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――「ネブル」という名は育性会で活動するに当たって、自分で付けた名前。私の本当の名は「NUQE」。ナノマシン式多機能量子装置、Nanomachine Utility Quantum Equipmentの略。
一糸纏わぬ身を私に委ね、ネブルは己の正体を明かしてくれた。とは言っても、今の説明だけでは何が何やらわからない。
「カフェで話した都市伝説、のようなお話」
「あー」
淫蕩でのぼせた脳を混ぜ返す。たしか体そのものを情報デバイスにして、手ぶらであらゆる電子端末へのアクセスを可能とする、という話だっただろうか。
「そう。それ」
「え?」
「それが私」
まだ意を汲めない私に対し、「見てもらった方が早いか」と彼女はテレビに掌を向ける。
「行くよー」
そのまま鍵盤を叩くように指をパタパタ動かして空を打つと、テレビのチャンネルが忙しく切り替わり出した。
「照明」
電灯の明暗がころころと切り替わる。
「エアコン」
今度は冷房の風が極端に強くなった。寒い。
「ごめんごめん」
彼女が手を下ろすと、張りきっていた家電は落ち着きを取り戻した。少し驚いたけど、これくらいなら今の家電の音声認識機能を使えば不思議じゃない。
「ここの設備が旧式のボロばかりなの忘れてない?」
「あっ……」
「じゃあ次はここからスウちゃんの携帯を視るね」
「えっ……」
「おっ、メモアプリに面白そうなデータがあるね。えーっとロックを解除して……ふむふむなるほど……自作キャ――」
「わわわっ! わかった! わかったから止めて!」
「と、まぁこんなことができるんだ」
それができるということは昼間の時点で私のあれこれを知っていたのだろうか。
「んーん。昼間はスウちゃんには何もしていないよ。書店の顧客データベースをハッキングした時も自分の機能を使わず、持ってた端末だけでやってた。この程度ならまだ他の機械でもできる範囲だよ」
「じゃあ他にもっとすごいことできるんだ」
「うん。やってみようか?」
そう話し、ネブルは私の頬に触れた。じっと目を合わせられ、収まりつつあった胸奥の火照りが再び燻り始める。
「…………」
「…………」
視界の端では相も変わらず女優が嬲られている。すごいこと……それってやっぱり……。
「……なーんてね。やっぱりスウちゃんには効かないかー」
「えっ? 今、何かしてたの?」
「うん。スケベ信号を送ってた」
「ふざけないで」
「本気だよ。本気の本気でスウちゃんを私の物にしようとしてみた」
「ん?」
ネブルはさらに言葉を続ける。
「ツィネルにやったことと同じことをしようとしてみたの」
学校で「ポチ」を暴かれそうになった時のことを思い出す。あれを今やられていたら、私は間違いなくこの子の「物」になっていただろう。でも――。
「どうして私には効かないの?」
「答えは単純明快。スウちゃんの体内にナノマシンがないから。私の機能は自分の体内に飼っているナノマシンを介して、電子情報にアクセスできること。つまりは簡単に言うと、端子が必要なんだよ」
ネブル曰く、機械には元々電気通信用の装置が取り付けられているからそのまま信号を送れるが、生物には介在する拠り所が必要だという。
「それで仲立ちになるのがナノマシンって訳。あの時、私はツィネルの体内にあるナノマシンに干渉して、脳にドーパミンなどのホルモンを大量に分泌させるよう信号を送った」
触れられただけで絶頂する程の快楽を瞬時に叩きこまれたツィネルに同情を覚える。ただ、思考の端では「それをもし体験できたら」と想像している自分もいて、少し潤んだ。「一瞬、良からぬことを考えたでしょ」と、ネブルは呆れたように呟いた。
「あれ? でもネブルは乳首があるのに、どうしてナノマシンが体内にあるの?」
周知の通り、NUKEで乳首を失った人の体内にしかナノマシンは存在しない。何らかの要因でその影響を受けず、乳首を持つ者にはナノマシンが不活性のまま体に定着しなかったはず。
「私のはNUKEに搭載されたものとは別……というより、私自体が後の事態を予見して作られたんだ。わざわざ一文字だけ変えて、当て擦った命名をしたのもそのせい。音が似ているから傍目にはNUKEかNUQE、どちらの話をしているかわからない。NUKE開発チーム内で投下に慎重だった一部の人々は、そうして密かに対抗手段を講じていた」
先に彼女は語っていた。NUKEの投下はあくまで布石だったのかもしれないと。NUKEの投下以後、人類の乳首を蝕んだナノマシンは子世代にも渡って体内で共生し続けている。子々孫々に渡っての乳首破壊だけが目的とは考えられないとも。
「Dummyはまだ行動を起こしていないし、危惧される事態も推測の域も出ていない。でも、状況がはっきりしてからでは遅い。その頃にはもう人は偽りの性活の中で、生かされているだけになっているだろうから」
――私のお母さんもそう考えた一人だった。
「お母さん?」
「うん。私のお母さんはNUKEの開発チームにいたの」
「えっ!?」
「と言っても、末端の末端のそのまた末端だけどね」と、ネブルは苦笑した。「NUKEに積むナノマシンに少しだけ関わっていたって本人は言っていたよ」
そして、こんな世の中になってとても悔やんでいた――。
伝えられた言葉は過去形。気丈に震えを耐える瞳はさみしく彼方を見つめている。私は居たたまれない気持ちになり、白い肩に添えた手に力を込めるしかなかった。
「お母さんは元々国内の精密機器メーカーに勤めていて、ナノマシンを用いた有機情報デバイスの実用化を進めていた。そこをDummyに見出されて、統治会議の技術部門にスカウトされたの。これも決して偶然ではない。Dummyは手足を欲していた。生まれから死まで、多種多様な人の性を観察し、解析し、隅々まで管理する為の生体端末をね」
小さな手はシーツを握り、行き場のない感情を抑え込んでいる。その様が私には、この世から消えてしまわないようにしがみついているように見えた。
「お母さんは試験段階でNUKEの影響を受けない事例を検証し、己もその一人になると確信を得た。それがわかると、お腹の中にいる娘へナノマシンを注入して、Dummy中枢部へのアクセス権限を仕込んだのよ」
統治会議のマザーAIに関わる不正は言うまでもなく重罪だ。生まれながらにしてネブルはその罪を負っていることになる。そして、彼女の母親は……。
「だけどDummyも機関内に自己への反抗勢力が燻っていると重々わかっていた。それでもあれは裏切者を抹殺しようとしなかった」
反抗者を抹殺せず、生かしておく意味を私は解せなかった。理想への妨げとなるなら、用心しておくに越したことはないはずなのに……。それほど人間を矮小な存在だと認識しているのだろうか。
「それは違うよ。Dummyは種の存続の為に多様性を価値判断の第一義としている……これは昼に言ったよね? それを実行しているに過ぎないの。要は自己への反抗者さえも多様性の一片だと認識している。あれはその大義の下に「作られた多様性社会」を築こうとしているんだよ」
――馬鹿げた話だよね。嫌っている人も愛そうとするなんて。神様みたい。
少女の目つきは尖鋭なる爪牙の如く、玲瓏なる光を宿していた。月夜に孤狼が吼える。
「こんな立派な神様がいるのに、世界は窮屈で息苦しくて、理不尽に救われない人がいる。だから私はNUQEとして使命を実行し、この世界を……破壊する」
使命――その言葉は十代の少女には重すぎる言葉だった。そんなものを抱えられるほど、私達の背中はまだ大きくない。大人から見ればしょうもないあれこれに一喜一憂したり、お金にも身の糧にもならない行為に全力を尽くしたり……私達が本当にやるべきことはそういうことではないのだろうか?
「ネブルは本当にそれを望んでいるの?」
「……望んでいるもいないも関係ない。それが私の生まれた意味なの」
「違うよ。それはNUQEのであって、私の友達ネブルの望みじゃない」
強張る体を抱き締め、私は「今日一緒に過ごしてわかったんだ」とネブルに語りかける。「あなたはこの世界を愛している」
「…………」
だから私に覚えていてほしいと思った。ただ使命に殉じるつもりだったのなら、私を助けようともしなかったはず。あなたは別の道も模索している。欺瞞に満ちた偽りの世界であっても、そこで生きてきたことに変わりはない。苦しみも悲しみも楽しみもなかったことにしたくなくて、私にそれを託そうと考えた。自分では実行できない別の道を紡ぎ出してほしい。それがあなたの本当の望みではないのか。
「…………」
冷えた白い手を掌で包み込み、言葉を待つ。家電のうなりとAVの大げさな喘ぎだけが空間を支配する。
世界のざわめきの中に「うん」とか細い声が混じる。顔を伏せたまま、彼女は笑った。
「やっぱりスウちゃんは優しいよ」
小さく「すき」と呟く声が聞こえた。絶頂を迎えた女優の台詞なのか、ネブルが発した言葉だったのか、よく聞き取れなかった。
地面からむっとした熱気が立ち昇り、私達を出迎える。夜空には月と星が冷えた光を放ち、風が瑞々しい空気を運んでいる。もうすっかり遅くなってしまった。
「お別れ、だね」
「だね」
今日、私達はセックスをした。喧しい繁華街の声と物音はいつになく新鮮で、自分が生まれ変わったような心地だった。気怠くて思考も重たいけれど心は充足していて、息は詩人のような熱を帯びている。
結び付いた指と指を解く……最後の指先と指先が離れようという時、ネブルは勢いよく私に抱き着いた。
「…………」
もうお互いに言葉は不要だった。平坦な世界の地平線の向こうに何があるのか。私達にはまだわからない。それでも変わりゆくこの世界を愛している。私とネブルの行く道が正反対でもきっとどこかで繋がっている。
そう、きっと大丈夫。
私達には乳首があるから。
一糸纏わぬ身を私に委ね、ネブルは己の正体を明かしてくれた。とは言っても、今の説明だけでは何が何やらわからない。
「カフェで話した都市伝説、のようなお話」
「あー」
淫蕩でのぼせた脳を混ぜ返す。たしか体そのものを情報デバイスにして、手ぶらであらゆる電子端末へのアクセスを可能とする、という話だっただろうか。
「そう。それ」
「え?」
「それが私」
まだ意を汲めない私に対し、「見てもらった方が早いか」と彼女はテレビに掌を向ける。
「行くよー」
そのまま鍵盤を叩くように指をパタパタ動かして空を打つと、テレビのチャンネルが忙しく切り替わり出した。
「照明」
電灯の明暗がころころと切り替わる。
「エアコン」
今度は冷房の風が極端に強くなった。寒い。
「ごめんごめん」
彼女が手を下ろすと、張りきっていた家電は落ち着きを取り戻した。少し驚いたけど、これくらいなら今の家電の音声認識機能を使えば不思議じゃない。
「ここの設備が旧式のボロばかりなの忘れてない?」
「あっ……」
「じゃあ次はここからスウちゃんの携帯を視るね」
「えっ……」
「おっ、メモアプリに面白そうなデータがあるね。えーっとロックを解除して……ふむふむなるほど……自作キャ――」
「わわわっ! わかった! わかったから止めて!」
「と、まぁこんなことができるんだ」
それができるということは昼間の時点で私のあれこれを知っていたのだろうか。
「んーん。昼間はスウちゃんには何もしていないよ。書店の顧客データベースをハッキングした時も自分の機能を使わず、持ってた端末だけでやってた。この程度ならまだ他の機械でもできる範囲だよ」
「じゃあ他にもっとすごいことできるんだ」
「うん。やってみようか?」
そう話し、ネブルは私の頬に触れた。じっと目を合わせられ、収まりつつあった胸奥の火照りが再び燻り始める。
「…………」
「…………」
視界の端では相も変わらず女優が嬲られている。すごいこと……それってやっぱり……。
「……なーんてね。やっぱりスウちゃんには効かないかー」
「えっ? 今、何かしてたの?」
「うん。スケベ信号を送ってた」
「ふざけないで」
「本気だよ。本気の本気でスウちゃんを私の物にしようとしてみた」
「ん?」
ネブルはさらに言葉を続ける。
「ツィネルにやったことと同じことをしようとしてみたの」
学校で「ポチ」を暴かれそうになった時のことを思い出す。あれを今やられていたら、私は間違いなくこの子の「物」になっていただろう。でも――。
「どうして私には効かないの?」
「答えは単純明快。スウちゃんの体内にナノマシンがないから。私の機能は自分の体内に飼っているナノマシンを介して、電子情報にアクセスできること。つまりは簡単に言うと、端子が必要なんだよ」
ネブル曰く、機械には元々電気通信用の装置が取り付けられているからそのまま信号を送れるが、生物には介在する拠り所が必要だという。
「それで仲立ちになるのがナノマシンって訳。あの時、私はツィネルの体内にあるナノマシンに干渉して、脳にドーパミンなどのホルモンを大量に分泌させるよう信号を送った」
触れられただけで絶頂する程の快楽を瞬時に叩きこまれたツィネルに同情を覚える。ただ、思考の端では「それをもし体験できたら」と想像している自分もいて、少し潤んだ。「一瞬、良からぬことを考えたでしょ」と、ネブルは呆れたように呟いた。
「あれ? でもネブルは乳首があるのに、どうしてナノマシンが体内にあるの?」
周知の通り、NUKEで乳首を失った人の体内にしかナノマシンは存在しない。何らかの要因でその影響を受けず、乳首を持つ者にはナノマシンが不活性のまま体に定着しなかったはず。
「私のはNUKEに搭載されたものとは別……というより、私自体が後の事態を予見して作られたんだ。わざわざ一文字だけ変えて、当て擦った命名をしたのもそのせい。音が似ているから傍目にはNUKEかNUQE、どちらの話をしているかわからない。NUKE開発チーム内で投下に慎重だった一部の人々は、そうして密かに対抗手段を講じていた」
先に彼女は語っていた。NUKEの投下はあくまで布石だったのかもしれないと。NUKEの投下以後、人類の乳首を蝕んだナノマシンは子世代にも渡って体内で共生し続けている。子々孫々に渡っての乳首破壊だけが目的とは考えられないとも。
「Dummyはまだ行動を起こしていないし、危惧される事態も推測の域も出ていない。でも、状況がはっきりしてからでは遅い。その頃にはもう人は偽りの性活の中で、生かされているだけになっているだろうから」
――私のお母さんもそう考えた一人だった。
「お母さん?」
「うん。私のお母さんはNUKEの開発チームにいたの」
「えっ!?」
「と言っても、末端の末端のそのまた末端だけどね」と、ネブルは苦笑した。「NUKEに積むナノマシンに少しだけ関わっていたって本人は言っていたよ」
そして、こんな世の中になってとても悔やんでいた――。
伝えられた言葉は過去形。気丈に震えを耐える瞳はさみしく彼方を見つめている。私は居たたまれない気持ちになり、白い肩に添えた手に力を込めるしかなかった。
「お母さんは元々国内の精密機器メーカーに勤めていて、ナノマシンを用いた有機情報デバイスの実用化を進めていた。そこをDummyに見出されて、統治会議の技術部門にスカウトされたの。これも決して偶然ではない。Dummyは手足を欲していた。生まれから死まで、多種多様な人の性を観察し、解析し、隅々まで管理する為の生体端末をね」
小さな手はシーツを握り、行き場のない感情を抑え込んでいる。その様が私には、この世から消えてしまわないようにしがみついているように見えた。
「お母さんは試験段階でNUKEの影響を受けない事例を検証し、己もその一人になると確信を得た。それがわかると、お腹の中にいる娘へナノマシンを注入して、Dummy中枢部へのアクセス権限を仕込んだのよ」
統治会議のマザーAIに関わる不正は言うまでもなく重罪だ。生まれながらにしてネブルはその罪を負っていることになる。そして、彼女の母親は……。
「だけどDummyも機関内に自己への反抗勢力が燻っていると重々わかっていた。それでもあれは裏切者を抹殺しようとしなかった」
反抗者を抹殺せず、生かしておく意味を私は解せなかった。理想への妨げとなるなら、用心しておくに越したことはないはずなのに……。それほど人間を矮小な存在だと認識しているのだろうか。
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「…………」
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「やっぱりスウちゃんは優しいよ」
小さく「すき」と呟く声が聞こえた。絶頂を迎えた女優の台詞なのか、ネブルが発した言葉だったのか、よく聞き取れなかった。
地面からむっとした熱気が立ち昇り、私達を出迎える。夜空には月と星が冷えた光を放ち、風が瑞々しい空気を運んでいる。もうすっかり遅くなってしまった。
「お別れ、だね」
「だね」
今日、私達はセックスをした。喧しい繁華街の声と物音はいつになく新鮮で、自分が生まれ変わったような心地だった。気怠くて思考も重たいけれど心は充足していて、息は詩人のような熱を帯びている。
結び付いた指と指を解く……最後の指先と指先が離れようという時、ネブルは勢いよく私に抱き着いた。
「…………」
もうお互いに言葉は不要だった。平坦な世界の地平線の向こうに何があるのか。私達にはまだわからない。それでも変わりゆくこの世界を愛している。私とネブルの行く道が正反対でもきっとどこかで繋がっている。
そう、きっと大丈夫。
私達には乳首があるから。
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