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第二章 錬磨
私の愛しい人
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私は勇者様御一行を見送り、離れ塔に戻っていた。勇者様のお披露目は、召喚国としての大事な役目であるため、第一王女の私もエルミアと王である父とその場に同席していた。離れの塔の瘴気避けの結界から出ている為にリスクもあったが、普段より多く聖水を浸した護布を身につけ悪神の聖痕を抑えていた。
ふと、勇者様の御一行から目を離し、城門を見てみるとヤナ様が此方を見ていた。もうしばらくしたら、ヤナ様も城を出られ旅立ってしまう。そう考えた瞬間、目から涙が流れるのを感じた。とても心が締め付けられるような、そんな気持ちがしたのだ。
周りに気付かれないように、さっと涙を拭った。エイダとアメノが此方を見ていたので、気付かれたかもしれない。ただ、きっと何も聞いてこないだろう。その涙の理由を、二人は知っているはずなのだから。
「父上、そろそろ勇者様御一行も城下町を抜けられます。私は、離れの塔へ戻ります」
「そうか……もう少し一緒に居たかったが、これは仕方がないことよな」
父上とエルミアに途中退席の詫びを告げて、アメノとエイダと離れの塔へ向かった。きっと私は、この時動揺していたのだろう。思いがけず涙を流してしまい、その感情に行動が振り回されたのかもしれない。気づくと私はヤナ様に呼出していた。
「『もしもしセアラか? なんだ、もう寂しくなったのか?』」
ヤナ様にそう言われ、心が跳ねた。そんな気持ちをヤナ様に察せなれないように、極めて冷静に言葉を返す。
「『お見送り出来ませんでしたので、せめてお言葉だけでもと思いまして』」
声が震えていないか、すごく不安になった。大丈夫、この胸の高鳴りは、通話では伝わらない筈だ。
「『そうか、わざわざありがとうな。それじゃ行ってくる』」
「『はい……お気をつけて。行ってらっしゃいませ』」
私の我儘なんて、言ってはいけない。私は、災厄を呼ぶ。ヤナ様にも、必ず災厄が降りかかってしまう。心がとても、締め付けられる感じがした。久しく、この感じは知らない。これは哀しんでいるのだろうか。
「そろそろ、塔に戻りますよ」
エイダが立ち止まっていた私に、歩くように促す。この時、私の内面は感情の嵐が吹き荒れていた。悲しく、哀しく、愛おしく。きっとそれが、いけなかったのだろう。
塔の目の前にまで来たところで、ソレはやってきたのだ。
「何事じゃ!?」
「セアラ様! 此方へ!」
突然空が暗くなり、塔の周辺が膜のようなもので覆われたのだ。その膜から出ようと試みるも、膜を潜りぬけたとおもったらまた膜の中に戻っていた。
「これは……まさか!? 隔離結界!」
エイダが、焦りが滲んだ声でそう叫んだ瞬間だった。私の前を守っていたアメノとエイダや、護衛の兵士が轟音と爆発と共に吹き飛ばれた。
「ぐぅおおおお!」
「くぅ!」
そして、ソレはゆっくりと私を迎えにきた。
「クハハハハ! さぁ悪神様の巫女よ、今代のお前にも『絶望』が迎えにきたぞ? クハハハハ!」
私は、それを見上げながら言ったのだ。
「やっと迎えに来たのですね。待ちくたびれましたよ? さぁ、私を殺しなさい」
この時の私の頭に、ヤナ様の怒った声が聞こえた気がした。きっと、今の言葉を聞いたら実際に怒るだろうなと思い、最後にまた怒らせてしまったと苦笑した。
「おやおや? 殺してくれと言う割には、まだ目に光が見えますね? もっと絶望して貰わないと、面白くないですねぇ?」
やってきたソレはそう嗤ったのだ。私は完全に絶望を受け入れている筈なのに、こんな目に輝きなどない筈なのに。
「させんよ? 剣技『山嵐』!」
「私達はまだ元気ですよ? 『雷竜の怒り!」
空中から私達を見下ろしていたソレに、竜巻と雷が殺到して爆発した。
「勇者殿達が、城から遠ざかるのを待っておったのじゃろうかの?」
「おそらくそうでしょう。前回も、アメノや私等がいない時に襲ってきましたからね」
アメノとエイダが既に戦いは終わったかのように、話しながら戻ってきた。
「二人とも大丈夫なの? それにアレはどうなったの?」
「恐らく、既に消滅したでしょうな。何かあっては困ると用心しておった為、儂もエイダも鍛錬の装備は外してある『本気中の本気』という奴の一撃ですからな」
「しかし、隔離結界が解けませんね? 術者は別にいるのか、術者とは関係なしに発動するタイプでしょうか?」
二人は隔離結界と呼ばれる膜を見ながら、どうするか話をしていた。
「それは、発動者が死ぬか解くかしないと解除されませんヨ?」
アメノとエイダが、咄嗟に声がした方に顔を向け戦闘体勢を取っていた。
「どういうことじゃ? 確かに手応えはあったぞ?」
「私もです。確実に障壁などでは防御していない筈です」
二人が少し強張った顔をしていた。
「簡単な話だろう、ゴミ共よ。我が貴様らの攻撃では、傷付かんということだ。このガルガオウ公爵にはな。クハハハハ!」
「名前……だと? 貴様ら魔族には名などない筈じゃ。名持ちなど高位の竜ぐらいしかいない筈じゃ!」
「これまではな。これから死にゆく屍に話しても、仕方あるまいよ。貴様らの今の攻撃が最大級と言うのであれば、全く意味が無い。これだけわかれば良いのだ。フハハハ!」
「アメノどうですか? さっきより上のクラスはいけますか? 私は一発だけで良ければあれより上のクラスは出来ます。しかし……それで魔力切れとなりますが……」
「儂も同じようなもんじゃて。どの道アレを倒さねば、この死地よりは抜けれそうにないでの」
二人が再度ガルガオウ公爵と名乗る魔族に対して向き合い、二人から魔力が溢れ出た。
「ぬおぉおおおおお! 『奥義』『海割』ぜぁああああ!」
「遍く星よ 翔ける龍星よ 我の祈りに応じたまえ 『星降る龍星群』! はぁあああああ!』
アメノは魔力を二刀に集中させ、十字に振り抜いた。まるで刀の斬撃が巨大化した様な十字の剣戟がガルガオウ公爵に直撃した。そしてその直撃のタイミングに合わせ、ガルガオウ公爵の頭上より無数の光の龍がまるで流星群に様に降り注ぎ、ガルガオウ公爵の逃げ場を失くしていた。二人の最大の剣技と魔法により、大気までもが振動していた。
「やったかの?……ぐが……」
「やったでしょう?……かは……」
二人がそう呟いた瞬間だった。二人の身体から血が噴き出し、無言のままに二人は倒れた。倒れた二人の周りには、血溜まりが出来ていた。その様子を見てしまった私の頭に、私とエルミアの二人の母親の死に様が蘇った。
「い……いや……いやぁあああああ!」
「グハハハハハ! そう! それだ! それが見たかったのだ! その心底絶望しきった顔がなぁ! 貴様ら巫女は、魂が絶望で完全に壊され瘴気に侵されてこそ、初めて悪神様のお役に立てるのだぞ? もっともっと絶望して貰わないと困るでは無いか。クハハハハ!」
「なら早く殺して……もう私は完全に絶望しているから……早くしてよ!」
「そう焦るな、貴様が何故我に見つかったか分かっていないのか?」
「悪神の聖痕を……感じたのでしょう?」
「そうだ。しかしな、貴様聖水の護布で隠していただろう? フハハ、悪神様の聖痕はな、巫女の感情の昂りにも反応して呪いが増すのだ。貴様、どうして感情が高ぶったのだ? ん? どうしてだろうな?」
「……え?」
「貴様の感情の昂りに合わせて聖痕の呪いが増し、我に見つかったのだ。そして我はその時に、運良く貴様が誰を見ていたか、分かってしまったのだよ! あのみすぼらしい革鎧を着た黒髪の男をな! さぁ、その事を知っている我が、この後どうすると思う? ん? クハハハハ!」
「なに……するつもりなの?」
「決まっておろう? 貴様の亡骸を、あの黒髪の男にくれてやるのよ! 何故、貴様が我に見つかったかも、丁寧にちゃんと教えてやるぞ? 我は優しいからなぁ! 死んでからも、貴様は人に不幸を撒き散らすのだな? 全くもって罪が深いなぁ! グハハハ!」
「……そんな……」
私はそれを聞いて、もう何も考えられなくなってしまった
私を楽しませようとしてくれた人
私を喜ばせようとしてくれた人
私を怒った人
私を悲しませた人
私の
私の愛しい人
今日運が悪かったことは、偶々ヤナ様を見つけてしまった為に、ヤナ様を見て、寂しくて泣いてしまったこと。悲しくて思わず『呼出』をして、更に感情が高ぶってしまった事。
「さぁ、我もあの黒髪に、貴様を届けないといけない身で忙しいのだ。また来世で迎えに行くまで待っておれよ? では安心して逝け!」
「ごめんなさい……ヤナ様……」
魔族の持つ剣が、私の首へと向かって振り下ろされた。そして同時に、聞ける筈のない声が同時に私の耳に届いたのだった。
「ただいまセアラ。寂しくてもう来ちゃったぞ?」
今日運が良かったことは、偶々城門でヤナ様を見つけられたこと。
そして……またヤナ様に会えたこと
「ヤナ様……おかえりなさい」
私は、また泣いていた。
ふと、勇者様の御一行から目を離し、城門を見てみるとヤナ様が此方を見ていた。もうしばらくしたら、ヤナ様も城を出られ旅立ってしまう。そう考えた瞬間、目から涙が流れるのを感じた。とても心が締め付けられるような、そんな気持ちがしたのだ。
周りに気付かれないように、さっと涙を拭った。エイダとアメノが此方を見ていたので、気付かれたかもしれない。ただ、きっと何も聞いてこないだろう。その涙の理由を、二人は知っているはずなのだから。
「父上、そろそろ勇者様御一行も城下町を抜けられます。私は、離れの塔へ戻ります」
「そうか……もう少し一緒に居たかったが、これは仕方がないことよな」
父上とエルミアに途中退席の詫びを告げて、アメノとエイダと離れの塔へ向かった。きっと私は、この時動揺していたのだろう。思いがけず涙を流してしまい、その感情に行動が振り回されたのかもしれない。気づくと私はヤナ様に呼出していた。
「『もしもしセアラか? なんだ、もう寂しくなったのか?』」
ヤナ様にそう言われ、心が跳ねた。そんな気持ちをヤナ様に察せなれないように、極めて冷静に言葉を返す。
「『お見送り出来ませんでしたので、せめてお言葉だけでもと思いまして』」
声が震えていないか、すごく不安になった。大丈夫、この胸の高鳴りは、通話では伝わらない筈だ。
「『そうか、わざわざありがとうな。それじゃ行ってくる』」
「『はい……お気をつけて。行ってらっしゃいませ』」
私の我儘なんて、言ってはいけない。私は、災厄を呼ぶ。ヤナ様にも、必ず災厄が降りかかってしまう。心がとても、締め付けられる感じがした。久しく、この感じは知らない。これは哀しんでいるのだろうか。
「そろそろ、塔に戻りますよ」
エイダが立ち止まっていた私に、歩くように促す。この時、私の内面は感情の嵐が吹き荒れていた。悲しく、哀しく、愛おしく。きっとそれが、いけなかったのだろう。
塔の目の前にまで来たところで、ソレはやってきたのだ。
「何事じゃ!?」
「セアラ様! 此方へ!」
突然空が暗くなり、塔の周辺が膜のようなもので覆われたのだ。その膜から出ようと試みるも、膜を潜りぬけたとおもったらまた膜の中に戻っていた。
「これは……まさか!? 隔離結界!」
エイダが、焦りが滲んだ声でそう叫んだ瞬間だった。私の前を守っていたアメノとエイダや、護衛の兵士が轟音と爆発と共に吹き飛ばれた。
「ぐぅおおおお!」
「くぅ!」
そして、ソレはゆっくりと私を迎えにきた。
「クハハハハ! さぁ悪神様の巫女よ、今代のお前にも『絶望』が迎えにきたぞ? クハハハハ!」
私は、それを見上げながら言ったのだ。
「やっと迎えに来たのですね。待ちくたびれましたよ? さぁ、私を殺しなさい」
この時の私の頭に、ヤナ様の怒った声が聞こえた気がした。きっと、今の言葉を聞いたら実際に怒るだろうなと思い、最後にまた怒らせてしまったと苦笑した。
「おやおや? 殺してくれと言う割には、まだ目に光が見えますね? もっと絶望して貰わないと、面白くないですねぇ?」
やってきたソレはそう嗤ったのだ。私は完全に絶望を受け入れている筈なのに、こんな目に輝きなどない筈なのに。
「させんよ? 剣技『山嵐』!」
「私達はまだ元気ですよ? 『雷竜の怒り!」
空中から私達を見下ろしていたソレに、竜巻と雷が殺到して爆発した。
「勇者殿達が、城から遠ざかるのを待っておったのじゃろうかの?」
「おそらくそうでしょう。前回も、アメノや私等がいない時に襲ってきましたからね」
アメノとエイダが既に戦いは終わったかのように、話しながら戻ってきた。
「二人とも大丈夫なの? それにアレはどうなったの?」
「恐らく、既に消滅したでしょうな。何かあっては困ると用心しておった為、儂もエイダも鍛錬の装備は外してある『本気中の本気』という奴の一撃ですからな」
「しかし、隔離結界が解けませんね? 術者は別にいるのか、術者とは関係なしに発動するタイプでしょうか?」
二人は隔離結界と呼ばれる膜を見ながら、どうするか話をしていた。
「それは、発動者が死ぬか解くかしないと解除されませんヨ?」
アメノとエイダが、咄嗟に声がした方に顔を向け戦闘体勢を取っていた。
「どういうことじゃ? 確かに手応えはあったぞ?」
「私もです。確実に障壁などでは防御していない筈です」
二人が少し強張った顔をしていた。
「簡単な話だろう、ゴミ共よ。我が貴様らの攻撃では、傷付かんということだ。このガルガオウ公爵にはな。クハハハハ!」
「名前……だと? 貴様ら魔族には名などない筈じゃ。名持ちなど高位の竜ぐらいしかいない筈じゃ!」
「これまではな。これから死にゆく屍に話しても、仕方あるまいよ。貴様らの今の攻撃が最大級と言うのであれば、全く意味が無い。これだけわかれば良いのだ。フハハハ!」
「アメノどうですか? さっきより上のクラスはいけますか? 私は一発だけで良ければあれより上のクラスは出来ます。しかし……それで魔力切れとなりますが……」
「儂も同じようなもんじゃて。どの道アレを倒さねば、この死地よりは抜けれそうにないでの」
二人が再度ガルガオウ公爵と名乗る魔族に対して向き合い、二人から魔力が溢れ出た。
「ぬおぉおおおおお! 『奥義』『海割』ぜぁああああ!」
「遍く星よ 翔ける龍星よ 我の祈りに応じたまえ 『星降る龍星群』! はぁあああああ!』
アメノは魔力を二刀に集中させ、十字に振り抜いた。まるで刀の斬撃が巨大化した様な十字の剣戟がガルガオウ公爵に直撃した。そしてその直撃のタイミングに合わせ、ガルガオウ公爵の頭上より無数の光の龍がまるで流星群に様に降り注ぎ、ガルガオウ公爵の逃げ場を失くしていた。二人の最大の剣技と魔法により、大気までもが振動していた。
「やったかの?……ぐが……」
「やったでしょう?……かは……」
二人がそう呟いた瞬間だった。二人の身体から血が噴き出し、無言のままに二人は倒れた。倒れた二人の周りには、血溜まりが出来ていた。その様子を見てしまった私の頭に、私とエルミアの二人の母親の死に様が蘇った。
「い……いや……いやぁあああああ!」
「グハハハハハ! そう! それだ! それが見たかったのだ! その心底絶望しきった顔がなぁ! 貴様ら巫女は、魂が絶望で完全に壊され瘴気に侵されてこそ、初めて悪神様のお役に立てるのだぞ? もっともっと絶望して貰わないと困るでは無いか。クハハハハ!」
「なら早く殺して……もう私は完全に絶望しているから……早くしてよ!」
「そう焦るな、貴様が何故我に見つかったか分かっていないのか?」
「悪神の聖痕を……感じたのでしょう?」
「そうだ。しかしな、貴様聖水の護布で隠していただろう? フハハ、悪神様の聖痕はな、巫女の感情の昂りにも反応して呪いが増すのだ。貴様、どうして感情が高ぶったのだ? ん? どうしてだろうな?」
「……え?」
「貴様の感情の昂りに合わせて聖痕の呪いが増し、我に見つかったのだ。そして我はその時に、運良く貴様が誰を見ていたか、分かってしまったのだよ! あのみすぼらしい革鎧を着た黒髪の男をな! さぁ、その事を知っている我が、この後どうすると思う? ん? クハハハハ!」
「なに……するつもりなの?」
「決まっておろう? 貴様の亡骸を、あの黒髪の男にくれてやるのよ! 何故、貴様が我に見つかったかも、丁寧にちゃんと教えてやるぞ? 我は優しいからなぁ! 死んでからも、貴様は人に不幸を撒き散らすのだな? 全くもって罪が深いなぁ! グハハハ!」
「……そんな……」
私はそれを聞いて、もう何も考えられなくなってしまった
私を楽しませようとしてくれた人
私を喜ばせようとしてくれた人
私を怒った人
私を悲しませた人
私の
私の愛しい人
今日運が悪かったことは、偶々ヤナ様を見つけてしまった為に、ヤナ様を見て、寂しくて泣いてしまったこと。悲しくて思わず『呼出』をして、更に感情が高ぶってしまった事。
「さぁ、我もあの黒髪に、貴様を届けないといけない身で忙しいのだ。また来世で迎えに行くまで待っておれよ? では安心して逝け!」
「ごめんなさい……ヤナ様……」
魔族の持つ剣が、私の首へと向かって振り下ろされた。そして同時に、聞ける筈のない声が同時に私の耳に届いたのだった。
「ただいまセアラ。寂しくてもう来ちゃったぞ?」
今日運が良かったことは、偶々城門でヤナ様を見つけられたこと。
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