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第3章

第1話

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『今日はクラスの友達とカラオケに行ってくるね』

 新堂 茜〈しんどう あかね〉から漣〈れん〉に連絡が届いた。

 

(ふーん……念の為、保険をかけておくか)

 漣は自分が呼ばれていない集まりに茜さんが参加するということで、能力を使うことにした。

 <新堂 茜は異性に言い寄られた時にはっきりと拒絶する>というシンプルなものだ。

 

 

翌日

「漣さ、ちょっと真面目な話があるんだけど」

 友人の藤原 真司〈ふじわら しんじ〉と屋上で昼飯を食べていると漣は真司に話しかけられた。

「どうしました?」

「昨日、新堂にちょっかいを掛けてみようとしたんだけどさ」

 

 漣の箸が止まる。それを見て、慌てて真司が言い募る。

「いや、何もしてないからな?強いて言えば手を触れただけだ。本当に」

「……手を触れただけなら、ちょっかいを出すとは言いませんよね?」

「まぁ、正確にはもう少し遊んでみようと思っていたんだけど、手を触れた段階で気づいたんだよ。

漣さ、何か能力使ってるだろ?」

 

 漣の表情が驚きに変わる。流石の漣も茜さんへのちょっかいの話から能力の話へ飛ぶとは思ってなかった。

「……ということは、真司も何かしら能力を持っていて、茜さんに使ってみようとしたってことですか?」

「察しが良くて助かる。

先に断っておくが、新堂には興味はない。単純に昨日のメンツの中で新堂が一番スタイルが良かっただけで、漣と争うつもりはない」

「とすると?」

「お互いの能力を公開して、相性が良ければ一緒に遊ばないか?」

 

 真司はニカッと笑顔を見せる。

 漣はそこで一安心した。今までの付き合いで真司はこういう時に裏表がないのは理解してるし、能力をエロにしか使わないのも目に見えてる。

「……そうですね。情報共有はしましょう。

先に真司の能力を教えてください」

  

「オレの能力は一言で言えば〈相手の記憶にモザイクをかける〉ようなもんだ」

「モザイク……ですか」

「まぁ、モザイクってのはオレの思いついた例えなんだけどよ……

そうだな、具体的にやるか」

  

そう言うと真司は手で3本の指を立てた。

「何本指が立ってるか?」

「3本です」

「そうだな。それを覚えておいてくれ」

そういうと真司は漣の手に軽く自分の手を触れた。

 

「さっきオレが立てた指は何本だった?」

「……思い出せないです。モザイクとは言い得て妙ですね」

 

 漣は関心した。

「まぁ、何でもかんでもモザイクをかけるのは時間もかかるし、途中で接触が無くなると全部無効になるから使ってなくて、一部の限定した記憶にモザイクをかけるってことしかしてないんだ。

漣はどんな能力なんだ?」

「私はですね……」

 漣は自分の能力を真司に説明する。

 

「そりゃ……めっちゃチートな能力じゃねぇか」

「そうですね。かなり有用な能力ですが、いろいろ注意点はあります」

「でも、漣の能力を中心に使って、最後にオレがモザイクをかければ、かなり遊べるな!」

「確かに相性はいいかもしれませんね」

「だろ?!

じゃあ、土日にでも遊びに繰り出そうぜ」

 

 ハイテンションの真司によって週末の計画が進められていくのだった。
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