19 / 26
二章
5 俺とティナ②【カインside】
しおりを挟む
クリスティーナと過ごす時間が増える程、彼女を取り巻く環境に違和感を感じる様になった。
護衛は全く居ない。
使用人はクリスティーナを空気として扱うか、悪意をもって接するかの2択だ。
この前、ある侍女が第二王妃に唆されて、クリスティーナに虫の入ったスープを飲ませようとしたらしい。
逆にクリスティーナから飲ませられそうになり揉み合いの喧嘩になっていたそうだ。
第一王子が侍女を解雇し、第二王妃にも苦言を申したのだが、次の日傲慢な王女が侍女に酷い仕打ちをしてクビにした、という噂が王城に広まっていた。
第二王妃側がこういう嫌がらせすることはよくあるそうだ。
そういった状況のためか、クリスティーナは身の回りの世話が自分で出来るようだ。
※※※※※※※※
「お前…腹空かせてるんだろ、やるよコレ。」
「まあ!子分のくせに気がきくじゃない!くれるって言うなら貰ってやるわ!ありがとう!!
…最近のご飯は無事よ。
やな事されても百倍に返しでけちょんけちょんにしてやるんだから!」
クリスティーナがガッツポーズをして言った。
スープ事件以来、食べ物に細工される事もなくちゃんとした食事が出されているそうだ。(第一王子の圧力もあったらしい)
それでも彼女の事が何だか気になって、果物の盛り合わせを持ってきてみたのだ。
「あっこれおいしそーねっ。」
果実がヒョイと摘み上げられる。
俺と同じ赤色だ。
彼女の桜色に彩られた唇に運ばれていくーー。
「むぐっ!!」
ゾクゾクと変な感じがして、思わず果実を奪ってクリスティーナの口に突っ込んだ。
顔に熱があつまる。
指先が彼女の唇にあたり、その柔らかさに胸がどきりとした。
彼女は抗議の目を向けていたが、美味かったのか再び与えると雛鳥のように口を開けていた。
かわい…
いや、アホヅラだ!コイツのは!
俺はコイツの婚約者兼保護者として、健康を維持してやる義務があるのだ!
と自分に言い聞かせ、その日から食べ物を持ってきては彼女の口に突っ込むようになった。
特に赤色の食べ物が多かったのは別に!断じて!意識したわけではない。
俺はクリスティーナからいい加減にしなさいっ!っとぷんすか怒られるまで、口に突っ込む日々を送った。
※※※※※※
クリスティーナは成長するにつれ淑女らしい美しさを兼ね備えていった。
そのせいだろう、他の令息達が熱を帯びた視線を彼女に送ることが多くなった。
…気に食わねえ。
今まで見向きもしてなかったくせに。
俺はクリスティーナに馴れ馴れしく話しかける男が出てくる度にガンを飛ばすようになった。
そもそも婚約者がいる相手にすることじゃねーだろ!マナー違反だ!
「なぁ、ブラッドファウル。お前の婚約者ってあの王女様だろ?」
交流のある令息が話かけてきた。領地が近く幼い頃遊んだことがある相手だ。
クリスティーナの悪評を信じこんで、俺の心配していた。
「お前の好みとは違うしな。たしかー。」
そうだ確か昔の俺はーー。
「物静かでお淑やかな、深層の令嬢…だったな」
そう、だった。
今頭に浮かぶのは、
高飛車で傲慢を気取ってるアイツ。
強ぶってる癖に、陰で肩を震わせてたアイツ。
泣き顔はブサイクだ。鼻水と涙でぐっちゃぐちゃ。泣き顔を見られたくなくてすぐ隠そうとするんだ。
でも笑うと花が咲いた様にすごく綺麗なんだ、アイツ。
「…まあ、確かに正反対だな。」
自嘲の笑いを漏らした。
俺は結構鈍感だったらしい。
アイツは深層の令嬢じゃない。
でもーー、
「今の俺が一番好きなタイプは婚約者だ。」
ティナ、お前がすげえ好きだ。
お前の婚約者になれてよかった。
令息は何を勘違いしたのか、げえ!?と声を上げた。
「お前…まさか鬼畜女王様タイプが好き…」
「ちげぇよ!!!」
コイツは後でしめておこう。
護衛は全く居ない。
使用人はクリスティーナを空気として扱うか、悪意をもって接するかの2択だ。
この前、ある侍女が第二王妃に唆されて、クリスティーナに虫の入ったスープを飲ませようとしたらしい。
逆にクリスティーナから飲ませられそうになり揉み合いの喧嘩になっていたそうだ。
第一王子が侍女を解雇し、第二王妃にも苦言を申したのだが、次の日傲慢な王女が侍女に酷い仕打ちをしてクビにした、という噂が王城に広まっていた。
第二王妃側がこういう嫌がらせすることはよくあるそうだ。
そういった状況のためか、クリスティーナは身の回りの世話が自分で出来るようだ。
※※※※※※※※
「お前…腹空かせてるんだろ、やるよコレ。」
「まあ!子分のくせに気がきくじゃない!くれるって言うなら貰ってやるわ!ありがとう!!
…最近のご飯は無事よ。
やな事されても百倍に返しでけちょんけちょんにしてやるんだから!」
クリスティーナがガッツポーズをして言った。
スープ事件以来、食べ物に細工される事もなくちゃんとした食事が出されているそうだ。(第一王子の圧力もあったらしい)
それでも彼女の事が何だか気になって、果物の盛り合わせを持ってきてみたのだ。
「あっこれおいしそーねっ。」
果実がヒョイと摘み上げられる。
俺と同じ赤色だ。
彼女の桜色に彩られた唇に運ばれていくーー。
「むぐっ!!」
ゾクゾクと変な感じがして、思わず果実を奪ってクリスティーナの口に突っ込んだ。
顔に熱があつまる。
指先が彼女の唇にあたり、その柔らかさに胸がどきりとした。
彼女は抗議の目を向けていたが、美味かったのか再び与えると雛鳥のように口を開けていた。
かわい…
いや、アホヅラだ!コイツのは!
俺はコイツの婚約者兼保護者として、健康を維持してやる義務があるのだ!
と自分に言い聞かせ、その日から食べ物を持ってきては彼女の口に突っ込むようになった。
特に赤色の食べ物が多かったのは別に!断じて!意識したわけではない。
俺はクリスティーナからいい加減にしなさいっ!っとぷんすか怒られるまで、口に突っ込む日々を送った。
※※※※※※
クリスティーナは成長するにつれ淑女らしい美しさを兼ね備えていった。
そのせいだろう、他の令息達が熱を帯びた視線を彼女に送ることが多くなった。
…気に食わねえ。
今まで見向きもしてなかったくせに。
俺はクリスティーナに馴れ馴れしく話しかける男が出てくる度にガンを飛ばすようになった。
そもそも婚約者がいる相手にすることじゃねーだろ!マナー違反だ!
「なぁ、ブラッドファウル。お前の婚約者ってあの王女様だろ?」
交流のある令息が話かけてきた。領地が近く幼い頃遊んだことがある相手だ。
クリスティーナの悪評を信じこんで、俺の心配していた。
「お前の好みとは違うしな。たしかー。」
そうだ確か昔の俺はーー。
「物静かでお淑やかな、深層の令嬢…だったな」
そう、だった。
今頭に浮かぶのは、
高飛車で傲慢を気取ってるアイツ。
強ぶってる癖に、陰で肩を震わせてたアイツ。
泣き顔はブサイクだ。鼻水と涙でぐっちゃぐちゃ。泣き顔を見られたくなくてすぐ隠そうとするんだ。
でも笑うと花が咲いた様にすごく綺麗なんだ、アイツ。
「…まあ、確かに正反対だな。」
自嘲の笑いを漏らした。
俺は結構鈍感だったらしい。
アイツは深層の令嬢じゃない。
でもーー、
「今の俺が一番好きなタイプは婚約者だ。」
ティナ、お前がすげえ好きだ。
お前の婚約者になれてよかった。
令息は何を勘違いしたのか、げえ!?と声を上げた。
「お前…まさか鬼畜女王様タイプが好き…」
「ちげぇよ!!!」
コイツは後でしめておこう。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。
あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!?
ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど
ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。
※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
引きこもりが乙女ゲームに転生したら
おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ
すっかり引きこもりになってしまった
女子高生マナ
ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎
心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥
転生したキャラが思いもよらぬ人物で--
「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで
男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む
これは人を信じることを諦めた少女
の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる