変われたら、みえた世界は変わっていた

プロローグ

何もみていない彼

入学式で、誰よりも中心にいた。

でも、どこか笑っていなくて心配になった。

だからか、体が勝手に彼の方に行き彼に話しかけていた。

「辛くないの。ずっと、偽りの笑顔で。」

驚いたのだろうか、不審に思ったのかはわからなかったが目を大きくあけて綺麗な瞳でこっちをみた。

「何を言っているんですか。私は、皆さんとお話しできてとても楽しいんです。」

みたら惚れてしまうんではないかと思うほど綺麗な笑顔でかえされた。
自分には偽りなどないと私に訴えかけているように。

「やっぱり、綺麗ですね。笑顔。」

だからこそだろうか、皮肉混じりのセリフでかえしてしまう

「ありがとうございます。ですが、あなたの笑顔の方が素敵ですよ。」

皮肉に皮肉で返してくるなんて思いもしなかった。
だから、少し驚いてしまったけれどそれと同時にこの人は同類だと感じた。

エリカ月影　瑠異つきかげ　るい