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調査業務解決編2

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「まあ、初仕事ですから、致し方ないでしょう」

 そう言って、瀧崎がため息を吐く。どうやら許してくれるらしい。

「はい、すみません」
「じゃあ、続きといきましょうか」
「へ? はい? 続きですか? 社長が今祓ってくださったのではないのですか!」
「まさか、祓ったら、生霊を飛ばした者が廃人になってしまうこともありますからね。それは最終手段です。鎮めただけです」

無駄に整った顔でしれっと言うと瀧崎は手を打った。

「さあ、中島美玖さん、あなたの話を聞きましょう」

むくりと美玖に憑依されたままの舞香が起き上がる。

「ひぇ!」

葵はびっくりして立ち上がる。

「あの、しゃ、社長話を聞くって? というか中島美玖って……」

 怖くて声が震える。

「ここからがあなたの仕事ですよ。美玖さんの愚痴を聞いてあげてください。水原さんは美玖さんが誰なのかご存じでしょう」

「はい、多分、瀬戸様のご親友ですよね。社長、見ていたんですか?」
「まさか。では語り疲れて霊が出て行くまで愚痴を聞いてあげてください。ここから、相談業務の開始です」

そう言って二、三注意事項を説明すると、社長は本当にさっさと帰って行った。
しかたなく、葵は舞香に憑依した美玖にコーヒーを入れ、ことりとカップをおく。怖いし気が進まないが仕方がない。

「あの、美玖さん、語りたいことがあれば、どうぞ」

すると美玖はワッと泣き出したの。

「私達、翔太と私は学生の頃から10年間も付き合ってきたのよ。翔太は私が働くのを応援してくれていた。それなのに、いつの間にか舞香とできていて、いきなり結婚だなんて」
「はあ……」

さっきまで大暴れしていた霊にいきなり泣いて語られても、いまひとつ共感できないし、また暴れだしたらと思うと正直怖い。

「舞香も舞香よ。最初は翔太の相談に乗るふりをして、誘惑して。分かる? 私は親友だと思っていた舞香から恋人奪われたのよ!」
(いや、でも瀬戸様は別れたっていっていたよね?)

疑問に思いつつも口を噤む。怖いから。 

それから葵は延々と舞香に対する恨みごとをくり返し、写真でしか知らない翔太への愛と思いで話を聞かされる羽目になった。そして日が高くなった頃。

「私が復縁しようとおもったとき、舞香が好きになってしまったから、もう君とは付き合えないって翔太にいわれたの、どれだけショックだったか。今まで別れ話がでてもそのたびに復縁して来たのよ、私達」

「すれ違いだったんですね?」

とついうっかり葵が口を挟むと

「そんな言葉でかたづけないでよ!」

と怒られた。生霊怖い。


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