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第一幕
第一話
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簡単にいうと、テツはこの世界に慣れてしまったのだ。それで飽きている。え? この3歳坊が、全てを兼ね備えてるって?そうだ。あん子は、引越しとか経験がある。だから、大阪に来たばかりなんだえ。だから、テツの沼津に来た記憶というものはほとんどなく、ただ、母親が、引越し引越しでごたごただったことは、微 ながらおぼえている。
*
確かにテツは冒頭の噂通りそんな状態になっていた。けれど、「全てを兼ね備えてる」というのは言い過ぎ。
というのは、のちにテツは九歳になったとき、体力テストで、高校三年生に勝ったの長座体前屈、それ以外は一年生にも及ばない(いくつかは本当にぎりぎり勝っていたが)シロモノだった。三歳だから。
「軟体生物なみのやわらかさ!!」とテツはいった。
あるとき、「だいやけひろし」というのをテツはつくってみはしたが、まだ全体像が掴めなかったので汚い字で、「たいやけひろし」と書いて、ほっぽっといた。
この頃から、テツの創作意欲はあったらしい。
空想の友人をいくつも作って何かあれば現実逃避。
それは楽しい作業だった。
*
それは、星の降る夜。
人気のない公園。
テツはとぼとぼ歩く。
茶肌の高校生。
煉瓦造りのベンチの上に、そんな高校生が座っている。いかにも関西人。口調も関西弁だったからこの男は関西人。テツはそう思ったし、実際その男は関西人だった。
テツは空想の世界で家出をしていた。
そして、テツとこりどうは出会い、それぞれ励まし合い、時には慰めてくれた。
しかし! テツは引っ越すことになってしまったのだ! そして、「すまんが」報告をした。動き始めた新幹線の中で泣いたのを、忘れることはないだろう。
東京に着いた時、後ろから声をかけられた。見ると——それは、こりどうだった。
*
確かにテツは冒頭の噂通りそんな状態になっていた。けれど、「全てを兼ね備えてる」というのは言い過ぎ。
というのは、のちにテツは九歳になったとき、体力テストで、高校三年生に勝ったの長座体前屈、それ以外は一年生にも及ばない(いくつかは本当にぎりぎり勝っていたが)シロモノだった。三歳だから。
「軟体生物なみのやわらかさ!!」とテツはいった。
あるとき、「だいやけひろし」というのをテツはつくってみはしたが、まだ全体像が掴めなかったので汚い字で、「たいやけひろし」と書いて、ほっぽっといた。
この頃から、テツの創作意欲はあったらしい。
空想の友人をいくつも作って何かあれば現実逃避。
それは楽しい作業だった。
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それは、星の降る夜。
人気のない公園。
テツはとぼとぼ歩く。
茶肌の高校生。
煉瓦造りのベンチの上に、そんな高校生が座っている。いかにも関西人。口調も関西弁だったからこの男は関西人。テツはそう思ったし、実際その男は関西人だった。
テツは空想の世界で家出をしていた。
そして、テツとこりどうは出会い、それぞれ励まし合い、時には慰めてくれた。
しかし! テツは引っ越すことになってしまったのだ! そして、「すまんが」報告をした。動き始めた新幹線の中で泣いたのを、忘れることはないだろう。
東京に着いた時、後ろから声をかけられた。見ると——それは、こりどうだった。
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