37 / 47
鈴木海斗の場合3
しおりを挟む
それからは時々商店街で璃子を見かけると後をついて歩くようになった。俺だけが璃子の秘密を知っているそう思っていた。
それなのに璃子はなぜかスーパーの前でシャツインと待ち合わせていた。
信号の所で別れると思っていたのに、二人は仲よさそうに話ながら、璃子の住んでいる団地へ向かっていった。
そんな馬鹿な? あんな陰キャがどうして?
璃子に嫌そうなそぶりはなく、むしろ学校にいる時よりも表情豊かで生き生きとしている。
何が起こっているんだ。
図々しいことにあいつは玄関先まで璃子を送った。どうやらそこでも璃子に引き留められているらしい。
「俺だけが知ってると思ってたのに、あいつが知っているなら秘密でもなんでないじゃないか」
悔しかった。
◇◇◇
それからも俺は璃子がシャツインと帰るんじゃないかと気になり、何度か後をつけた。だが、いつも璃子は一人だった。
そのことに安心する。
でもなんだってあの日は二人で帰ったんだ?
そんなある日再び璃子を商店街で見つけた。璃子は足早に商店街を抜けていく、きっと夜道がこわいのだろう。俺はそんな親切心から璃子のあとをつける。
さながら、ボディガードの気分だ。
団地のそばの細い路地に入るところで後ろから肩をつかまれた。
「君は何をしているんだ」
ぎょっとして振り返るとスーツを着た背の高い中年の男だった。
「べ、別に何も」
突然のことで慌ててしまった。しかし、俺は何も悪いことはしていない。
「俺は家に帰る途中です。なんなんですか?」
男を見上げると彼は口を開いた。
「私は璃子の父親だ。璃子の後つける君の姿は何度か見かけている。同じ高校制服を着ているようだがストーカーか?」
そう問われて俺は粟食った。
「まさか! 違います。夜暗くてここら辺は危ないから璃子さんが心配になっただけです」
「ならどうして一緒に帰らない。声をかければ済むことだろう」
「そ、それは、璃子さんが多分自宅を知られたくないとおもって」
そいうと男はひるんだように立ちすくんだ。
「じゃ、俺もう帰りますんで」
俺はそのすきに逃げ出した。まさか璃子の父親と出くわすとは思わなかった。
それに俺はストーカーなんかじゃない。璃子が危険な目に合わないように守ってやってたんだ。
あんな汚い団地住まいであのおやじ何者だよ。俺の中で不満がくすぶった。
それなのに璃子はなぜかスーパーの前でシャツインと待ち合わせていた。
信号の所で別れると思っていたのに、二人は仲よさそうに話ながら、璃子の住んでいる団地へ向かっていった。
そんな馬鹿な? あんな陰キャがどうして?
璃子に嫌そうなそぶりはなく、むしろ学校にいる時よりも表情豊かで生き生きとしている。
何が起こっているんだ。
図々しいことにあいつは玄関先まで璃子を送った。どうやらそこでも璃子に引き留められているらしい。
「俺だけが知ってると思ってたのに、あいつが知っているなら秘密でもなんでないじゃないか」
悔しかった。
◇◇◇
それからも俺は璃子がシャツインと帰るんじゃないかと気になり、何度か後をつけた。だが、いつも璃子は一人だった。
そのことに安心する。
でもなんだってあの日は二人で帰ったんだ?
そんなある日再び璃子を商店街で見つけた。璃子は足早に商店街を抜けていく、きっと夜道がこわいのだろう。俺はそんな親切心から璃子のあとをつける。
さながら、ボディガードの気分だ。
団地のそばの細い路地に入るところで後ろから肩をつかまれた。
「君は何をしているんだ」
ぎょっとして振り返るとスーツを着た背の高い中年の男だった。
「べ、別に何も」
突然のことで慌ててしまった。しかし、俺は何も悪いことはしていない。
「俺は家に帰る途中です。なんなんですか?」
男を見上げると彼は口を開いた。
「私は璃子の父親だ。璃子の後つける君の姿は何度か見かけている。同じ高校制服を着ているようだがストーカーか?」
そう問われて俺は粟食った。
「まさか! 違います。夜暗くてここら辺は危ないから璃子さんが心配になっただけです」
「ならどうして一緒に帰らない。声をかければ済むことだろう」
「そ、それは、璃子さんが多分自宅を知られたくないとおもって」
そいうと男はひるんだように立ちすくんだ。
「じゃ、俺もう帰りますんで」
俺はそのすきに逃げ出した。まさか璃子の父親と出くわすとは思わなかった。
それに俺はストーカーなんかじゃない。璃子が危険な目に合わないように守ってやってたんだ。
あんな汚い団地住まいであのおやじ何者だよ。俺の中で不満がくすぶった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/light_novel.png?id=7e51c3283133586a6f12)
優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件
石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。
紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々
饕餮
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある商店街。
国会議員の重光幸太郎先生の地元である。
そんな商店街にある、『居酒屋とうてつ』やその周辺で繰り広げられる、一話完結型の面白おかしな商店街住人たちのひとこまです。
★このお話は、鏡野ゆう様のお話
『政治家の嫁は秘書様』https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981
に出てくる重光先生の地元の商店街のお話です。当然の事ながら、鏡野ゆう様には許可をいただいております。他の住人に関してもそれぞれ許可をいただいてから書いています。
★他にコラボしている作品
・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/
・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
・『日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)』https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる