憎悪と愛を天秤へ

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謎の美青年

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「ユエ君!ユエ君ってば!」

 ミヤの呼びかけにハッとして顔を上げた。どうやら昔の事を思い出してる間ぼーっとしていたらしい。新たに手に持っていたグラスは拭きすぎてピカピカになっていた。

「どうしたの?ぼーっとしちゃって。考え事?」

「すみません。ちょっと昔の事を思い出してました」

「それってユエ君とジン君が知り合った頃のこと?聞きたいなぁー!」

「俺ともっと仲良くなったら教えてあげますよ」

 俺はニコッと微笑むとミヤは顔を赤くした。こうゆう所は女性らしくて可愛いと思うが、これ以上ミヤと仲良くなってしまったら……俺の肝臓が保たない。

それに俺が客に喋っていることは大半が嘘だ。
いくら仲良くなったからって自分の素性を話すわけにはいかない。素性を話すことで後々命取りになる可能性がある。これはスギルアでの生活で学んだ事の一つだ。

 ミヤは少し膨れっ面で空になったグラスを差し出してきた。

「同じのでいいかな?」

俺がそう言うとミヤは頷く。新しいグラスに氷を入れ始めた時、入口のドアが開いた音が聞こえた。
この時間から少しづつ客が増えてくるので、ジンにミヤの対応を任せ俺は新しく入って来た客の元へ行く。

 入って来たのは二十代前半くらいの男性だった。
目が大きく整った顔立ちで、女性に見間違える程綺麗だ。初めて見る顔だったので新規客だろう。

男性はカウンターの一番端に座るが、座ったと同時に大きな溜息をついていた。

「いらっしゃいませ。お客様、ここのお店は初めてですか?」

俺は笑顔で話しかけながらテーブルにチャームを出す。男性は俺の問いかけに少しおどおどしながら答える。

「あ……はい。そうです……」

想像通りの高めの声。見た目の雰囲気だと夜の世界で働いている様には見えない。たまたま立ち寄っただけの一般人なのだろうか。

「ここの店のマスターをしているユエです。お飲み物お決まりになりましたらお声掛け下さい」

俺は男性にそう言ってから一度ミヤの対応をしているジンの元へ戻ろうとしたら、ジンは眉間に皺を寄せて男性のことをじっと見ていた。

そしてジンは俺の所へ来て耳打ちをする。

「……アイツ人間じゃねぇぞ」

「……!?」

 ジンの言葉につい男性の方を振り向いてしまう。
ルナイアントに紅眼種が居るのは極めて稀だ。まさか自分の店で出会うとは思ってもみなかった。

ルナイアントのセキュリティは厳重で紅眼種が無断に入ってこれない様、高い塀で囲まれており街を行来するゲートは一つしかない。ゲートにも街の役人と兵隊が何人もいて、そこで審査を受けなければルナイアントの住民権を得られないのだ。

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