最悪な再会

ちゃこ

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不思議

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影山の言葉に、俺の顔は引きつった。
やっぱり……そうくるか。
驚きより、どこかで納得してる自分がいた。


影山は表情一つ変えず、無言のままゆっくりと俺に近づいてくる。
逃げたいのに、足が地面に張り付いたみたいに動かない。


気づけば、すぐ目の前に立っていた。


影山が手を伸ばしてきた瞬間、反射的に目を閉じる。
さっきのことがフラッシュバックして、また何かされるんじゃないかと体が強張った。


けど——

影山の手は俺の壊れたシャツのボタン部分に触れていた。


「……随分と激しかったみたいだな」


「……胸ぐら掴まれただけだよ」


俺がそう返すと、影山は何も言わずに手を離した。
この人の行動は、本当に読めない。


そして何をするでもなく背を向けて歩き出す。
教室の扉の前で、振り返りもせずに一言だけ呟いた。

「顔色、悪い。保健室行け」


それだけ言って、教室から出て行った。


……何だよ、今の。


身構えていた分、拍子抜けするほどあっさりしていて、肩から一気に力が抜けた。
七瀬や東堂より、こういうタイプの方がずっと怖い。
何を考えているのか、本当にわからない。


しばらくその場に立ち尽くしていたが、時計を見るとかなり時間が経っていた。
もうすぐみんなが教室に戻ってくる。俺は急いでジャージに着替え、保健室へ向かった。


幸い、保健師はいなかった。今の俺にとっては好都合だ。


ベッドのカーテンを開けて中に入り、ゆっくりと横になる。

ぼんやりと天井を見ながら、さっきの影山の言葉を思い出した。

「顔色、悪い」


確かに……最近の出来事を思えば、内心は全然穏やかじゃない。
食欲も戻ってきたようで戻りきってないし、体も重い。


本当はもっと、ちゃんと抵抗できたんじゃないか。
そもそも俺が何かを引き寄せてるんじゃないか——
考え始めると、頭がどんどん重くなってくる。


……もういいや。
サボりだって分かってるけど、今はちょっとだけ寝よう。


目が覚めたのは、授業が終わるチャイムの音とほぼ同時だった。
保健師が戻ってくる前に出よう。ダルい体を引きずるようにして、教室に戻った。


俺に気づいた篠田が、心配そうな顔で近づいてきた。


「土屋、どーしたんだよ?授業も出てなかったし……何かあったのか?」


「あー……いや、美術室行く前に、ちょっと具合悪くなってさ」


また、嘘をついた。
……さすがにバレるかもしれない。


篠田は俺をじっと見つめたあと、ふうっと短く息を吐いた。


「土屋……何かあったら、ちゃんと言えよ?」


「うん。ありがとう。でも大丈夫だから」


ぎこちない笑顔を作って答える。
ちゃんと笑えてる自信はないけど、心配はかけたくない。


そのまま残りの授業を受け、ホームルームを終えると、担任にも声をかけられたがなんとか誤魔化し、逃げるように教室を出た。


重たい足を引きずりながら、俺はゆっくりと家路についた。

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