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一章

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 その後お兄様と紅茶を飲みながら楽しいひとときを過ごした。
 辺境の領地まで視察に行ったりお仕事が忙しいらしい。
私にいくつかお土産をくれたのだけれど…この犬のぬいぐるみ不細工過ぎるわ…。
悪霊は『ブサかわいい』とか言っていたけど。
お兄様センスが少しずれてるのよね。
未だに婚約者が決まってないのもそれが原因じゃないかと、わたくしちょっと心配してるわ。

「僕はいつでもクリスティーナのことを思っているからね。何かあればすぐに連絡しなさい。」

 そう言ってお兄様は私の頭を撫でて頬にキスをしてくださった。
 私は覚えてないのだけど、幼い頃の私のお世話は亡きお母様の代わりにお兄様が手づからしてくださったらしい。
私にとっては兄であり親でもある存在。お忙しくて中々会えないのは寂しいけど、私はもう立派なレディだもの!
泣かないわ!
それに私もお兄様のように王族よ役目を果たさないといけないわね!


「てなわけで孤児院にいくわよ!」

『唐突過ぎてびっくりなんだけど。まあお城の外の世界を見るのは良いかもねぇ。』

 私はすぐにでも向かいたかったのだけど、悪霊が準備をしてからにしろーって口出ししてきた。
そこの孤児院の情報をあらかじめ調べておけーだとか寄付は何をするのかだとか。
麗しい私の肖像画ー悪霊の国ではブロマイドというらしいーを配ろうと思っていたのに全力で止められた。『黒歴史になるからやめときな』そう言って悪霊が遠い目をしていたわ。自分の黒歴史とかやらを思い出したらしい。
 寄付金とは別に、不足しているらしい清潔な衣類と寝具も贈ることにした。






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