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第二章 常磐
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「…やっぱり…湊は上手だね…」
「…まあな…」
元々、俺は美容師をしていた。
だから、ここに来た時からずっと俺はヘアメイク担当みたいになってた。
今でも、その役目は変わっていない。
もうあの頃のようには、手は動かないけどね。
それ以外で変わったのは、客と寝なくなったこと。
それから…
借金はなくなったこと。
「さ、できたよ」
切った髪を片付けていると、朽葉は鏡をじっと見ている。
「湊さ…」
「うん?」
「なんで外に戻らないの?」
外…
なんて、もう何年出てないんだろ。
もう借金はないから自由の身だ。
だから買い物くらいは行くけど。
「…今更…」
そう呟くと、朽葉はこちらを向いた。
くるりと目を俺に向けると、子犬みたいな顔で見上げた。
「どうして?出たくないの?なんで?」
「なんでもいいだろ…ほら、寝ろよ。今日、身体保たないぞ?」
布団に朽葉を横たえた。
「もうすぐ…精算できんだろ?借金…」
覆いかぶさって言うと、朽葉は目を逸らした。
「そんなの…しらないもん…」
「なんでだよ…聞いたぞ?祐也さんから…」
楼主である祐也さんは、ある組の幹部だ。
でもここの経営に関しては、一切その縁は切ってやってる。
ここだけその組とは独立していて、全て祐也さんの裁量に任されている形だ。
まあ…多少、面倒事があった時はそっちの力も借りるけどね…
どうしてそういうことになってるのか分からないが、でも俺たちやここで働いてる子には一切、組のことには関わらせていなかった。
だから、借金も苛烈な利子がついてたり、取り立てがあるってことはなかった。
「湊…」
朽葉が切なげな目をして俺を見上げる。
ぐっと俺の腕を下から掴むと、一層その目は切なく潤んでくる。
「その時は…一緒に…」
「さあ、寝ろ」
強引に話してる最中の朽葉に布団を掛けた。
「聞いて、湊…っ…ん…」
まだ何か言いたそうな朽葉の唇をキスで塞いだ。
「…ぁ…みな…と…」
「もう寝ろって…」
言いながらも、一旦触れてしまった唇の感触が気持ちよくて止まらなくなってた。
朽葉の腕が伸びてきて、俺の首に絡む。
引き寄せられて、一層深く朽葉に埋まりこむ。
「も…っと…欲しい…」
「だめだ…」
言ってるのに、勝手に身体が布団に潜り込んで。
朽葉の細い体を抱きしめた。
昨日、一晩中客に抱かれていたはずの身体は、すぐに熱くなった。
「お願い…抱いて…?湊…」
「だめだ…」
だめだって言ってるのに…俺の手は勝手に朽葉の襦袢を留めている紐を解いている。
「んうっ…」
襦袢を割り開いて、すぐ下の素肌に触れた途端、身体が仰け反った。
「…まあな…」
元々、俺は美容師をしていた。
だから、ここに来た時からずっと俺はヘアメイク担当みたいになってた。
今でも、その役目は変わっていない。
もうあの頃のようには、手は動かないけどね。
それ以外で変わったのは、客と寝なくなったこと。
それから…
借金はなくなったこと。
「さ、できたよ」
切った髪を片付けていると、朽葉は鏡をじっと見ている。
「湊さ…」
「うん?」
「なんで外に戻らないの?」
外…
なんて、もう何年出てないんだろ。
もう借金はないから自由の身だ。
だから買い物くらいは行くけど。
「…今更…」
そう呟くと、朽葉はこちらを向いた。
くるりと目を俺に向けると、子犬みたいな顔で見上げた。
「どうして?出たくないの?なんで?」
「なんでもいいだろ…ほら、寝ろよ。今日、身体保たないぞ?」
布団に朽葉を横たえた。
「もうすぐ…精算できんだろ?借金…」
覆いかぶさって言うと、朽葉は目を逸らした。
「そんなの…しらないもん…」
「なんでだよ…聞いたぞ?祐也さんから…」
楼主である祐也さんは、ある組の幹部だ。
でもここの経営に関しては、一切その縁は切ってやってる。
ここだけその組とは独立していて、全て祐也さんの裁量に任されている形だ。
まあ…多少、面倒事があった時はそっちの力も借りるけどね…
どうしてそういうことになってるのか分からないが、でも俺たちやここで働いてる子には一切、組のことには関わらせていなかった。
だから、借金も苛烈な利子がついてたり、取り立てがあるってことはなかった。
「湊…」
朽葉が切なげな目をして俺を見上げる。
ぐっと俺の腕を下から掴むと、一層その目は切なく潤んでくる。
「その時は…一緒に…」
「さあ、寝ろ」
強引に話してる最中の朽葉に布団を掛けた。
「聞いて、湊…っ…ん…」
まだ何か言いたそうな朽葉の唇をキスで塞いだ。
「…ぁ…みな…と…」
「もう寝ろって…」
言いながらも、一旦触れてしまった唇の感触が気持ちよくて止まらなくなってた。
朽葉の腕が伸びてきて、俺の首に絡む。
引き寄せられて、一層深く朽葉に埋まりこむ。
「も…っと…欲しい…」
「だめだ…」
言ってるのに、勝手に身体が布団に潜り込んで。
朽葉の細い体を抱きしめた。
昨日、一晩中客に抱かれていたはずの身体は、すぐに熱くなった。
「お願い…抱いて…?湊…」
「だめだ…」
だめだって言ってるのに…俺の手は勝手に朽葉の襦袢を留めている紐を解いている。
「んうっ…」
襦袢を割り開いて、すぐ下の素肌に触れた途端、身体が仰け反った。
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