦闘コスチュームに包み込んだロングヘアーの女子大生・越水ルリアであった!





 







 




 

 

 

 

 


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