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二章
5 俺とティナ②【カインside】
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クリスティーナと過ごす時間が増える程、彼女を取り巻く環境に違和感を感じる様になった。
護衛は全く居ない。
使用人はクリスティーナを空気として扱うか、悪意をもって接するかの2択だ。
この前、ある侍女が第二王妃に唆されて、クリスティーナに虫の入ったスープを飲ませようとしたらしい。
逆にクリスティーナから飲ませられそうになり揉み合いの喧嘩になっていたそうだ。
第一王子が侍女を解雇し、第二王妃にも苦言を申したのだが、次の日傲慢な王女が侍女に酷い仕打ちをしてクビにした、という噂が王城に広まっていた。
第二王妃側がこういう嫌がらせすることはよくあるそうだ。
そういった状況のためか、クリスティーナは身の回りの世話が自分で出来るようだ。
※※※※※※※※
「お前…腹空かせてるんだろ、やるよコレ。」
「まあ!子分のくせに気がきくじゃない!くれるって言うなら貰ってやるわ!ありがとう!!
…最近のご飯は無事よ。
やな事されても百倍に返しでけちょんけちょんにしてやるんだから!」
クリスティーナがガッツポーズをして言った。
スープ事件以来、食べ物に細工される事もなくちゃんとした食事が出されているそうだ。(第一王子の圧力もあったらしい)
それでも彼女の事が何だか気になって、果物の盛り合わせを持ってきてみたのだ。
「あっこれおいしそーねっ。」
果実がヒョイと摘み上げられる。
俺と同じ赤色だ。
彼女の桜色に彩られた唇に運ばれていくーー。
「むぐっ!!」
ゾクゾクと変な感じがして、思わず果実を奪ってクリスティーナの口に突っ込んだ。
顔に熱があつまる。
指先が彼女の唇にあたり、その柔らかさに胸がどきりとした。
彼女は抗議の目を向けていたが、美味かったのか再び与えると雛鳥のように口を開けていた。
かわい…
いや、アホヅラだ!コイツのは!
俺はコイツの婚約者兼保護者として、健康を維持してやる義務があるのだ!
と自分に言い聞かせ、その日から食べ物を持ってきては彼女の口に突っ込むようになった。
特に赤色の食べ物が多かったのは別に!断じて!意識したわけではない。
俺はクリスティーナからいい加減にしなさいっ!っとぷんすか怒られるまで、口に突っ込む日々を送った。
※※※※※※
クリスティーナは成長するにつれ淑女らしい美しさを兼ね備えていった。
そのせいだろう、他の令息達が熱を帯びた視線を彼女に送ることが多くなった。
…気に食わねえ。
今まで見向きもしてなかったくせに。
俺はクリスティーナに馴れ馴れしく話しかける男が出てくる度にガンを飛ばすようになった。
そもそも婚約者がいる相手にすることじゃねーだろ!マナー違反だ!
「なぁ、ブラッドファウル。お前の婚約者ってあの王女様だろ?」
交流のある令息が話かけてきた。領地が近く幼い頃遊んだことがある相手だ。
クリスティーナの悪評を信じこんで、俺の心配していた。
「お前の好みとは違うしな。たしかー。」
そうだ確か昔の俺はーー。
「物静かでお淑やかな、深層の令嬢…だったな」
そう、だった。
今頭に浮かぶのは、
高飛車で傲慢を気取ってるアイツ。
強ぶってる癖に、陰で肩を震わせてたアイツ。
泣き顔はブサイクだ。鼻水と涙でぐっちゃぐちゃ。泣き顔を見られたくなくてすぐ隠そうとするんだ。
でも笑うと花が咲いた様にすごく綺麗なんだ、アイツ。
「…まあ、確かに正反対だな。」
自嘲の笑いを漏らした。
俺は結構鈍感だったらしい。
アイツは深層の令嬢じゃない。
でもーー、
「今の俺が一番好きなタイプは婚約者だ。」
ティナ、お前がすげえ好きだ。
お前の婚約者になれてよかった。
令息は何を勘違いしたのか、げえ!?と声を上げた。
「お前…まさか鬼畜女王様タイプが好き…」
「ちげぇよ!!!」
コイツは後でしめておこう。
護衛は全く居ない。
使用人はクリスティーナを空気として扱うか、悪意をもって接するかの2択だ。
この前、ある侍女が第二王妃に唆されて、クリスティーナに虫の入ったスープを飲ませようとしたらしい。
逆にクリスティーナから飲ませられそうになり揉み合いの喧嘩になっていたそうだ。
第一王子が侍女を解雇し、第二王妃にも苦言を申したのだが、次の日傲慢な王女が侍女に酷い仕打ちをしてクビにした、という噂が王城に広まっていた。
第二王妃側がこういう嫌がらせすることはよくあるそうだ。
そういった状況のためか、クリスティーナは身の回りの世話が自分で出来るようだ。
※※※※※※※※
「お前…腹空かせてるんだろ、やるよコレ。」
「まあ!子分のくせに気がきくじゃない!くれるって言うなら貰ってやるわ!ありがとう!!
…最近のご飯は無事よ。
やな事されても百倍に返しでけちょんけちょんにしてやるんだから!」
クリスティーナがガッツポーズをして言った。
スープ事件以来、食べ物に細工される事もなくちゃんとした食事が出されているそうだ。(第一王子の圧力もあったらしい)
それでも彼女の事が何だか気になって、果物の盛り合わせを持ってきてみたのだ。
「あっこれおいしそーねっ。」
果実がヒョイと摘み上げられる。
俺と同じ赤色だ。
彼女の桜色に彩られた唇に運ばれていくーー。
「むぐっ!!」
ゾクゾクと変な感じがして、思わず果実を奪ってクリスティーナの口に突っ込んだ。
顔に熱があつまる。
指先が彼女の唇にあたり、その柔らかさに胸がどきりとした。
彼女は抗議の目を向けていたが、美味かったのか再び与えると雛鳥のように口を開けていた。
かわい…
いや、アホヅラだ!コイツのは!
俺はコイツの婚約者兼保護者として、健康を維持してやる義務があるのだ!
と自分に言い聞かせ、その日から食べ物を持ってきては彼女の口に突っ込むようになった。
特に赤色の食べ物が多かったのは別に!断じて!意識したわけではない。
俺はクリスティーナからいい加減にしなさいっ!っとぷんすか怒られるまで、口に突っ込む日々を送った。
※※※※※※
クリスティーナは成長するにつれ淑女らしい美しさを兼ね備えていった。
そのせいだろう、他の令息達が熱を帯びた視線を彼女に送ることが多くなった。
…気に食わねえ。
今まで見向きもしてなかったくせに。
俺はクリスティーナに馴れ馴れしく話しかける男が出てくる度にガンを飛ばすようになった。
そもそも婚約者がいる相手にすることじゃねーだろ!マナー違反だ!
「なぁ、ブラッドファウル。お前の婚約者ってあの王女様だろ?」
交流のある令息が話かけてきた。領地が近く幼い頃遊んだことがある相手だ。
クリスティーナの悪評を信じこんで、俺の心配していた。
「お前の好みとは違うしな。たしかー。」
そうだ確か昔の俺はーー。
「物静かでお淑やかな、深層の令嬢…だったな」
そう、だった。
今頭に浮かぶのは、
高飛車で傲慢を気取ってるアイツ。
強ぶってる癖に、陰で肩を震わせてたアイツ。
泣き顔はブサイクだ。鼻水と涙でぐっちゃぐちゃ。泣き顔を見られたくなくてすぐ隠そうとするんだ。
でも笑うと花が咲いた様にすごく綺麗なんだ、アイツ。
「…まあ、確かに正反対だな。」
自嘲の笑いを漏らした。
俺は結構鈍感だったらしい。
アイツは深層の令嬢じゃない。
でもーー、
「今の俺が一番好きなタイプは婚約者だ。」
ティナ、お前がすげえ好きだ。
お前の婚約者になれてよかった。
令息は何を勘違いしたのか、げえ!?と声を上げた。
「お前…まさか鬼畜女王様タイプが好き…」
「ちげぇよ!!!」
コイツは後でしめておこう。
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