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これ俺の飯だから!
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しかし、成瀬に非難されたのは初めてだ。いつもは彼女の周りの女子たちには虫けらをみるような目で見られているが、成瀬だけは俺たちに興味がなさそうで特段侮蔑の視線を送ってくることもなかった。
「何しに来たんだ」
俺はこいつにかまうのをやめて冷める前にハンバーグを堪能することにした。
「ちょっと待った。シャツイン! なんでおっきいハンバーグが二つあるの? 全部あんた一人で食べるの?」
答える義理はないと思うのだが、陽キャは無視されることに慣れていないので、陰キャで優しい俺は返事をする。
「一つは昼の分で、一つは夜の分だ」
「はあ、何それ? 意味わかんないですけど。あんた一日ハンバーグ食べてるわけ」
俺は自分で買ってきた具材で作ったハンバーグを食っているだけなのに、なぜか成瀬に責められているようだ。
なるほど、これがこいつの地なのか。
学校のアイドルも陰キャの前では繕わないらしい。いや、いっそ潔い。
つまり、こいつのフォロワーは美少女の笑顔に騙されている。目を覚ますべきだ。
だが、そんなことより飯が先。
「悪いけど、俺今から飯なんだ。出ってくれる?」
成瀬に罵倒されながら、おいしい飯を食う気はない。するとぐうーとおなかのなる音がした。むろん俺ではない。とすると目の前にいる成瀬だ。こいつ腹が減って、気が立っているのか?
「ねえ、シャツイン、そのハンバーグ一個買い取らせてくれない? 90円で」
「は? 原材料にも満たないじゃないか」
俺は呆れて眉をひそめた。
「ちょっとそこは普通ただでいいよ、というところじゃない」
これだから、美少女陽キャはいやなんだ。
飯代とカラオケ代はタダだと思っている。そのうち大人になれば確実に飲み代もただになるんだろう。
「そんなわけないだろう? 第一あんたとは友達でも何でもない」
「あったり、前でしょ!」
成瀬が顔真っ赤にして怒る。惜しむらくは怒っても美少女なところだ。顔も歪めばいいのに。
「お引き取りを」
「じゃあ、200円!」
「これ俺が手でこねて作ったんだけど、あんたそれ食べられるの?」
「だから何?」
引かない……だと?
平然と言い放つ成瀬に俺は驚愕した。
普通、女子なら「キモイ」とか叫ぶとこじゃねえの?
とりあえずこいつが、俺の作ったハンバーグを食うまで去らないことは理解した。
陰キャのいきりもここまでか。
仕方がないので俺は晩飯用に作ったハンバーグを皿にもってソースをかけてやる。
「今日だけだ。200円よこせ。もう来るな」
リア充は巣に帰れ。
「ちっ」
学校のアイドルが舌打ちした。つっても誰も信じないだろう。
すると成瀬が口をとがらせて俺を睨む。
「なんだよ」
「私の分のライスは?」
「いい加減にしろよ、リア充。いくら温和な陰キャの俺でも怒るぞ」
「だって、あんた、おにぎり三個持っているじゃない!」
成瀬が指をさす。よほど腹が減っているのか。
「何しに来たんだ」
俺はこいつにかまうのをやめて冷める前にハンバーグを堪能することにした。
「ちょっと待った。シャツイン! なんでおっきいハンバーグが二つあるの? 全部あんた一人で食べるの?」
答える義理はないと思うのだが、陽キャは無視されることに慣れていないので、陰キャで優しい俺は返事をする。
「一つは昼の分で、一つは夜の分だ」
「はあ、何それ? 意味わかんないですけど。あんた一日ハンバーグ食べてるわけ」
俺は自分で買ってきた具材で作ったハンバーグを食っているだけなのに、なぜか成瀬に責められているようだ。
なるほど、これがこいつの地なのか。
学校のアイドルも陰キャの前では繕わないらしい。いや、いっそ潔い。
つまり、こいつのフォロワーは美少女の笑顔に騙されている。目を覚ますべきだ。
だが、そんなことより飯が先。
「悪いけど、俺今から飯なんだ。出ってくれる?」
成瀬に罵倒されながら、おいしい飯を食う気はない。するとぐうーとおなかのなる音がした。むろん俺ではない。とすると目の前にいる成瀬だ。こいつ腹が減って、気が立っているのか?
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俺は呆れて眉をひそめた。
「ちょっとそこは普通ただでいいよ、というところじゃない」
これだから、美少女陽キャはいやなんだ。
飯代とカラオケ代はタダだと思っている。そのうち大人になれば確実に飲み代もただになるんだろう。
「そんなわけないだろう? 第一あんたとは友達でも何でもない」
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成瀬が顔真っ赤にして怒る。惜しむらくは怒っても美少女なところだ。顔も歪めばいいのに。
「お引き取りを」
「じゃあ、200円!」
「これ俺が手でこねて作ったんだけど、あんたそれ食べられるの?」
「だから何?」
引かない……だと?
平然と言い放つ成瀬に俺は驚愕した。
普通、女子なら「キモイ」とか叫ぶとこじゃねえの?
とりあえずこいつが、俺の作ったハンバーグを食うまで去らないことは理解した。
陰キャのいきりもここまでか。
仕方がないので俺は晩飯用に作ったハンバーグを皿にもってソースをかけてやる。
「今日だけだ。200円よこせ。もう来るな」
リア充は巣に帰れ。
「ちっ」
学校のアイドルが舌打ちした。つっても誰も信じないだろう。
すると成瀬が口をとがらせて俺を睨む。
「なんだよ」
「私の分のライスは?」
「いい加減にしろよ、リア充。いくら温和な陰キャの俺でも怒るぞ」
「だって、あんた、おにぎり三個持っているじゃない!」
成瀬が指をさす。よほど腹が減っているのか。
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