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第85話 時間の流れは違うのよ
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「誰かが帰ってきたときは、お帰りなさいと言ってあげたいよね」
「……」
「おぉ、カンよ。十字に斬られるとは、情けない。王様の前や召喚者達の前で、大声で〝魔王〟に成りたいとか叫ぶとか、何考えてるの?」
「あっさり帰還しておるカァン!? しかも、お帰りなさいも言われておらぬカァン! むしろ、貶されておるではないカァアァン!」
「ぎゃぁぎゃぁと喧しいけど、自分のボディはチェックしなくて良いのかい?」
王の一撃により、見事なまでに討伐されたカンは、いつもと同じようにイチカの書斎へと戻ってきていた。
「ボディが空き缶に戻っておるカァアァアアン!?」
そして書斎の机の上に用意されていた空き缶に、何事もなかったかのように転生していた。
「ペットボトルの空きボトルも、今度は用意しておいてあげるよ」
「いらぬカァアァン!」
「しかしまさか、あんなに沢山の女神の使徒や勇者召喚行った国の王がいる前で、魔王に成りたいと叫ぶと思わなかったよ」
イチカは嘆息を吐くとともに、呆れていた。
「ぐぬ……思わず熱くなってしまったのカァアァン!」
「だけどまぁ、あの世界の女神から、まんまと能力を借りパクするなんて、空き缶も悪よのぉ」
悪事を働いた者が浮かべるような笑顔をイチカが浮かべると、カンはすぐにはその笑顔の意味が分からなかった。
「は? 物凄く悪い顔をしているが、それは一体どういうことなのカァン?」
・・・・・・・
名前:カン
称号:
風龍に認められし空き缶
種族:空き缶(Lv.15) 1UP!
体力:25(最大25) 1UP!
魔力ストック:10(最大10)
ちから:0
すばやさ:0
かたさ:2
まりょく:12
※補正
『魔沼ヨゴレ呪い』効果により魔力増加(+2)
『風龍に認められし空き缶』効果により魔力増加(+10)
技能:
言語理解(全異世界の誰とでも話が出来る)
常時発動M型(Lv.14) 1UP!
熱耐性(Lv.2)
寒耐性(Lv.2)
ヨゴレ耐性(Lv.3)
風龍の戯れ(Lv.3)
魔力暴走(Lv.2)
内部空間保持(潰れた時も空き缶内の空間を保持出来る)
魔力属性【風】
魔風制御
風龍制御(Lv.1)
空き缶浮遊(Lv.1) ※注目
状態:
魔沼ヨゴレの呪い(Lv.2)
現在地:
イチカの書斎
・・・・・・・
「……空き缶浮遊(Lv.1)が、転生しても無くなっておらぬカァアァン!?」
「魂に付与された力だから、転生しても無くならなかったんだね」
「ふぉおおお!? 何というラッキ……」
「いよ! クラスの全員を置いてきて、自分だけ帰ってきた上に、女神の力もタダで手に入れ喜ぶ外道! 鬼畜だよ! 流石、魔王を目指す空き缶だ! 何もせずに、成果だけ横取りなんてサイテーな駄缶だなぁああ!」
「……メンタルに痛恨の一撃カァアァン!?」
イチカの指摘に、カンのメンタルに大きなダメージが入り、空き缶ボディがカタカタと震える。
「そ、それはそうとして……本気で、あっちはどうなったのカァン!? あれから、かっちゃんや蜜柑は、どうなっておるのカァン!」
「途中投げ出すことは、なるべくしたくないものだよ。まず能力の借りパクを、ラッキーとのたまう前に、それを気にするべきだったのでは?」
「メンタルに洒落にならないダメージが入ってるのだが、また転生させたいのカァン? それに、投げ出したというより、追い出された形に近いのだカァン」
イチカにメンタルを追い込まれ、既に瀕死のカン。
「カミペディア情報によると、あの世界は、クラス全員を巻き込んでの大騒動が起きているわけだけどね」
「やっぱりカァアン!? おのれカミペディアめぇえ!」
「カミペディア関係ないでしょ。で、どうする?」
「どうとは?」
突然の問いに、カンは問われた意味が分からなかった。
「再びあの世界へと戻るか、別の世界へと行くか、ということさ」
「そんな事をイチカが我に聞くなど、初めてではないカァン」
「まぁね、あとで文句と言うより……カンの嘆きを、何だかんだと聞きたくないからね」
「それは、どう言う……まさか、我が関わった事であのクラスの者たちに、変化が起きていたのカァアァアン!?」
自らの存在が与える影響を、カンは此処にきて思い出した。
「そりゃあカンが、かっちゃんを焚きつけたり、葉桜を煽ってムキにさせたり、ア・ルミ隊員というキャラ作りをしちゃった女子が出来たりしたしね」
「ア・ルミ隊員については、我に責任は無いカァン」
割と冷たく言い切るカン。
「しかし、召喚した国の国王のみならずクラス全員にまで、敵認定されてしまったカァン。今更戻ったところで、どうにか出来るとは思えぬカァン……」
「確かにね。でも、そんなに心配しなくていいと思うよ」
「何故にカァン?」
「ピンチに駆けつけてこそ、主人公たる所以であり、そんな主人公格にカンは成りたいのだろう?」
「それはそうなのだが……ピンチという言葉が出てきた時点で、嫌な予感しか湧かないのだカァン」
「空き缶としての信頼……取り戻してきなよ。強制転移リターンキーを、スタタンターン♪」
リズミカルにノートパソコンのキーボードを叩くイチカの言葉と共に、カンの底材の下には魔法陣が浮かび上がる。
「仲間からの信頼じゃないカァン!? 空き缶としての信頼とは何カァアァアン!?」
カンは、再び異世界スノリンガムへと旅立っていったのだった。
「こ……ここは、どこカァン? 王城では、なさそうな雰囲気があるカァン」
「葉桜ぁああああ!」
「阿木ぃいいいい!」
「かっちゃん! 葉桜君! やめてぇええ!」
「え? カァン? カァアァン!?」
突然聞こえてきた怒号と悲鳴は、一気にカンの緊張と高める。
「突然の修羅場の雰囲気キタカァアアアアン!?」
訳も分からずに、カンは取り敢えず興奮して叫ぶのであった。
「……」
「おぉ、カンよ。十字に斬られるとは、情けない。王様の前や召喚者達の前で、大声で〝魔王〟に成りたいとか叫ぶとか、何考えてるの?」
「あっさり帰還しておるカァン!? しかも、お帰りなさいも言われておらぬカァン! むしろ、貶されておるではないカァアァン!」
「ぎゃぁぎゃぁと喧しいけど、自分のボディはチェックしなくて良いのかい?」
王の一撃により、見事なまでに討伐されたカンは、いつもと同じようにイチカの書斎へと戻ってきていた。
「ボディが空き缶に戻っておるカァアァアアン!?」
そして書斎の机の上に用意されていた空き缶に、何事もなかったかのように転生していた。
「ペットボトルの空きボトルも、今度は用意しておいてあげるよ」
「いらぬカァアァン!」
「しかしまさか、あんなに沢山の女神の使徒や勇者召喚行った国の王がいる前で、魔王に成りたいと叫ぶと思わなかったよ」
イチカは嘆息を吐くとともに、呆れていた。
「ぐぬ……思わず熱くなってしまったのカァアァン!」
「だけどまぁ、あの世界の女神から、まんまと能力を借りパクするなんて、空き缶も悪よのぉ」
悪事を働いた者が浮かべるような笑顔をイチカが浮かべると、カンはすぐにはその笑顔の意味が分からなかった。
「は? 物凄く悪い顔をしているが、それは一体どういうことなのカァン?」
・・・・・・・
名前:カン
称号:
風龍に認められし空き缶
種族:空き缶(Lv.15) 1UP!
体力:25(最大25) 1UP!
魔力ストック:10(最大10)
ちから:0
すばやさ:0
かたさ:2
まりょく:12
※補正
『魔沼ヨゴレ呪い』効果により魔力増加(+2)
『風龍に認められし空き缶』効果により魔力増加(+10)
技能:
言語理解(全異世界の誰とでも話が出来る)
常時発動M型(Lv.14) 1UP!
熱耐性(Lv.2)
寒耐性(Lv.2)
ヨゴレ耐性(Lv.3)
風龍の戯れ(Lv.3)
魔力暴走(Lv.2)
内部空間保持(潰れた時も空き缶内の空間を保持出来る)
魔力属性【風】
魔風制御
風龍制御(Lv.1)
空き缶浮遊(Lv.1) ※注目
状態:
魔沼ヨゴレの呪い(Lv.2)
現在地:
イチカの書斎
・・・・・・・
「……空き缶浮遊(Lv.1)が、転生しても無くなっておらぬカァアァン!?」
「魂に付与された力だから、転生しても無くならなかったんだね」
「ふぉおおお!? 何というラッキ……」
「いよ! クラスの全員を置いてきて、自分だけ帰ってきた上に、女神の力もタダで手に入れ喜ぶ外道! 鬼畜だよ! 流石、魔王を目指す空き缶だ! 何もせずに、成果だけ横取りなんてサイテーな駄缶だなぁああ!」
「……メンタルに痛恨の一撃カァアァン!?」
イチカの指摘に、カンのメンタルに大きなダメージが入り、空き缶ボディがカタカタと震える。
「そ、それはそうとして……本気で、あっちはどうなったのカァン!? あれから、かっちゃんや蜜柑は、どうなっておるのカァン!」
「途中投げ出すことは、なるべくしたくないものだよ。まず能力の借りパクを、ラッキーとのたまう前に、それを気にするべきだったのでは?」
「メンタルに洒落にならないダメージが入ってるのだが、また転生させたいのカァン? それに、投げ出したというより、追い出された形に近いのだカァン」
イチカにメンタルを追い込まれ、既に瀕死のカン。
「カミペディア情報によると、あの世界は、クラス全員を巻き込んでの大騒動が起きているわけだけどね」
「やっぱりカァアン!? おのれカミペディアめぇえ!」
「カミペディア関係ないでしょ。で、どうする?」
「どうとは?」
突然の問いに、カンは問われた意味が分からなかった。
「再びあの世界へと戻るか、別の世界へと行くか、ということさ」
「そんな事をイチカが我に聞くなど、初めてではないカァン」
「まぁね、あとで文句と言うより……カンの嘆きを、何だかんだと聞きたくないからね」
「それは、どう言う……まさか、我が関わった事であのクラスの者たちに、変化が起きていたのカァアァアン!?」
自らの存在が与える影響を、カンは此処にきて思い出した。
「そりゃあカンが、かっちゃんを焚きつけたり、葉桜を煽ってムキにさせたり、ア・ルミ隊員というキャラ作りをしちゃった女子が出来たりしたしね」
「ア・ルミ隊員については、我に責任は無いカァン」
割と冷たく言い切るカン。
「しかし、召喚した国の国王のみならずクラス全員にまで、敵認定されてしまったカァン。今更戻ったところで、どうにか出来るとは思えぬカァン……」
「確かにね。でも、そんなに心配しなくていいと思うよ」
「何故にカァン?」
「ピンチに駆けつけてこそ、主人公たる所以であり、そんな主人公格にカンは成りたいのだろう?」
「それはそうなのだが……ピンチという言葉が出てきた時点で、嫌な予感しか湧かないのだカァン」
「空き缶としての信頼……取り戻してきなよ。強制転移リターンキーを、スタタンターン♪」
リズミカルにノートパソコンのキーボードを叩くイチカの言葉と共に、カンの底材の下には魔法陣が浮かび上がる。
「仲間からの信頼じゃないカァン!? 空き缶としての信頼とは何カァアァアン!?」
カンは、再び異世界スノリンガムへと旅立っていったのだった。
「こ……ここは、どこカァン? 王城では、なさそうな雰囲気があるカァン」
「葉桜ぁああああ!」
「阿木ぃいいいい!」
「かっちゃん! 葉桜君! やめてぇええ!」
「え? カァン? カァアァン!?」
突然聞こえてきた怒号と悲鳴は、一気にカンの緊張と高める。
「突然の修羅場の雰囲気キタカァアアアアン!?」
訳も分からずに、カンは取り敢えず興奮して叫ぶのであった。
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