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89話 最強の盾
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レイは悩んでいた。自分には明確に弱点がある事に。
(一撃の重さがない)
この弱点はずっと言われてきた事だ。師匠にも言われた。そして修行により師匠のコピーと戦った時にも言われて見様見真似であるがサブマスターであるリュウガの‘死閃’を放ち師匠を超えたのだがそれはあくまでも速さで勝っただけ。弱点は克服出来ていない。それが証拠にダンジョン攻略においては龍人に対して薄皮1枚斬る程度のダメージしか与えられずにいた。そして、神との戦争が始まると知ってから実力向上のためにレイはウェンとスイの龍2人と手合わせしているのだが速度は何とかギリギリついていける。何だったら‘死閃’は龍にすら通じる。だがそれだけだった。それ以外は何も通じない。普通の斬撃は弾かれてしまいその隙に攻撃を喰らってしまう。それだけでノックアウトまでいかなくとも重症を負ってしまう。
「私たちは龍ですからね。人型になってるとはいえ硬さはそのままなのですから攻撃が通用しなくとも気にする必要はありませんよ」
とウェンに言われはしたが、
「それは甘えですよね」
と家に帰って思う。龍を超えた存在である神が相手なのだ龍に通用するレベルでなくては意味がない。そう思うがきっかけがなく。ため息を吐く。
「はぁ、サブマの戦闘スタイルが1番近いから学びたいが肝心のサブマスがいないのではどうしようもないですね」
サブマスターであるリュウガは今はギルドにいない。神との戦争における最強戦力の1人だ。そんなリュウガの実力向上はギルドにいるメンバーとの手合わせでは意味がないのだ。それだけ実力が乖離しているのだ。そんなリュウガは今は龍帝と訓練するためにどこかへと連れて行かれた。今のリュウガと手合わせに付き合えるのは同じく最強戦力である龍帝と風翔龍しかいないから仕方ないのだ。
「お前らは必要だよ。神連中がどれくらい来るか分かんねぇから天使なんてザコに俺は体力を使いたくない」
以前にリュウガは自分たちを必要と言ってくれたがそれは露払いのような存在としてだ。やはり主力として活躍したい。名持ちの龍とも渡り合えるほどに。しかし、
「何回かウェンとスイの2人と手合わせしていますがやはりまだまだ実力が足りませんね」
実力が足りない。仕方ない事ではあるが種族による身体能力の差がある。これは決して越えられない壁がある。
「どうしたものですかね」
そんな悩みを抱えて眠るのであった。そうして次の日を迎えてギルドに行くと受付穣の1人がレイに話かける。
「騎士団から依頼があります。騎士団の1人が神との戦闘に向けて手合わせを求めているのですがサブマスターを呼んでるんです。何でも自分たちのトップを倒した男なら仮想、神との戦闘に必要だそうです」
「しかし、肝心のサブマスターがいない。だから代わりとなる人物を送ると?」
「はい。ウェンさんは、その、依頼を受けてはくれないでしょうからね」
「その判断は正しいですね。ですが何故私に?」
「ルイさんはギルドに来ないで家にある歴史書で聖槍について調べるらしくて当分来ないそうです。それに最強の女冒険者であるレイさんなら向こう側も文句はないはずですから。依頼を受けてくれますか?」
「いいですよ。丁度私もきっかけを探していましたから」
こうしてレイは依頼を受けるために騎士団の駐屯所に向かうのであった。
「依頼を受けに来ました。運命の宿木のレイ・カグラザカです」
「ん? 依頼で来る事になってるのはサブマスターであるリュウガ・レンと聞いていたんだが?」
「私用でサブマスターは来られなくなってしまったので代わりに私が来ました」
「少し待っていてくれ。団長に聞いてくる」
「分かりました」
そう言って騎士は団長に確認を取りに行くのであった。
(団長となったのは前副団長ですかね?)
団長である剣聖、カゲトラ・オウガは大神ゼーリオの器となって実質死亡扱いとなっている。そのため団長が代わるのは当然だろう。そしてその代わりとなるのは副団長だとレイは考える。副団長は聖弓の使い手であり遠距離においては聖剣使いである剣聖よりも強いとされているほどの手練れだからだ。
「わざわざ来てもらって待たせてすまないな。入ってくれ」
先程の騎士と共に副団長であるキュウイが現れる。
「わざわざ団長が出迎えですか?」
「依頼を出したのは自分だからな。当然だ」
歩きながら改めて依頼について説明をもらう。
「依頼は自分の後継の副団長との手合わせだ。実力だけなら自分よりも強い。強いんだがあまりにも騎士団としての品位がなくて手に余る。だから神との戦争に向けての実力向上という体で叩きのめして欲しい」
「そんなに強いのに何故噂になってないのですか? 剣聖や貴方以外にそこまでの強者がいるとは聞いた事がありません」
「仕事をしないでひたすらに団長、いや元団長に挑んでいたからな。よっぽど騎士団に興味のある人間じゃないと知らないのも無理はない」
そうして2人は訓練場として使ってる中庭に到着する。そこに大楯を持つ大男がいた。
(デカい! 2mはありますね)
そんな大男にキュウイが話かける。
「ゴーレン! 今日の訓練の相手してくれる、レイ・カグラザカだ」
「女? 俺が呼んだのはカゲトラを倒したリュウガって男だ! 騙したのかテメェ!」
そう言ってゴーレンはキュウイに詰め寄る。
「私用で来られないそうだ。それに女だからと差別するな。彼女はこの国の最強の女性冒険者だ」
「最強つっても所詮は女だろ」
そう言って帰ろうとするゴーレンに、
「負けるのが怖いのですか?」
レイの言葉にピタリと止まる。
「殺すぞ」
「出来るものならどうぞご自由に」
瞬間2人は激突する。
「おいおい。殺すなよ! 神との戦争での大事な仲間何だからな!」
注意するキュウイであるが、
「知るかよ!」
「ご安心を。勝つのは私ですから」
再び激突する2人であったが最初の激突の時とは違い激突した瞬間にレイは吹っ飛ばされるのであった。
「何だぁ! 大口叩いたわりには大した事ねぇなぁ!」
「口だけは達者ですね(1発が重い。腕が痺れる)」
ゴーレンの武器は大楯のみ。しかし、その大楯はルイの持つ聖槍や剣聖の持つ聖剣と同じ聖盾である。その効果は物理攻撃、魔法攻撃を吸収してそれを放出するというものだ。
(しかし盾を外せば良いだけなので問題はありませんね)
体勢を立て直すと瞬時にゴーレンの背後に回り刀を振り抜く。それを見ていたキュウイは、
(速い! アレは防げないな。聖盾を持ってなければ)
ゴーレンは防いでしまう。聖盾には自動防御があり使用者が視認してなくても使用者の事を守るというものだ。
「速いがそれだけじゃこの盾は越えられない」
そのまま防いだ状態から一気に盾攻撃をぶちかます。それによる衝撃を受け流すが完璧には制御出来ずに吹っ飛ばされるレイなのであった。
「速さだけならカゲトラを超えてるな。そこは認めてやる。だがそれだけだ。それだけじゃ絶対に越えられない。所詮は女だな。一撃に重さが足りない」
(ここでも私の弱点が露呈しますか)
どこまでいっても弱点である一撃の重さの無さが足を引っ張るのであった。
「おら! どんどん行くぞ!」
盾で殴りかかって来るゴーレン。その攻撃は盾によるものだけだというのに激しさを増していく。
(何とか距離を取って‘死閃’を使うしかない)
地面を刀の峰でぶっ叩いて砂を巻き上げる。
「こしゃくな真似を!」
叫ぶゴーレンを無視してレイは構えを取る。レイにも砂煙によってゴーレンの姿は見えないが声を発してしまったのはゴーレンの不注意であった。居場所を教える事になるのであった。
『死閃』
最強の技を発動する。これを防げたのはリュウガとウェンのみ。そんな最強の技であったが、
「とんでもない速さだったな。それに伴い一撃の重さも上がったが元が女の一撃だ。俺の盾を超えるのは無理だったな」
「そんな」
自分の最強の技を防がれたレイはショックを受ける。肉体の差、武器の差を技術だけで超えるのは無理なのかと絶望する。
「ほらボケっとすんなよ! 『カウンターショック』」
盾で受けた衝撃を倍返しにする技をもろに受けてレイは吹っ飛ばされてしまい壁に激突して気絶してしまい負けるのであった。
「ふん! やっぱり俺のが強いな」
ゴーレンは負かした相手であるレイを無視して帰るのであった。
(一撃の重さがない)
この弱点はずっと言われてきた事だ。師匠にも言われた。そして修行により師匠のコピーと戦った時にも言われて見様見真似であるがサブマスターであるリュウガの‘死閃’を放ち師匠を超えたのだがそれはあくまでも速さで勝っただけ。弱点は克服出来ていない。それが証拠にダンジョン攻略においては龍人に対して薄皮1枚斬る程度のダメージしか与えられずにいた。そして、神との戦争が始まると知ってから実力向上のためにレイはウェンとスイの龍2人と手合わせしているのだが速度は何とかギリギリついていける。何だったら‘死閃’は龍にすら通じる。だがそれだけだった。それ以外は何も通じない。普通の斬撃は弾かれてしまいその隙に攻撃を喰らってしまう。それだけでノックアウトまでいかなくとも重症を負ってしまう。
「私たちは龍ですからね。人型になってるとはいえ硬さはそのままなのですから攻撃が通用しなくとも気にする必要はありませんよ」
とウェンに言われはしたが、
「それは甘えですよね」
と家に帰って思う。龍を超えた存在である神が相手なのだ龍に通用するレベルでなくては意味がない。そう思うがきっかけがなく。ため息を吐く。
「はぁ、サブマの戦闘スタイルが1番近いから学びたいが肝心のサブマスがいないのではどうしようもないですね」
サブマスターであるリュウガは今はギルドにいない。神との戦争における最強戦力の1人だ。そんなリュウガの実力向上はギルドにいるメンバーとの手合わせでは意味がないのだ。それだけ実力が乖離しているのだ。そんなリュウガは今は龍帝と訓練するためにどこかへと連れて行かれた。今のリュウガと手合わせに付き合えるのは同じく最強戦力である龍帝と風翔龍しかいないから仕方ないのだ。
「お前らは必要だよ。神連中がどれくらい来るか分かんねぇから天使なんてザコに俺は体力を使いたくない」
以前にリュウガは自分たちを必要と言ってくれたがそれは露払いのような存在としてだ。やはり主力として活躍したい。名持ちの龍とも渡り合えるほどに。しかし、
「何回かウェンとスイの2人と手合わせしていますがやはりまだまだ実力が足りませんね」
実力が足りない。仕方ない事ではあるが種族による身体能力の差がある。これは決して越えられない壁がある。
「どうしたものですかね」
そんな悩みを抱えて眠るのであった。そうして次の日を迎えてギルドに行くと受付穣の1人がレイに話かける。
「騎士団から依頼があります。騎士団の1人が神との戦闘に向けて手合わせを求めているのですがサブマスターを呼んでるんです。何でも自分たちのトップを倒した男なら仮想、神との戦闘に必要だそうです」
「しかし、肝心のサブマスターがいない。だから代わりとなる人物を送ると?」
「はい。ウェンさんは、その、依頼を受けてはくれないでしょうからね」
「その判断は正しいですね。ですが何故私に?」
「ルイさんはギルドに来ないで家にある歴史書で聖槍について調べるらしくて当分来ないそうです。それに最強の女冒険者であるレイさんなら向こう側も文句はないはずですから。依頼を受けてくれますか?」
「いいですよ。丁度私もきっかけを探していましたから」
こうしてレイは依頼を受けるために騎士団の駐屯所に向かうのであった。
「依頼を受けに来ました。運命の宿木のレイ・カグラザカです」
「ん? 依頼で来る事になってるのはサブマスターであるリュウガ・レンと聞いていたんだが?」
「私用でサブマスターは来られなくなってしまったので代わりに私が来ました」
「少し待っていてくれ。団長に聞いてくる」
「分かりました」
そう言って騎士は団長に確認を取りに行くのであった。
(団長となったのは前副団長ですかね?)
団長である剣聖、カゲトラ・オウガは大神ゼーリオの器となって実質死亡扱いとなっている。そのため団長が代わるのは当然だろう。そしてその代わりとなるのは副団長だとレイは考える。副団長は聖弓の使い手であり遠距離においては聖剣使いである剣聖よりも強いとされているほどの手練れだからだ。
「わざわざ来てもらって待たせてすまないな。入ってくれ」
先程の騎士と共に副団長であるキュウイが現れる。
「わざわざ団長が出迎えですか?」
「依頼を出したのは自分だからな。当然だ」
歩きながら改めて依頼について説明をもらう。
「依頼は自分の後継の副団長との手合わせだ。実力だけなら自分よりも強い。強いんだがあまりにも騎士団としての品位がなくて手に余る。だから神との戦争に向けての実力向上という体で叩きのめして欲しい」
「そんなに強いのに何故噂になってないのですか? 剣聖や貴方以外にそこまでの強者がいるとは聞いた事がありません」
「仕事をしないでひたすらに団長、いや元団長に挑んでいたからな。よっぽど騎士団に興味のある人間じゃないと知らないのも無理はない」
そうして2人は訓練場として使ってる中庭に到着する。そこに大楯を持つ大男がいた。
(デカい! 2mはありますね)
そんな大男にキュウイが話かける。
「ゴーレン! 今日の訓練の相手してくれる、レイ・カグラザカだ」
「女? 俺が呼んだのはカゲトラを倒したリュウガって男だ! 騙したのかテメェ!」
そう言ってゴーレンはキュウイに詰め寄る。
「私用で来られないそうだ。それに女だからと差別するな。彼女はこの国の最強の女性冒険者だ」
「最強つっても所詮は女だろ」
そう言って帰ろうとするゴーレンに、
「負けるのが怖いのですか?」
レイの言葉にピタリと止まる。
「殺すぞ」
「出来るものならどうぞご自由に」
瞬間2人は激突する。
「おいおい。殺すなよ! 神との戦争での大事な仲間何だからな!」
注意するキュウイであるが、
「知るかよ!」
「ご安心を。勝つのは私ですから」
再び激突する2人であったが最初の激突の時とは違い激突した瞬間にレイは吹っ飛ばされるのであった。
「何だぁ! 大口叩いたわりには大した事ねぇなぁ!」
「口だけは達者ですね(1発が重い。腕が痺れる)」
ゴーレンの武器は大楯のみ。しかし、その大楯はルイの持つ聖槍や剣聖の持つ聖剣と同じ聖盾である。その効果は物理攻撃、魔法攻撃を吸収してそれを放出するというものだ。
(しかし盾を外せば良いだけなので問題はありませんね)
体勢を立て直すと瞬時にゴーレンの背後に回り刀を振り抜く。それを見ていたキュウイは、
(速い! アレは防げないな。聖盾を持ってなければ)
ゴーレンは防いでしまう。聖盾には自動防御があり使用者が視認してなくても使用者の事を守るというものだ。
「速いがそれだけじゃこの盾は越えられない」
そのまま防いだ状態から一気に盾攻撃をぶちかます。それによる衝撃を受け流すが完璧には制御出来ずに吹っ飛ばされるレイなのであった。
「速さだけならカゲトラを超えてるな。そこは認めてやる。だがそれだけだ。それだけじゃ絶対に越えられない。所詮は女だな。一撃に重さが足りない」
(ここでも私の弱点が露呈しますか)
どこまでいっても弱点である一撃の重さの無さが足を引っ張るのであった。
「おら! どんどん行くぞ!」
盾で殴りかかって来るゴーレン。その攻撃は盾によるものだけだというのに激しさを増していく。
(何とか距離を取って‘死閃’を使うしかない)
地面を刀の峰でぶっ叩いて砂を巻き上げる。
「こしゃくな真似を!」
叫ぶゴーレンを無視してレイは構えを取る。レイにも砂煙によってゴーレンの姿は見えないが声を発してしまったのはゴーレンの不注意であった。居場所を教える事になるのであった。
『死閃』
最強の技を発動する。これを防げたのはリュウガとウェンのみ。そんな最強の技であったが、
「とんでもない速さだったな。それに伴い一撃の重さも上がったが元が女の一撃だ。俺の盾を超えるのは無理だったな」
「そんな」
自分の最強の技を防がれたレイはショックを受ける。肉体の差、武器の差を技術だけで超えるのは無理なのかと絶望する。
「ほらボケっとすんなよ! 『カウンターショック』」
盾で受けた衝撃を倍返しにする技をもろに受けてレイは吹っ飛ばされてしまい壁に激突して気絶してしまい負けるのであった。
「ふん! やっぱり俺のが強いな」
ゴーレンは負かした相手であるレイを無視して帰るのであった。
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