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第六章 決戦編
決戦ⅩⅩⅠ VSネカルク・アルドネア⑤
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「今の言葉は本当か?魔王ネカルク。」
魔王城・玉座の間。勝利を確信し高らかに笑っていたネカルクに、ガステイルが一歩前に出ながら尋ねる。
「気に入らん眼だな。まだ希望を失っておらん……他の三人の方がよほど賢い選択だと思うが。」
「そうかもしれない……でも、ストックされた魔力が五つってのが本当ならば、なんとかなるよ。」
希望を失ってない瞳でネカルクを睨みつけ啖呵を切るガステイル。ネカルクはその言葉に目を丸くし、やがて吹き出すように笑う。
「面白いことを言う小僧じゃ……だったら、やってみよ!!」
「言われなくても……俺がお前を倒してやるよ!」
ガステイルとネカルクが激突する。しかし他の三人と同じようにガステイルの拳はネカルクを通過し、ネカルクの攻撃はガステイルに当たっている。素人同然の格闘技の腕前も相まって、ガステイルはなんとか致命傷を食らわないように避け続けるのが精一杯だった。
「くっ……」
「なんだそのザマは……つまらぬ男よの、口ほどにもない。」
「悪いね、こういうの慣れてないんだ。」
「もうよい。一思いに沈めてやる!」
ネカルクは目にも止まらぬ速さでガステイルの顔面に右腕を突き出した。手刀のように鋭く尖った手のひらがガステイルの顔面を、無惨にも貫いた。
「ガステイル……うそ、いやぁぁぁぁっ!!!」
ガステイルはその場に倒れ込み、動かなくなる。アムリスの叫びが部屋全体の空気を斬り裂くように響いた。急いでガステイルの遺体に駆け寄ろうとするアムリスだったが、アルエットがそれを手で制した。
「アムリス、待つんだ!」
「アルエット様、どうして!」
「……ガステイルの遺体から魔力が溢れている。恐らく、何かの魔法が発動する合図だ!今近付くと巻き込まれてしまう!!」
「えっ……!」
アムリスがガステイルの遺体の方へ目を向ける。ネカルクが貫いた頭部の穴から、1枚の葉っぱが顔を覗かせる。アムリスにはその葉っぱに見覚えがあった。
「あれって……精霊樹の葉?」
「なんだって!?」
アルエットが精霊樹の葉という言葉に反応し、大きな声をあげる。
「アムリス様、ご存知ですか?」
「精霊樹は、実だけでなく葉にも時間操作の魔法が刻まれているの。それも……時間停止の魔法がね。」
「え!?時間停止……?」
「活性化状態の精霊樹の葉に一定以上の魔力を持つ者が触れると、その対象の時間が10秒前後停止する。」
「そういえば……ネカルクがさっきから全く動いていない!今のうちにトドメを!」
そう言ってネカルクの元へ向かうべく地面を蹴るアムリス。その瞬間、倒れているガステイルの影から腕が生える。その腕は地面を掴むと、影の中から身体を引き上げ――死んだはずのガステイルが、槍を小脇に抱えてネカルクの前に姿を現した。
「ガステイル!?」
「……魔王は、俺が倒すって言ったろ?慣れてない魔法で手間取ったが、これで、終いだッ!!!」
ガステイルはそう宣言し、ネカルクの胸部に向かって一息に槍を突き出した。しかし、
「ぐっ……うおおおおおッ!!!」
槍はネカルクの心臓に届くことなく、ネカルクは時間を取り戻し身を捩りながら槍の攻撃に対応する。左肩が抉れ片手を犠牲にしつつ、心臓への致命傷を避けることに成功した。
「くっそ……し、しくじっちまった。」
「……今のはなんだ。」
「お前なら知ってるだろ。精霊樹の葉で時間を止めたんだよ。」
「そんなことを聞いているんじゃない。お主は確かに、余に攻撃していたはずだ……なぜお主の槍は余を傷つけるに至ったのだ。」
「簡単なことさ。お前が俺の魔力だとストックした魔力……そいつが別人のものだったんだよ。」
「別人だと……その抜け殻が、お前ではなく別人の魔力を帯びていたと……?」
「ご名答……。この精霊樹の葉はエリフィーズを出るときに族長がお守りだとくれたのさ。あの人の魔力で活性化させた状態で渡しやがったからうっかり戦闘中に触ったりしたらどうすんだと思ってたけど、こんな役に立つなんてな。」
ガステイルはやれやれとため息をつきながら語る。
「あんたとの戦闘が始まったときから、俺はこの葉を核にして俺の分身を作り出し、影魔法で姿を隠しておいたのさ。ヴォリクスほどでは無いが、一つの影に出入りするくらいのことなら俺にもできるからな。そうして分身に攻撃させたのさ……俺の魔力ではなく、事前に込められていた族長の魔力でな。」
「エルフの族長の魔力……こんなくだらんカラクリだったとはな。」
「そうかもな……現にお前を仕留めきれなかった。俺はもう万策尽きたよ。」
「ふふ……どうかな?もう一度やれば結果が違うかもしれぬぞ?」
「え……?」
「余の額をよく見よ……星の数は変わらず五つ、つまり、お主の魔力はストックしておらん。じゃから……もう一度その槍で突けば、今度は心臓を貫くことができるやもしれぬ。」
「もう一度……」
ガステイルは槍をじっと見つめながら暫し考え込んだのち、決意を固めた表情で槍を持つ手に力を込め、ネカルクを睨みつける。そこへ何かに気がついたかのようにアルエットが叫んだ。
「ガステイル!ダメだ……罠だ、逃げろッ!!!」
「えっ……」
アルエットの言葉虚しく、ガステイルの槍は止まることなくネカルクめがけて伸びていく。その瞬間、ネカルクの額の星が一つ増え、ガステイルの槍はネカルクの身体をすり抜けた。つんのめるようにバランスを崩すガステイル、その隙をネカルクが見逃すはずもなく、無数の触手がガステイルに襲いかかった。
「フレンヴェル……来てっ!!」
アムリスが聖剣を呼びながらガステイルを庇うように割り込む。そして聖剣を手にし地面に突き立てると、
「お願い、『堅守たる聖剣』!!」
そう叫び、聖剣が二人を覆う盾のような形に変化する。だが、その様子を見たネカルクは、
「無駄じゃよ。」
そう呟き、攻撃の手を緩めなかった。触手は聖剣をすり抜け、その奥にいたガステイルとアムリスに直撃する。
「ぐああああっ!!」
咄嗟にアムリスを庇うように覆いかぶさったガステイル。その背中に触手の大半が突き刺さり、ガステイルの身体から力が抜け、そのまま倒れ伏す。ネカルクは追撃するべく再び触手を伸ばすが、
「危ない!」
ルーグがガステイルとアムリスを担ぎながら追撃を躱し、ネカルクと間合いをとる。ルーグは二人を地面に下ろし、アルエットと共に二人を守るように前に出る。
冷や汗を流しながら見上げるアルエットとルーグを涼しい顔で見下ろすネカルク。大局が決したのはもはや誰の目にも明らかであった。
魔王城・玉座の間。勝利を確信し高らかに笑っていたネカルクに、ガステイルが一歩前に出ながら尋ねる。
「気に入らん眼だな。まだ希望を失っておらん……他の三人の方がよほど賢い選択だと思うが。」
「そうかもしれない……でも、ストックされた魔力が五つってのが本当ならば、なんとかなるよ。」
希望を失ってない瞳でネカルクを睨みつけ啖呵を切るガステイル。ネカルクはその言葉に目を丸くし、やがて吹き出すように笑う。
「面白いことを言う小僧じゃ……だったら、やってみよ!!」
「言われなくても……俺がお前を倒してやるよ!」
ガステイルとネカルクが激突する。しかし他の三人と同じようにガステイルの拳はネカルクを通過し、ネカルクの攻撃はガステイルに当たっている。素人同然の格闘技の腕前も相まって、ガステイルはなんとか致命傷を食らわないように避け続けるのが精一杯だった。
「くっ……」
「なんだそのザマは……つまらぬ男よの、口ほどにもない。」
「悪いね、こういうの慣れてないんだ。」
「もうよい。一思いに沈めてやる!」
ネカルクは目にも止まらぬ速さでガステイルの顔面に右腕を突き出した。手刀のように鋭く尖った手のひらがガステイルの顔面を、無惨にも貫いた。
「ガステイル……うそ、いやぁぁぁぁっ!!!」
ガステイルはその場に倒れ込み、動かなくなる。アムリスの叫びが部屋全体の空気を斬り裂くように響いた。急いでガステイルの遺体に駆け寄ろうとするアムリスだったが、アルエットがそれを手で制した。
「アムリス、待つんだ!」
「アルエット様、どうして!」
「……ガステイルの遺体から魔力が溢れている。恐らく、何かの魔法が発動する合図だ!今近付くと巻き込まれてしまう!!」
「えっ……!」
アムリスがガステイルの遺体の方へ目を向ける。ネカルクが貫いた頭部の穴から、1枚の葉っぱが顔を覗かせる。アムリスにはその葉っぱに見覚えがあった。
「あれって……精霊樹の葉?」
「なんだって!?」
アルエットが精霊樹の葉という言葉に反応し、大きな声をあげる。
「アムリス様、ご存知ですか?」
「精霊樹は、実だけでなく葉にも時間操作の魔法が刻まれているの。それも……時間停止の魔法がね。」
「え!?時間停止……?」
「活性化状態の精霊樹の葉に一定以上の魔力を持つ者が触れると、その対象の時間が10秒前後停止する。」
「そういえば……ネカルクがさっきから全く動いていない!今のうちにトドメを!」
そう言ってネカルクの元へ向かうべく地面を蹴るアムリス。その瞬間、倒れているガステイルの影から腕が生える。その腕は地面を掴むと、影の中から身体を引き上げ――死んだはずのガステイルが、槍を小脇に抱えてネカルクの前に姿を現した。
「ガステイル!?」
「……魔王は、俺が倒すって言ったろ?慣れてない魔法で手間取ったが、これで、終いだッ!!!」
ガステイルはそう宣言し、ネカルクの胸部に向かって一息に槍を突き出した。しかし、
「ぐっ……うおおおおおッ!!!」
槍はネカルクの心臓に届くことなく、ネカルクは時間を取り戻し身を捩りながら槍の攻撃に対応する。左肩が抉れ片手を犠牲にしつつ、心臓への致命傷を避けることに成功した。
「くっそ……し、しくじっちまった。」
「……今のはなんだ。」
「お前なら知ってるだろ。精霊樹の葉で時間を止めたんだよ。」
「そんなことを聞いているんじゃない。お主は確かに、余に攻撃していたはずだ……なぜお主の槍は余を傷つけるに至ったのだ。」
「簡単なことさ。お前が俺の魔力だとストックした魔力……そいつが別人のものだったんだよ。」
「別人だと……その抜け殻が、お前ではなく別人の魔力を帯びていたと……?」
「ご名答……。この精霊樹の葉はエリフィーズを出るときに族長がお守りだとくれたのさ。あの人の魔力で活性化させた状態で渡しやがったからうっかり戦闘中に触ったりしたらどうすんだと思ってたけど、こんな役に立つなんてな。」
ガステイルはやれやれとため息をつきながら語る。
「あんたとの戦闘が始まったときから、俺はこの葉を核にして俺の分身を作り出し、影魔法で姿を隠しておいたのさ。ヴォリクスほどでは無いが、一つの影に出入りするくらいのことなら俺にもできるからな。そうして分身に攻撃させたのさ……俺の魔力ではなく、事前に込められていた族長の魔力でな。」
「エルフの族長の魔力……こんなくだらんカラクリだったとはな。」
「そうかもな……現にお前を仕留めきれなかった。俺はもう万策尽きたよ。」
「ふふ……どうかな?もう一度やれば結果が違うかもしれぬぞ?」
「え……?」
「余の額をよく見よ……星の数は変わらず五つ、つまり、お主の魔力はストックしておらん。じゃから……もう一度その槍で突けば、今度は心臓を貫くことができるやもしれぬ。」
「もう一度……」
ガステイルは槍をじっと見つめながら暫し考え込んだのち、決意を固めた表情で槍を持つ手に力を込め、ネカルクを睨みつける。そこへ何かに気がついたかのようにアルエットが叫んだ。
「ガステイル!ダメだ……罠だ、逃げろッ!!!」
「えっ……」
アルエットの言葉虚しく、ガステイルの槍は止まることなくネカルクめがけて伸びていく。その瞬間、ネカルクの額の星が一つ増え、ガステイルの槍はネカルクの身体をすり抜けた。つんのめるようにバランスを崩すガステイル、その隙をネカルクが見逃すはずもなく、無数の触手がガステイルに襲いかかった。
「フレンヴェル……来てっ!!」
アムリスが聖剣を呼びながらガステイルを庇うように割り込む。そして聖剣を手にし地面に突き立てると、
「お願い、『堅守たる聖剣』!!」
そう叫び、聖剣が二人を覆う盾のような形に変化する。だが、その様子を見たネカルクは、
「無駄じゃよ。」
そう呟き、攻撃の手を緩めなかった。触手は聖剣をすり抜け、その奥にいたガステイルとアムリスに直撃する。
「ぐああああっ!!」
咄嗟にアムリスを庇うように覆いかぶさったガステイル。その背中に触手の大半が突き刺さり、ガステイルの身体から力が抜け、そのまま倒れ伏す。ネカルクは追撃するべく再び触手を伸ばすが、
「危ない!」
ルーグがガステイルとアムリスを担ぎながら追撃を躱し、ネカルクと間合いをとる。ルーグは二人を地面に下ろし、アルエットと共に二人を守るように前に出る。
冷や汗を流しながら見上げるアルエットとルーグを涼しい顔で見下ろすネカルク。大局が決したのはもはや誰の目にも明らかであった。
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