悪役王女様は異世界の悪霊に取り憑かれる

一章

4【閑話】ヒロインは前世を思い出す

「ぃやったああああー！！！」

　小さな身体をバタバタさせてベットの上で飛び跳ねて喜んだ。
あたしは乙女ゲームの世界のヒロインに転生したらしい。

　前世のあたしは平凡な高校生だった。でも居眠り運転のトラックに轢かれ、死んでしまった。
その後神さま？に会って、可哀想だから君が好きだった乙女ゲームに似た世界に連れて行ってあげるよって言われた気がする。

　次に目が覚めた時はベットの上だった。
どうやら前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロイン、アンナに転生したらしい。

　アンナは身体が弱かったらしく、一ヶ月寝込み続けもうダメだろうと医者に診断されていたみたい。
あたしが目覚めた時、アンナの家族は涙を流して喜んでくれた。
でもあたしにはそれ以前のアンナの記憶が無いからちょっと気まずかった。

転生のバグみたいなやつかしら？

周りは病気の後遺症で記憶障害になってるって思ってるみたい。

とにかくあたしは好きなゲームの世界にヒロインとして転生出来たのだ！

舞台は王立学園。
貴族も通う魔法学校に癒しの力をもった光魔法保持者の特待生としてアンナは入学する。
そこで第二王子をはじめ、さまざまなイケメンと出会い愛を深めていくのだ。

勿論、弊害となるライバルの存在もある。
悪役王女クリスティーナだ。

我儘で高慢。とにかく難癖つけてアンナの前に立ちはだかる。彼女は特に第二王子ルートと、彼女の婚約者の騎士ルートでは邪魔をしに現れる。
ほんとうざいなぁとプレイ中もイライラしたもの。

前世でも好みだった第二王子ルートは攻略したいわね。
あっ！ゲームでは逆ハーレムはなかったけれど、この世界では上手くやれば出来るかも！
だってあたしのための世界だし！

あたしは期待を膨らませながら舞台の始まりを待つ事にした。