最悪な再会

ちゃこ

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お好み焼き

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家に帰宅してから部屋に戻って勢いよくベッドに倒れる。疲れた。何も考えたくない。


一階から母親が夕飯が出来たと呼んでいたが食欲が湧かない。申し訳ないが母親にも腹の調子が悪いと嘘をつき、再びベッドへ横になる。


何も考えたくないのに今日の出来事が脳裏に焼き付いて離れない。


七瀬に影山……この二人の事を思い出すと頭が痛い。


俺は静かに目を閉じて無理矢理眠りに就いた。





翌朝も食欲がなく朝食は取らなかった。毎朝自分で作っている弁当も作らずに家を出る。


あの二人に会いたくない。


学校へ着き階段を上る。彼らは絶対朝には居ないので、今の俺にはそれだけでも救いだ。教室に入り自分の席へ着くと篠田が元気よく挨拶をしてきた。


「おはよー土屋!…大丈夫か?てか何かやつれてね?」


「おはよ。え、そう?大丈夫だよ」


俺は心配させないように笑顔で答えた。自分では分からないが、やつれて見えるのか……まぁ昨日の昼から何も口にしてないからな。


「ならいいんだけど。あ、もし土屋が大丈夫なら学校終わったら飯食いに行かね?」


「え、別にいいけど……部活は?」


「今日はミーティングだけだし、早く終わるっぽいんだよね!」


「そうなんだ。じゃあミーティング終わるまで教室で待ってるよ」


食欲はないがせっかく篠田が誘ってくれたんだ。ここは頑張って行くしかない。それに今まで友達と学校終わりに何処かへ出掛けた事が一度もない。誘われた事が凄く嬉しかった。


授業も淡々と進んで昼休みになっても彼らはまだ現れてない。出来ればこのまま来なくていいのに。


俺がそう思っていたら本当に来なかった。今日は欠席だったみたい。無事に一日を終えた事に安堵した。


放課後、篠田がミーティングを終えるのを待っていたが30分くらいで篠田が戻ってきた。


「お待たせ!じゃあ行こっか!」


篠田と一緒に学校を出て少し離れた商店街へ連れて来られた。この商店街も見覚えがあり、懐かしくて自然と笑みが溢れる。そして着いた先は少し古びたお好み焼き屋だった。


「ここのお好み焼きマジ美味いから!」


そう言って篠田は店内へ入る。お好み焼きか……今の俺には少しヘビーだけど頑張って食べよう。


豚玉、チーズ、明太子、など沢山の種類があり、どれにするか迷っていると篠田は笑いながらメニュー表を指差した。


「やっぱお好み焼きは豚玉でしょ!俺のオススメ!」


「じゃあ、篠田がそう言うなら俺も豚玉にする」


店員を呼んで注文すると直ぐに生地が運ばれてきた。これを自分達で焼くのか。俺、絶対失敗しそう。篠田は慣れた手つきで生地を伸ばし、焼き目が付くと綺麗に裏返した。俺も見よう見まねで生地を裏返したが見事に割れた。


「土屋下手くそだな(笑)」


「初めてだから仕方ないじゃん!」


ケラケラ笑う篠田を見て、つられて俺も笑った。こんなふうに笑えたの、久しぶりだ。


完成したお好み焼きを皿に取り一口食べた。


「あ……美味い」


「だろ?ここのソースが美味いんだよなー」


篠田はあっという間に完食した。俺は頑張って箸を進めたが半分食べるのが限界で、腹の調子考えて……とまた嘘を付き残りを篠田にあげた。


店から出ると外は薄暗くなっていた。篠田と来た道を戻り学校の近くまで歩く。


「今度時間あったら違う店連れてってやるよ」


「本当?楽しみにしてる」


「あ、じゃあ俺の番号教えておくな!帰ったらLINEでも頂戴!」


篠田は口答で番号を教えてくれた。俺は言われた番号をスマホに入力する。


「じゃあ土屋!また明日!」


「じゃあね。帰ったら連絡するよ」


挨拶をしてお互いの家の方向へ別れ帰宅する。今日は初めての事だらけで本当に楽しかった。


転校三日目で篠田という『友達』が出来た。
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