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一章

34 食事

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本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい


8/14 21:30

ガツガツガツガツ
モグモグモグモグ

ガツガツガツガツ
モグモグモグモグ

どれだけ食事をしていなかったのだろう

はらぺこ巫女

だけでは無く、アルと名乗る少女も目の前のカレーライスに釘付けである


「まぁ、今日は奢るから! 喧嘩なんかすんなって~  あと、固めが良いとかそういうのは受け付けませ~ん」
ジンは副菜を机に並べ終えるとカレーに乗せる目玉焼きを焼いている

「ん!」
おかわりをよこせとばかりに皿をジンの目の前に置く

「ん! じゃないでしょう、おかわりってちゃんと言いなさい、天下の巫女様なんだろ?」

「    おかわり」
少し間が空いたが照れる仕草も無ければイラつく様な顔もしない

「うむ、素直でよろしい」
(可愛いじゃないの)

釜と鍋には米とルーがたっぷりと入っている

実はこの材料
本日昼過ぎにリッツと名乗る行商人が『無償で』大量に置いていった品の一部である
ジンには全然意味が分からなかったのだが近々(きんきん)にまた来るとか言っていたので貰える物は貰っておく事にしたのだ


「そんで? アルはどうしてそんな廃墟にいたんだ?」

「も?  むぐうう  むぐ」
「あ~良いや 食べてから、落ち着いたら喋って」
少女のお皿の横に水を置く


「むぐぐ     ぅ   ぁ、ぁりがと」
小さく誰にも聞こえない様な声で呟く

「しっかしルトーー お手柄だったんだな~」

「にゃ  うにゃにゃ あにゃにゃにゃん」

ハッグハグ ハグハグハグ

子猫は皆と一緒にカウンターへ並べられた鳥肉と格闘中である



(なんだ、お前  ここの子だったのか)



「すいません、ジンさん 巫女様 少し熱くなっちゃいました  申し訳ないです」

「いや、キーロあれはロリ巫女が言い過ぎじゃって」

「あ~ いい いい いい いい!!  ま~た始まるから 良いからカセンは酒飲んでろよ」
棚から一本適当なのを取って赤鬼に投げる

「お~、そこまで怒ってるとかではないんじゃが    うむ、まぁ聞くに聞けんからのぉ、ジンに任せて大人しくしておるよ」
機嫌を良くしたのか酒瓶をキャッチするとそのままグラスを使わずに呷(あお)る

「おい 私にも酒」
巫女が片手にスプーンもう片手にグラスを持ち揺らす仕草をしている

「わんぱくかよ! ん~まぁ~なんか頑張ってくれたらしいし今日だけな!?」

「あん?」

リッツの訪問を知らない為、一瞬だけ不思議な顔をするのだがそんな事よりおかわりを求めている様子だ

「お二人共、昨日の今日で良く飲みますね~  しかし今日はジンさん太っ腹じゃないです?」
従者は完全に二日酔いが覚めていないのだろう
笑顔は欠かさないがカレーは中々減らない

「あ~、うん その件はまた来るらしいからそん時にまとめて聞こうと思って、今はそれよりも」


そう、問題はアイリそっくりのこの少女
ディーン王国から多額で討伐依頼が届いているアルが優先だ

(何やったら5千万とかで国から追われんだよ)
ジンは美味しそうにカレーを頬張るアルを見てから皆の顔を見回す

(空気も入れ替わったしこのメンバーなら大丈夫だとは思うんだけど、額が額だし  多分大きな事だよなこれって)
引き戸から例の依頼表を取り出す

「とりあえず食べ終わって落ち着いたらで良いからさカセン風呂入れてやってよ」

「お~わかった~」

「むぐ!?  ぇ、、ぃいいよ」

「良くない! そのままじゃ流石に飲食店なので衛生上な!」

途端   場が再び静まる


「あ、、そ、そうだよね、ごめん     く、くさいよね」
少女のスプーンが止まる

「あああああえええ!いやそうじゃなくて  あのあのあのえっとええとえっとそのそのその」
若い女の子をへこませた事で逆にジンがテンパる

せっかくの空気を台無しにしたのもあり、隣のカセンも呆れ顔である


そんな中、巫女が食べ終わったのか酒を手酌しながら語り出す


「あ~、、なんだ、その   言葉足らずだった    かもな  すまんな」

「シエル様!! 謝るって事出来たんですね  あうっ」
いつも通りに従者がグーでやられる
「う~いたた いやぁ、アルちゃんすいませんね  つい昨日機械型の異形に襲われたもので」

!?

アルが凄い形相でシフを見る
「な? あいつら!」

「、、ふむ、何か知っているんですね?  ゆっくりで良いので教えてもらえますか?  我々は 味方です」



・・・



(え~と)

(依頼書   いつ見せよう)

もたついている間に従者が良い所を持って行った気がしたジンであった
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