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第4章

第1話 ~月曜~

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とある月曜日

 漣は、いつもように登校して教室の扉を開けた。

「漣!ちょっと……」

 教室に入るやいなや真司が慌てて漣の方に駆け寄り、荷物を置く暇すら与えずに漣を人気のない廊下まで連れ出した。

 

「どうしたんですか?そんなに慌てて」

「……確認だけどさ、漣、今日は能力使ってないよな?」

「使っていませんが……」

「だよなぁ」

 真司は困ったように言った。

 

「もしかして、誰かが能力を使っているのですか?」

「……今朝、オレが気づいた異変が2つある。

1つは女子が全員スカートのこと」

「全員……ですか。制服のないこの学校で全員がスカートというのはおかしな話ですね」

「そうだろ。そして、2つ目に急に時間割が変更になって毎日、保健と体育の授業がそれぞれある」

「それは明らかな異常ですね」

「そうなんだよ。で、最初は漣の能力かとも思ったけど、漣は1日に1つって制限があるから違うとは思ったけど、念の為確認したってわけだ」

 

 漣はしばらく考えてから言った。

「まずは大人しくしておきましょうか。能力を使っている人間がどんな性格か分からない以上、変に目立つのはリスクが高いですね」

「そうだな……。じゃあ、急いで教室に戻るか。HRが始まっちまう」

 

 

 漣と真司は、ギリギリHRの開始前に教室に戻った。

「今日は転校生を紹介します」

 担任の言葉に漣と真司は顔を見合わせる。この小さな異変が起こる中での転校生、疑うなという方が難しい。

 

「近藤 若葉<こんどう わかば>です。よろしくお願いします」

 近藤さんは、愛嬌のある可愛らしい顔立ちだ。おっぱいはDカップ程度はありそうで、髪は肩までと短く、ボーイッシュな印象を与える。学年でも1、2を争うレベルで男子に人気が出るであろう見た目をしている。

 

「席は三日月の横に用意しといた。三日月、教科書とか何かと困るだろうからサポートしてやってくれ」

「分かりました」

 漣は、担任の言葉に返答する。

(そう言えば、先週から明言はしてませんでしたが、担任は何かと1人分を追加する準備はしていましたね……。ということは、この転校生は前持って予定されていた……関係ないのか?)

 

 漣が思考を巡らせていると、近藤さんは席に荷物を起きながら漣に話しかけた。

「三日月くん?だっけ?よろしくね」

「ええ、三日月です。こちらこそ、よろしくお願いします。何でも聞いてください」

 漣が笑顔で対応すると、近藤さんは嬉しそうに一息ついた様子を見せた。

 

 そうこうする内に1限が始まろうとしている。

 1限は急遽変更になった保健だ。

 

「えー、では、今日の保健の授業を始める。今日は性交渉の重要性についてだ」

 隣りの席の近藤さんは面食らった顔をしている。

 漣としても内心驚きはある。

 しかし、クラスメイトは当たり前のように教師の言葉を受け入れている。

(もしかすると、今回能力を使っている人間は私や真司と同じような使い方をするタイプかもしれませんね。

……そして、転校生の近藤さんが原因の可能性は低そうです)

 漣が、考察をしている間も授業は進んでいく。

 

「というわけで、性交渉は今後の世の中を維持していくためにも重要なんだ。

次に、性交渉の時に重要となる性器について勉強する。まずは、みんなノートに1ページ丸々スペースを確保して欲しい。そして、そこに自分の性器を描いてみよう」

 

 近藤さんは自分の耳が信じられない様子で固まっている。

 しかし、クラスメイトの大部分は反論もせず、手を動かしている。

 漣は、適当に手を動かしながら、近藤さんの様子を確認する。

 近藤さんはしばらく固まっていたが、周りが皆、真面目に自分の性器を描いている様子を見て、顔を赤くしながらゆっくりと手を動かし始めた。

 

「はい、そこまで。では、今、描いた絵を隣りの席の人と見せ合いながら、自身の性器の特徴を説明してあげてください」

 各々が喋り始め、クラス中が賑やかになる。

 近藤さんは、目を大きく開いて驚きを表した後、恐る恐る漣の方を見た。

「じゃあ、近藤さん、まずは私の方から説明しましょうか」

 漣は、近藤さんの机の上に自分のノートを開きながら言った。

「えーと、これは勃起時の様子なんだけど、勃起時はここが反ってるのが特徴かな。左に少し曲がっています。大きさや太さは……標準くらいなんじゃないかと思ってるけど、比べたことがないから分からないですね」

 近藤さんは、当たり前のように漣が自身の性器について説明を始めるので、目を白黒させている。

 

「じゃあ、次に近藤さん、説明してくれますか?」

「えっ……説明するの?自分の……その……アレを?」

「ええ。先生も仰っていたじゃないですか」

 近藤さんは驚いていたが、覚悟を決めたようにゆっくりとノートを開いて漣に見せる。

「えーと……この中に……そのオシッコが出る穴と……子宮に繋がっている穴があるわ」

 近藤さんは、顔を赤くしながら説明した。

 

「それは一般的な話ですよね。先生は自身の性器の特徴を説明するように近藤言ってましたよ」

 近藤さんは少し目を潤ませて言う。

「え……そんな特徴なんて」

「客観的に見て分かる特徴を言えばいいんですよ」

「……少しここらへんがビラっと開いてるわ」

「そうなんですね。勉強になりました。ありがとうございます」

 近藤さんが精神的ダメージを受けて保健の授業が終了した。
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