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一章

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 本当に不幸な事故だった。
 その時隣国の高貴な方が来訪してるとかなんやで念入りに掃除されていたのだ。床もピッカピカだった。
 それはもう私が踏み出した一歩で3メートル程滑り続けるくらいは。

 そして滑った先には庭園があり小さな池があった。
 庭園の置き物に強くぶつかった私の身体は宙を舞い、そのお池に落ちてしまった。

 その後の事は記憶にない。
救助された私は高熱で寝込み続け、目が覚めると…

取り憑かれてしまっていた。

 肩までの黒髪。白いワンピースを着ている16くらいの少女。
 その子の真っ黒な死んだ魚の様な目がワタクシを心配そうに覗き込んでいた。

天井から。

「いやあああぁぁぁあああ!!!!くぁwせdrftgyふじこlp」

私は絶叫した。

 普段の清廉潔白お淑やかな私からは出ない声も出た様な気がする。
 得体の知れない未知の存在への恐怖と不安で涙と鼻水が止まらない。
頭もズキズキと痛い。
 城の者達が慌てて駆けつけた後も、半狂乱で叫び続けた。

「なんでっ!そこにいるじゃない!浮いてるじゃない!なんで皆見えないのよっ!!」

「失礼ながら…姫様は三日三晩高熱で寝込んでらっしゃいましたので、お疲れのご様子。
 おそらく頭を強く打たれていたため、幻覚を見てらっしゃるのではないかと…今はゆっくり休まれて下さいませ。」

 そいつは私以外には見えなかった。
何度訴えても、私が疲れて狂ってしまったと思われてしまった。

 その日から私と悪霊の奇妙な生活は始まったのだ。
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